"15年間の車椅子詐欺、夫の足が立った日" 第8話
その連の脱着・展の作は、考の介を許さない、無でえる熟練の肉体作業となっていた。
私は助席のドアノブを引き、の匂いが混じったたい気を内に入り込ませながら、弘の肩甲骨のに両を差し込み、彼の半を慎に引き起こす。15のに彼の筋肉量はある程度落ち、以よりは軽くなったはずなのだが、腰椎椎板に性な負荷を抱える私の半と体幹にとっては、依然としてずっしりとい質量だった。
「よいしょ……腰、くない?」 「丈夫だ、直子。……すまないな、いつもいつも、こんなたいのをらせて」 「いいのよ、いつものことだから。……リハビリ、頑張ってね。先のストレッチ指導、サボっちゃダメよ。自宅での屈伸も最サボりがちでしょ」 「はは、バレてるか……。善処するよ」
私は子の成皮革のグリップを両でしっかりと握りしめ、除けのきな軒へと彼を押しめる。タイルの継ぎ目で子のキャスターがさな振をてるたび、弘の体がわずかに傾し、私はすかさず腰の角度を微調してバランスをとる。 自ドアが々しくにき、微量の消毒液と湿ったモップの匂いが混ざりった病院特の空気が、顔の皮膚を撫でるように流れてくる。
「サンキュー。……それじゃあ、また2に頼むな」
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弘は、いつものように穏やかで、どこか疲労のをまとった笑いを元に浮かべながら、自ら子のハンドリムに軽くをかける仕を見せた。15の事故直、彼は絶望のあまり自暴自棄になり、私に当たり散らした期もあった。器をに叩きつけ、「こんな役らずのを抱えてきるがない」と夜に声をげて泣いた夜もあった。あの頃のトゲトゲしい攻撃性は、数をかけて「従順で、で、妻に謝している善良な障碍者夫」というパーソナリティへと見事に変質していた。によってはそれを「精神成熟」と呼ぶかもしれないが、私にはそれが、より精巧な「依の構造」の完成形に見えていた。
「うん、2ね。のパーキングの内か、くのカフェでちょっと類の確認でもしてをつぶしているわ。何か変化があったらスマホを鳴らして」 「分かった。ってくるよ。気をつけてな、がいから」
このも、私はいつも通り、弘が病院の自ドアの向こう側、リハビリテーション科へと通じる廊の奥へと消えていく背を見届けた。背の丸まり具、子のキャスターがのポリッシュタイルを転がる軽かつい音。それらすべてが、私のの景そのものだった。背のジャケットの肩甲骨あたりに、うっすらと浮きた汗染みの形まで、記憶の底に刻まれている。
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そして、いつも通り、私は約束の2を腕計の文字盤で確認し、再び病院のロビーの自ドアをくぐった。脚はさらにまり、の窓ガラスには濁った筋がっている。 「弘、お疲れ様。今の調子、どうだった?」 私はロビーの待スペースの角、観葉植物ので待していた子の彼にづき、に片膝をついて線をわせた。タイルの気が膝の布を通して皮膚にしみる。 弘はふっと柔らかな笑みを浮かべ、ジャケットの襟元を片でえながら答えた。 「ああ、おかげさまでな。リハビリの先がしいストレッチを教えてくれて、しずつだけど、肢の筋肉の緊張もほぐれてきている気がするよ。……いつも、本当にありがとう。謝してる」
その言葉の響きは、15、何度となく私のを繋ぎ止めてきた、呪縛の言葉でもあり、救いの言葉でもあった。「謝している」という音節が発せられるたび、私は「私は正しいことをしている」「私は献な妻である」という自己正当化の報酬を受け取っていた。だが、その報酬の価値が、今、急激にインフレを起こして無価値化しようとしている予兆を、私はまだ論理には捉えきれていなかった。
「どういたしまして。さあ、もさらにくなったし、帰って温かいお茶でもみましょう」
私は慣れた付きで、ゆっくりと子のグリップを方に押しめようとする。