"雑炊を疑った息子とノロ陽性の判定" 第25話
そのい決断を美咲さんは突きつけたのです。
美咲さんたちは健太を残してロビーのへと歩いてきました。
健太は追いかけることもできず、ただその背を見送ることしかできませんでした。
のにある束がひどく無惨にえました。
周囲の通たちが議そうな顔で彼を見ています。
健太は逃げるように病院をびしました。
に乗り込んだ健太はハンドルを握りしめたままを見つめていました。
妻を失い、子どもを失い、会社でのも失った。
彼に残されたのは自分のしでかした取り返しのつかない罪の識だけです。
健太は震えるでスマートフォンを取りしました。
そして無識のうちに私の番号を呼びそうとしていました。
しかしその指は通話ボタンの直で止まりました。
『あなたがどうするかは自分で考えなさい。』
私のたい声が再び彼のに蘇ったからです。
話をかけたところでもう母親は何もしてくれない。
慰めてもくれないしおをしてもくれない。
健太は初めて自分というの無力さと、完全な孤独に直面していました。
午4。
私が庭の落ち葉を掃いていると、1台のがのに止まりました。
健太のでした。
私は箒のを止め、静かにその様子を見守りました。
のドアがき、健太がりてきました。
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数見ないうちに彼の顔はひどくやつれ、無精髭がえていました。
スーツはシワだらけでかつての威勢の良さはどこにもありません。
健太は扉のにち、私を見つめました。
私は何も言わず、ただ箒を握ったまま彼の次の言葉を待っていました。
が吹き抜け犀のりが2のを通り過ぎます。
健太の唇が微かにきました。
何かを言い訳しようとしているのか。
それともまた泣きついてくるのか。
私はたい目で息子を観察していました。
しかし健太のからたのは私の予とはし違う言葉でした。
「母さん。」
健太は扉越しにくをげました。
そして絞りすような声で言いました。
「俺、全部なくしちゃったよ。」
それは言い訳でも助けを求める言葉でもありませんでした。
ただ自分の愚かさにようやく気づき、全てを失った男の敗の宣言でした。
私は箒を壁にてかけました。
そして扉をけることなく彼に向かって歩だけづきました。
これからの彼のを決めるのは私ではありません。彼自です。
私は母親として最になるかもしれない言葉を彼に投げかけようとしていました。
「俺、全部なくしちゃったよ。」
夕暮れのたいが、扉を挟んで向かいう2のを吹き抜けました。
健太の声は乾き切った落ち葉のようにカサカサに掠れていました。
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私は扉をけませんでした。
のへ彼を招き入れることもしませんでした。
かつての私なら、傷ついた息子を見て慌てて駆け寄り、背をさすっていたでしょう。
でも今の私は、ただ静かにの向こう側につ38歳の男を見つめていました。
「そうね。」
私は答えました。
「あなたは事なものを全てなくしたわ。」
私の声は自分でも驚くほどたく平坦でした。
健太の肩が微かに震えました。
「仕事の信頼も族の絆も、まれたばかりの赤ちゃんを抱く権利も、全部あなたのからこぼれ落ちてしまった。」
私は歩だけたい鉄の扉にづきました。
「でもね、健太。それはウイルスのせいじゃないわ。」
健太がゆっくりと顔をげました。
無精髭のえたその顔は数の威勢の良さが嘘のようにやつれ果てています。
「あなたが自分で壊して捨てたのよ。」
私は告げました。
「俺が。」
健太は呆然としました。
「ええ、あなたが自分で選んだ結果よ。」
私は30胸の奥に溜め込んできた言葉をつずつ静かに紡ぎしました。
声をす必はありません。
真実は静かに語る方がく相に刺さるのです。
「お腹が痛いのに無理をして会社にったこと、を洗わなかったこと。それは確かに愚かなことよ。」
私は健太の目を真っ直ぐに見据えました。
「でもあなたの番の罪はそこじゃない。
」
私は彼の本質を指摘しました。