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"3200万円を隠した姑と「養ってやる」の夫" 第2話

私が何も言わずにやるから、誰もがそれを当たりに受け入れてきたのだ。

指先がたいエプロンの紐に触れた。

義母はそれを見て、満そうに頷いた。

嫁は結局自分の言うことを聞くしかない、そう確信している顔だった。

数秒の沈黙が流れた。

私は布団のを見ろし、そして義母の顔を真っ直ぐに見つめ返した。

私はエプロンをフックからした。

しかし、それをにつけることはしなかった。

ゆっくりと丁寧につ折りに畳むと、玄関の飾り棚のに静かに置いた。

義母が怪訝そうな声をげた。

「何してるの?」

私は靴を脱ぎ、鞄を持ち直した。

「今は寝ます」

義母は目を丸くした。

「はあ? 布団はどうするのよ?」

私ははっきりと告げた。

「私は洗いません。ご自分で洗うか、それが無理なら使っているがどうするか決めてください」

から義母のヒステリックな声が追いかけてきた。

「誰がやるのよ、あなたこのの嫁でしょう!」

私はもう振り返らなかった。

階の寝に入り、遮カーテンをしっかりと閉めた。

スマートフォンの源を切り、たいベッドに体を沈めた。

目を閉じても、臓の奥がたく脈打つのが分かった。

議と涙はなかった。

ただ、私ので何かが確実に、音をてずに崩れ落ちていくのをじていたのだ。

の午

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階から微かに話し声が聞こえてきた。

夫が起きてきたのだろう。

夫の苛った声が聞こえる。

「何だよこれ。邪魔だな」

義母のりを孕んだ声がそれに答える。

「美さんが洗わないっていうのよ。嫁のくせに偉そうに」

夫はし困ったように答えた。

「昨あいつ、徹夜みたいな勤務だっただろう。無理言うなよ」

瞬、夫が私を庇ってくれたのかとった。

私の変さをしは分かってくれているのかと。

しかし、擦れの音と共に聞こえてきた言葉は、私のを完全に凍らせるものだった。

夫は事も無げに言った。

「まあでも、起きたらやるんじゃない? 昼過ぎには起きるだろう。俺はもうくから」

夫はそのまま靴を履き、何事もなかったかのように会社へ勤していった。

妻が徹夜けでぬほど疲れているとっていながら、自分でやろうとはわない。

は必ず妻がエプロンをつけて片付けるのが当然だとっている。

その事実が、静かな寝の空気をたく満たしていった。

私はゆっくりと体を起こした。

階にりると、玄関にはまだ布団が積みにされたままだ。

リビングでは義母がテレビを見ていた。

義母は私を瞥して言った。

「やっと起きたの。洗濯空いてるわよ」

私はその言葉を完全に無し、台所でたい杯だけみ干した。

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そして卓のに、自分のノートパソコンをいた。

りに任せてしたり、泣きながら文句を言ったりするようなことはしない。

私は経理のだ。

はっきりとした数字と事実だけが識を変え、相を確実に追い詰めることができるとっている。

キーボードを叩く私の指先に迷いはなかった。

夫も義母もまだ気づいていない。

の夕方、この卓のに置かれたあるものを見て、自分たちの常が完全に崩れることを。

そして、私がもう度とあのエプロンをつける気がないということを。

ノートパソコンの画面には、い文作成ソフトがかれている。

私の指は休むことなくキーボードを叩き続けていた。

画面に黒い文字で並んでいくのは、この、私が無言で引き受けてきた見えない事の数々だ。

の準備、夫の弁当作り。

の買いしと調理、器洗い。

部分の掃除掛け、トイレと洗面所の清掃。

キーを叩くたびに、徹夜けのひどい痛がズキズキと波打つように響いた。

それでも私のは止まらない。

トイレットペーパーや洗剤など、用品の庫確認と補充。

義母の通院のネット予約、町内会の回覧板回し。

季節ごとの寝具の入れ替え、宅配便の受け取りから古くなったの問いわせまで。

項目をすたびに、私の胸の奥で何かがたく固まっていくのをじた。

なぜ私はここまで黙って耐えてきたのだろうか。

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