"親族席から消された母と24年目の離縁" 第26話
「けい子さん、内容に違いがなければ、こちらにご署名とご捺印をお願いします」
田先の声に促され、私は鞄のからさな印鑑ケースを取りした。
朱肉に印面をしっかりと押し当て、い類の指定された枠のに真っすぐに印をろす。
婚協議と縁届、2つの類に私の印が押された瞬、24にわたる私の族の歴史は法に完全に消滅した。
胸の奥で激しいが渦巻くかとっていたが、私のは議なほど凪いでいた。
しみも悔しさも、そして彼らに対するりすらも、もう滴も残っていない。
ただ肩にのしかかっていたくてたいのような義務が、綺麗に洗い流されたような解放があった。
誰かの嘘をかばう必も、誰かの代わりになって見される必もないがここから始まるのだ。
「期にわたり、本当にお疲れ様でした」
田先が類を丁寧にファイルに納めながら、穏やかで温かい笑顔を向けてくれた。
「これからの続きは全て当事務所で代し、役所への提も責任を持って済ませておきます」
先はさせるように言った。
「ご主と息子さんとの法な関係は、これで名実ともに終となります」
私はちがった。
「ありがとうございました。先のおかげで、私は自分のを無事に引きげることができました」
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私はくをげて、かった話しいの席からゆっくりとちがった。
事務所の窓のを見ると、の澄み切った青空がビルの向こうまでく広がっている。
応接をてエレベーターホールに向かう途、私は自分のスマートフォンを取りした。
連絡先の覧からかず彦とゆうとの名を探しし、画面をタップする。
そして話番号の登録もメッセージアプリのアカウントも、全て完全にブロックして削除した。
もう彼らと言葉を交わすことも、彼らの活の世話を焼くことも2度とない。
彼らがこれからどんなに悔し、寂しさに耐えかねて連絡を取ろうとしても、私には永に届かない。
それが、彼らが自らので来ない方がいいにしたことへの、1番酷で確かな答えだった。
エレベーターのいドアが静かにき、私は1階のロビーへとりった。
たいが吹き抜ける駅の通りを、私はしっかりとを向いて歩き始める。
はスーパーのパートではなく、しく紹介してもらった事務の面接が控えている。
50代からの再発は決して楽なではないだろうが、私のにはなかった。
これからは自分の稼いだおを、自分のためだけに使ってきていくことができる。
のにある黒い革の鞄は昨までよりもずっと軽く、私の確かな未来のさだけを抱えていた。
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季節が巡り、窓越しのにかすかなの匂いが混じるようになった。
かず彦との婚とゆうととの縁が正式に成してから、半が過ぎていた。
私は今、しく採用された内のさな事務会社で社員として働いている。
50代からの再就職は決して簡単なのりではなかった。
それでも真面目に仕事を覚え、正確に伝票を処理する私の姿勢を社は評価してくれた。
毎朝同じに起き、お弁当を作り、決まったに乗って職へ向かう。
誰の嘘をかばうこともなく、誰の嫌を伺うこともない。
静かで確かな毎だ。
の噂で、かず彦がを売却し、古い単アパートで暮らしていると聞いた。
慰謝料と財産分与を支払ったの彼には、ほとんど何も残されていないはずだ。
親族からも完全に孤し、ただ1でうら寂しい老へと向かっているのだろう。
しかしその話を聞いても、私のには何のも湧かなかった。
彼がこれからどんなを歩もうと、それはもう私の世界とは完全に切りされた物語なのだ。
夕方の6、仕事を終えた私は帰りにあるスーパーで夕の買い物をしてから帰宅した。
古い鍵を回してドアをけると、たい空気が私を包み込む。
誰もおかえりと言ってくれない部だが、私にとっては1番くつろげる切なだ。
私はコートを脱ぎ、エプロンをにつけて台所へと向かった。