"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第14話
「はい、チーズ!」 原のさを背景に、4の笑顔がファインダーのに切り取られた。 その央で、レンは太の肩に片を回し、胸を張ってっていた。
それから、が流れた。
の陽が、病院のガラス窓を柔らかく照らしている。 私はのポケットにを入れ、庭の芝を眺めていた。 そこでは、になったばかりのレンが、同世代の友たちに混じって、軽な取りでサッカーボールを追いかけていた。 パスを受け、華麗なターンを決め、ゴールネットに向かって力いシュートを突き刺す。
「やったー!」
仲の歓声が響き、レンは両をく突きげて空を見げた。 その胸の内部では、かつて誰かから託された命の炎が、何つ迷いなく、力いリズムを刻み続けている。
医事課の廊から、の裾を揺らして美都さんが歩いてきた。 彼女の薬指には、シンプルなプラチナの指輪がっている。 「健太郎さん。、がしてきたわよ。レンに着持っていってあげないと」 「ああ、そうだな。……でも、見てみなあのり。もう配いらないさ」
美都さんはを止め、グラウンドで息を切らしながら笑う息子の背を見つめ、穏やかに目を細めた。 「……本当に。みたいね」
「じゃないさ。君が諦めず、あの子が諦めず、みんなで繋いだ現実だ」
背から、しびた声が聞こえた。
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「パパ、ママ、遅いよー! 次の試、始まるよ!」 制のネクタイをし緩めたの太が、ペットボトルを本持ってってきた。そのろから、笑顔のレンが軽くを振りながらりでづいてくる。
「パパ! 見た!? 今ののシュート!」 「見てたぞ。完璧だったな」
私はレンの汗ばんだを、かつてと同じようにぐしゃぐしゃと撫でた。 の髪から、のと、眩しい未来の匂いがした。
傷だらけだった私たちは、ただの奇跡を待つのではなく、を取りってを創りした。 臓の鼓は、族のだ。 私たちはそれぞれので、確かな未来へ向かって歩きす。
の卒業式が終わった午。 リビングのテーブルのには、あの古い「やりたいことリスト」のノートがそっと置かれていた。 ページをくと、幼いで震えながらいた文字が並んでいる。 『りたい』――クリアした。 『サッカーがしたい、友達と』――クリアした。 『運会にたい』――クリアした。 『お母さんを笑わせたい』――毎クリア更。 最のには、しきめの、しかし力い文字で、最きされた文があった。 『パパとママに、ちゃんと「ありがとう」って言う』
ガチャリと玄関のドアがいた。 制のブレザーをしだけ緩め、胸元にさな飾り(コサージュ)をつけたレンが、し照れくさそうにリビングへ入ってくる。
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「ただいま……」
キッチンから顔をした美都さんが、その姿を見た瞬、両で元を押さえて目をくした。 「レン……お帰りなさい。卒業、おめでとう」
私はソファからちがり、制姿ですっかり背が伸びたのにった。顔ちはすっかり引き締まり、の片鱗を見せている。 だが、その胸のなかでは、あの夜に私自ので繋いだしい命の音が、変わらず温かく、力くリズムを刻んでいる。
レンはポケットから、しだけ赤くなった頬をかきながら、まっすぐ私と美都さんを見つめる。 「あのさ……、いてきた。……恥ずかしいから、で読んでって言おうとったけど、やっぱ、ちゃんと言うわ」
リビングの空気が、の柔らかなのように優しく静まり返った。 太が「兄ちゃん、かっこいいぞ!」と茶々を入れようとして、美都さんに目配せで制される。
レンは呼吸をつし、し震える声で読みげた。 「『パパ、ママへ。 あのとき、池のそばで“使になる”なんて言って、ごめんなさい。あのの僕には、それしか見えなかった。 でも、パパが泣きながら、絶対に逃げないって言ってくれた夜から、僕の世界は変わりました。ママが毎作ってくれたスープのも、太とうるさいくらい喧嘩した夕方も、全部がきている証拠でした。 しい臓をもらったこと、ただ謝するだけじゃなくて、この臓が誇らしくえるようなき方をします。
僕をここまで育ててくれたパパとママ、本当にありがとう』」