"余命1年の少年が託した、移植心臓の奇跡" 第7話
美都さんが微笑む。 しばらくして、ゲームに段落ついた太が、今度はリュックから冊の古い絵本を取りした。
「蓮君、絵本って好き?」
「絵本?」
「うん。これね、『の王子さま』っていうんだけど。僕のママが、寝るによく読んでくれた好きな絵本なんだ」
太は、し褪せた表の絵本をベッドのにいた。
「太君の……ママ?」
「うん。僕のママはね、お空の国にいるんだ。僕が赤ちゃんのにんじゃったから、顔は写真でしからないんだけどね。でも、この絵本を読むと、ママの声が聞こえるみたいで、ママのこといすんだよ」
太は、しだけ寂しそうに、でも誇らしげに笑った。 蓮君は、太の顔と絵本を交互に見つめ、ハッとした表になった。
「そっか……。太君には、ママがいないんだね」
「うん。でもね、パパがいるから全然寂しくないし、丈夫! うちのパパは、世界の才臓科医なんだから! 蓮君のことも、絶対に術で治してくれるよ!」
太は、俺の方を指差して自信満々に胸を張って言った。
「……本当に?」
「本当だよ! パパはすごいんだから!」
蓮君は、しだけ俯き加減だった顔をげ、表をるくした。
「僕……治るのかな?」
「絶対治るよ! だってパパが約束したもん! 治ったらね、僕と緒にで競争しようよ!」
「……そっか」
蓮君の目に、再びさな、しかし確かな希望のが宿った。
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「じゃあ、次は折りやろうよ! 僕、鶴を折れるんだ!」 太がを取りす。
「すごい! 僕にも教えて」
はベッドのに折りを広げ、緒に鶴を折り始めた。
「ここの角をわせて、こうやって折ってね……」
太のさなが、蓮君の震えるに優しく教えていく。
「うーん……角をわせるの、難しいな」 蓮君が器用なつきで苦戦していると、太が励ます。
「丈夫! 僕も最初はぐちゃぐちゃに失敗したよ。でも、何回も練習してやったら、になったんだ。蓮君なら絶対できるよ」
「太君……僕にも、できるかな?」
「できるよ! 蓮君は、病気と戦う頑張りさんだもん!」
蓮君は真剣な顔で折りと向きい、指先に力を込める。しずつ、しずつ、器用ながらも鶴の形ができていく。
「できた……!」
「すごい! 蓮君、初めてなのにすごくだね!」
蓮君は、自分で折ったし歪な鶴を見て、嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。その笑顔は、病気のをじさせない、子供らしいからの笑顔だった。
美都さんは、廊でその姿を見つめながら、こらえきれずに涙を流していた。
「あの子が……あんな満面の笑顔で笑うのを見たのは、本当に久しぶりです」
「蓮君、しずつ、でも確実に変わってきてますね」
「はい。全て太君のおかげです」
俺は隣につ美都さんの横顔を見た。毎仕事と病で疲労困憊している顔だが、今はしだけ肩の力が抜け、母親らしい柔らかい表をしている。
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「美都さん。あの子たちの笑顔を守るために、緒に頑張りましょう」
「……はい」 美都さんは、力く頷いた。
「俺も……妻を失ってから、太をで必に育ててきました。妻のを理解し始めた頃、太は全く笑わなくなった期があったんです」
「そうだったんですか……」
「ええ。でも、周りの支援を受けながら、しずつ、しずつ笑顔を取り戻してくれました。子供の回復力は、俺たちがっているよりずっといんです」
「太君は、本当にい子ですね。そして、痛みが分かるからこそ、とても優しいです」
「蓮君も、きっともっと元気な笑顔を取り戻します。俺が、必ず治しますから」
美都さんは、袖で涙を拭った。
「先……私、夫が逃げてから、ずっとで戦ってきました。誰にも音を吐かず、頼らず、誰にも助けを求めず……。でも、太君のるい笑顔を見ていたら、『私も、もうしだけ希望を持ってもいいのかな』って、そうえたんです」
「美都さん、もうじゃありません。これからは、俺たちも緒に戦いましょう」
美都さんは、く、く頷いた。
「ありがとうございます……。太君のおかげで、蓮がしずつ未来への希望を持ち始めている気がします」
病から、鶴をばして遊ぶの元気な笑い声が聞こえてくる。その温かい声が、俺たちのも優しく解かしてくれた。
翌。太は保育園帰りに、また蓮君の病を訪れた。