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"15年間の車椅子詐欺、夫の足が立った日" 第3話

あ、しまった――。

の顔から、血の気が瞬にして完全に引いた。青く引きつった唇が、細かく震えす。 私のややかな線が、彼のその「がった両」に突き刺さっていることに気づく。彼は慌てて面に膝から崩れ落ちるようにしゃがみ込み、を両で抑え、転がりながらげさに悶えはじめた。

「いたっ……! ショックのあまり、わず無理をしてってしまった……! が、が折れそうだ……!」

聞こえるように、わざとらしく言い訳のようなセリフを吐く。 ああ、痛い……いてぇ……。

こんな見苦しい芝居を繰り広げる弘を見ろしながら、私は笑を浮かべ、吐き捨てるように呟いた。 ふん。しらじらしいんだから。……演技のね。

私は、さっき拾った診察券を彼の顔の数センチに突きした。 ねえ、これ……あなたの診察券よね。

それを見た弘は、わざとらしくをさすりながら、引きつった笑みを作り、議そうな顔を装った。 いつもこれを使って診察を受けているのよね? そうだ……それは、俺がいつも使っている診察券だ……それがどうかしたのか? ああ、いて……が痛いのに……。

しつこく演技を続けながら弘は答える。 それを聞いた私は、ややかな目で言った。 本当……それは、おかしいわね。

そういうと、弘の目のに改めてその診察券を突きつける。 この病院、今はもうないはずよ。

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え? なんだって? 予の指摘に、弘は絶句してきを止めた。 所をよく見てみなさい。この所に、今はもう何もないでしょう。

私は、その診察券に記載されていた病院名と所が、10に別の医療法と統され、さらにその敷自体が型商業施設の敷へと完全に・移転している事実を突きつけた。 こんな昔の切れ、今のこの所にはしないはずの古いロゴの入ったカード。

それを聞いた弘は、や汗をかきながら、引きつった声で必に言い訳を並べてた。 そ、そうなのか……? 普通に使えたけどな……受付のが気づかなかったのかな……俺は、ずっとこれで……。

は、あまりにも見え透いたな嘘でごまかそうとした。 こんなにかぬ証拠を突きつけているにも関わらず、本当は通院すらしていないこと、そしてが治っていることを認めようとしない夫の姿に、私のなかの最の慈が音をてて消えり、イライラが頂点に達した。

私は声を荒げた。 いつまで芝居を続けるつもりなの? あなたの嘘なんて、とっくに全部バレてるんだけど!

そう言うと、私は弘歩、徹に詰め寄った。 ひえっ、と彼は刻みにじさりする。

いつのにか、私たちの周囲には、がりの湿った空気の、物見い通や病院からてきたたちのだかりができていた。

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どうやら言い争っているうちに、2とも声がきくなりすぎていたらしい。 しかも、弘の横にはぽつんと子が転がっている。周囲の々は、子の男性を酷な妻がいじめている、という絵面に見えたらしく、同と非難の入り混じった線を私に向けていた。

(しめった空気……! これは、みんなが俺の方になってくれるかもしれないぞ……!) 自分に同するような線や、「奥さん、ひどいな」という空気をじ取った弘は、これ幸いとばかりに声のトーンをさらにきくして騒ぎ始めた。

「聞いてくれ……この女はひどいんだ! 活の俺を、こんな危険な坂から突き落として殺そうとしたんだ! ああ、が痛い……!」

は周囲にいた々に、私がいがいかにひどく、酷なであるかを、げさな振り振りを交えて声で訴えた。 周りのも、その同を誘う芝居にすっかり気圧され、私をたい目で見始めた。

そこへ、騒ぎを聞きつけた病院の受付係の女性スタッフが、困惑した顔でで駆けつけてきた。

内での騒ぎに、体何事かと女性スタッフは周りのに尋ねる。 「どうしました!? これは、何の騒ぎですか……?」

周りのがその女性スタッフに、子の男性と、その妻である私が揉めているようだと説した。 子の男性……? そう言いながら、女性スタッフはちらりとに座り込む弘の顔を見た。

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