みかん小説
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"15年間の車椅子詐欺、夫の足が立った日" 第1話

席の窓ガラスに叩きつける粒が、細い斜線を幾にも描いては、ワイパーのゴムの摩擦音によって引にかき消されていく。私はをステアリングホイールの皮革の摩耗した部分にしっかりと絡み付け、界の端で、ルームミラー越しではなく、すぐ隣に座る夫・弘の横顔を無質な角度から瞥した。

「弘、確か今もリハビリのだったわよね」

私、直子の声は、15という果てしない歳で完全に乾燥し、の起伏を削ぎ落とした事務なトーンを帯びていた。 夫の弘は、その問いかけに即座には反応せず、ワイパーが残す半円形の界の向こう、に澱んだアスファルトの面へと線を泳がせたのち、やがてゆっくりと正面へ首を戻し、さくうなずいた。

「ああ……そうだな」

夫の弘慮の交通事故によって骨盤と脊髄周辺を打し、能障害の能性を告げられて活の自由な現実へと突き落とされてから、すでに15き歳が流れていた。 季節は巡り、私はその15役所の窓業務で夕方まで数字や類に向きい、退庁のチャイムが鳴ると同に息せき切ってばし、帰宅すれば休むもなく蔵庫の庫を計算し、夫の着を取り換え、子からベッドへの量のある移乗で腰椎の鈍い痛みに耐え、夜に微かな寝息や物音にび起きる活を、歯が噛みった械のように正確に続けてきた。

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そして、今もまた、のルーティンである通院のだ。 弘は膝ので両を軽く組み、どこか億劫そうに、しかし15かけて体に染み付いた「者としての無言の求」を孕んだ調子で言った。 「あ、そうだ。悪いけど……今のところは病院の正面玄関の除けのまで送ってくれないか。えがちょっと気になるんだ」 「ええ、もちろんよ。いつも通りね」

私はアクセルペダルへの踏み込みをわずかにくし、シグナルが変わるのを待つ交差点で体を滑らかに止させた。井を叩く音がまり、タイヤが面のたまりを切るたい音が響く。 私はサイドブレーキのレバーを力く引き、イグニッションキーを捻ってエンジンを完全沈黙させた。 助席のドアをけるに、部座席の元に積んでおいた折り畳み式の軽量子を引きずりし、アスファルトの濡れた面の属フレームをガチャンと展する。その連の脱着・展作は、考の介を許さない、無える熟練の肉体作業となっていた。

私は助席のドアノブを引き、の匂いが混じったたい気を内に入り込ませながら、弘の肩甲骨のに両を差し込み、彼のを慎に引き起こす。 「よいしょ……腰、くない?」 「丈夫だ、直子。

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……すまないな、いつもいつも」 「いいのよ、いつものことだから。……リハビリ、頑張ってね。先のストレッチ指導、サボっちゃダメよ」

私は子の成皮革のグリップを両でしっかりと握りしめ、除けのきな軒へと彼を押しめた。 自ドアが々しくき、微量の消毒液と湿ったモップの匂いが混ざりった病院特の空気が、顔の皮膚を撫でるように流れてくる。

「サンキュー。……それじゃあ、また2に頼むな」 弘は、いつものように穏やかで、どこか疲労のをまとった笑いを元に浮かべながら、自ら子のハンドリムに軽くをかける仕を見せた。 「うん、2ね。のパーキングの内か、くのカフェでちょっと類の確認でもしてをつぶしているわ。何か変化があったらスマホを鳴らして」 「分かった。ってくる」

このも、私はいつも通り、弘が病院の自ドアの向こう側、リハビリテーション科へと通じる廊の奥へと消えていく背を見届けた。背の丸まり具子のキャスターがのポリッシュタイルを転がる軽かつい音。それらすべてが、私の景そのものだった。

そして、いつも通り、私は約束の2を腕計の文字盤で確認し、再び病院のロビーの自ドアをくぐった。

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