"15年間の車椅子詐欺、夫の足が立った日" 第10話
バランスを取り、面を完全に捉え、股をいて私を睨みつける。背筋がスッと伸び、骨盤が垂直にち、15子に縛り付けられていたはずの半の筋肉が、何のためらいもなく体を支えきっている。
「何をするんだ、いきなり……! 殺す気か!」
弘は激昂しながら声で鳴りつけたが、ふと、自分の元を見た。 自分が今、両でまっさにちがり、を踏みしめていることに、彼の脳が遅れて気づいた。
あ、しまった――。
弘の顔から、血の気が瞬にして完全に引いた。青く引きつった唇が、細かく震えす。葉の理性が本能の失態を追いつけず、彼は目を見いたまま凍りついた。 私のややかな線が、彼のその「ちがった両」の靴底、アスファルトとの接部分に真っ直ぐに突き刺さっていることに気づく。彼は慌てて面に膝から崩れ落ちるようにしゃがみ込み、を両で抑え、転がりながらげさに悶えはじめた。
「いたっ……! ショックのあまり、わず無理をしてってしまった……! が、が折れそうだ……!」
聞こえるように、わざとらしく言い訳のようなセリフを吐く。 ああ、痛い……いてぇ……。膝を抱えて、コンクリートの表面を転がるようにして体を丸める。
こんな見苦しい芝居を繰り広げる弘を見ろしながら、私は笑を浮かべ、吐き捨てるように呟いた。
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ふん。しらじらしいんだから。……演技のなね。
私は、さっき拾った診察券を彼の顔の数センチに突きした。 ねえ、これ……あなたの診察券よね。
それを見た弘は、わざとらしくをさすりながら、引きつった笑みを作り、議そうな顔を装った。演技のトーンがわずかに裏返っている。 いつもこれを使って診察を受けているのよね? そうだ……それは、俺がいつも使っている診察券だ……それがどうかしたのか? ああ、いて……が痛いのに……。
しつこく演技を続けながら弘は答える。額のえ際から、や汗がポロポロとアスファルトに落ちる。 それを聞いた私は、ややかな目で言った。 本当……それは、おかしいわね。
そういうと、弘の目のに改めてその診察券を突きつける。 この病院、今はもうないはずよ。
え? なんだって? 予の指摘に、弘は絶句してきを止めた。 所をよく見てみなさい。この所に、今はもう何もないでしょう。
私は、その診察券に記載されていた病院名と所が、10に別の医療法と統され、さらにその敷自体が型商業施設の敷へと完全に・移転している事実を突きつけた。 こんな昔の切れ、今のこの所にはしないはずの古いロゴの入ったカード。裏面を見せれば、バーコードの印刷方式がらかに最の規格だと目でわかる。
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それを聞いた弘は、や汗をかきながら、引きつった声で必に言い訳を並べてた。 そ、そうなのか……? 普通に使えたけどな……受付のが気づかなかったのかな……俺は、ずっとこれで……。
弘は、あまりにも見え透いたな嘘でごまかそうとした。 こんなにかぬ証拠を突きつけているにも関わらず、本当は通院すらしていないこと、そしてが治っていることを認めようとしない夫の姿に、私のなかの最の慈が音をてて消えり、イライラが頂点に達した。
私は声を荒げた。 いつまで芝居を続けるつもりなの? あなたの嘘なんて、とっくに全部バレてるんだけど!
そう言うと、私は弘に歩、徹に詰め寄った。革靴のヒールがタイルの目を叩く乾いた音が、音に混じって響く。 ひえっ、と彼は刻みにじさりする。
いつのにか、私たちの周囲には、がりの湿った空気の、物見い通や病院からてきたたちのだかりができていた。傘の雫が落ちる音と、どよめくざわめき。 どうやら言い争っているうちに、2とも声がきくなりすぎていたらしい。 しかも、弘の横にはぽつんと子が転がっている。周囲の々は、子の男性を酷な妻がいじめている、という絵面に見えたらしく、同と非難の入り混じった線を私に向けていた。
(しめった空気……! これは、みんなが俺の方になってくれるかもしれないぞ……!) 自分に同するような線や、「奥さん、ひどいな」