"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第23話
義母の声は涙で枯れていた。
「幸、あんた私を捨てるつもりだったの……? 私の老資を全部奪って、若い女とで逃げるつもりだったの……!」
義母はちがり、夫の胸ぐらを掴もうとした。
夫は青ざめた顔でずさりした。
「違う母さん、誤解だ。おの施設の入居は、このを売ったで払うつもりだったんだ……」
夫はパニックになり、言ってはいけないことまでってしまった。
『このを売る』。
その言葉を聞いて、私の両親が初めてをいた。
ずっと黙ってを向いていた私の父が、静かに、しかし凄みのある声で呼びかけた。
「幸君」
夫はビクッと体を震わせ、父を見た。
父の目には娘を傷つけられたいしみとりが満ちていた。
「君は、美が自分の料で懸命にローン払ってきたこのを、勝に売ろうとしていたのか」
妻を無文で追いし、を売り払い、自分の母親のまで巻きげて若い女性と暮らす。
父はゆっくりと首を横に振った。
「君はとして最の真似をしようとしていたんだな」
夫は何も言い返すことができなかった。
夫叔父もい失望の目を夫に向けている。
叔父はい息を吐きした。
「幸、おという男はここまで腐っていたのか。美さんに活費を全部押し付け、政婦のようにこき使い、裏ではこんな卑劣な計画をめていたとは……」
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夫叔父は私に向かって、くをげた。
「美さん、本当に申し訳ない。内として返す言葉もありません」
叔父がをげたことで、私の両親もしだけ救われたような顔をした。
私は静かに頷き、叔父に顔をげてもらった。
夫は完全に孤した。
方だとっていた夫叔父に見放され、私の両親からは軽蔑され、そして何より共犯者であったはずの義母から憎悪の目を向けられている。
義母は泣き叫びながら、夫の腕を何度も叩いた。
「棒! 私の千万円を返しなさい!」
夫は抵抗する気力もなく、ただ力なく子に座り込んでいた。
数まで私に偉そうに命令し、「俺が養ってやっている」と豪語していた男の惨めな末だった。
座をして謝ることも、泣いて許しを乞うこともできない。
ただ自分がしでかしたことのきさに押し潰され、言葉を失い、焦点の定まらない目でを見つめているだけだった。
私はその姿をややかに見つめていた。
これが私が耐え忍んできたことの、つの結末だ。
しかし、まだ全てが終わったわけではない。
藤弁護士が静かに咳払いをした。
「さて、事実関係が皆様にらかになったところで、今の続きについてお話ししましょう」
藤弁護士は夫のに、枚のしい類を置いた。
それは婚届ではない。
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私が突きつける、完全な勝利のための条件だった。
その内容を見た瞬、夫の目から最の滴の希望が失われることになる。
藤弁護士がテーブルの央に置いたのは、数枚のい類だった。
番には『婚協議』という文字がはっきりと印字されている。
夫が先ほど私に突きつけた、役所でもらえるペラペラのとは違う。
法な拘束力を持ち、切の逃げを許さない完璧な契約だった。
藤弁護士は静かに、しかし酷な事実を告げるように言った。
「ご主、あなたが企てた計画は未遂に終わったとはいえ、極めて悪質です」
弁護士は続ける。
「奥様の同なく共財産であるを売却しようとしたこと。そして部である吉川さんとの貞為」
夫はビクッと肩を震わせ、力なくうなだれた。
藤弁護士は類の該当箇所をペン先で示した。
「これらの事実に基づき、奥様はあなたに対し、婚と慰謝料を請求します」
弁護士は数字を告げる。
「慰謝料の額は、あなたと吉川さんの両名に対し、それぞれ百万円。貞為と悪質な財産隠しのペナルティとしては妥当な額です」
百万円という数字を聞いて、夫は弾かれたように顔をげた。
夫の鳴のような声がリビングに響いた。
「百万だと? そんな俺にあるわけがないだろう!」
夫は必に抵抗しようとした。
「のローンだって半分の残っているんだ! 慰謝料なんて払えるわけがない!」