"3ヶ月開けなかった白い封筒と流産した妻" 第19話
「俺は、リナと投資資料を見ていた。君の名が画面にるのを見て、に帰ればいいだろう。そうった」
桜の表にきな変化はなかった。
啓介はゆっくりと拳を握った。
「で封筒を読んで最初にったことが何か分かるか。俺はらなかったということだった」
彼は線を落とした。
「最初はそればかりにすがりついていた。俺はらなかったんだと。君が言わなかったじゃないかと」
彼は自嘲気に笑った。
「でも、が経って分かったんだ。俺はらなかったんじゃない。ろうとしなかったんだ」
桜の指先が膝のでごくわずかにいた。
啓介は続けた。
「君の体調が悪くても、友達に会えなくても、俺の仕事のために徹夜しても、俺は君が丈夫だと言えば本当に丈夫なんだとっていた」
彼の声が僅かに震える。
「いや、丈夫だと信じたかったのかもしれない。その方が俺が楽だったから」
桜は窓のに線を向けた。
啓介の声がしずつ掠れていく。
「それに、リナに気がなかったという言葉ももう言えない。してはいなかった。でも彼女が俺をすごいのように見てくれるのが、よかったんだ」
彼はく息を吸い込む。
「君のでは俺がどんなか全て見透かされているのに、リナのでは成功した経営者でいられたから。それを楽しみながら、裏切りじゃないと嘘をついていた」
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彼は瞬顔を伏せた。
「ごめん。あの子にも、君にも。そして君のを、俺の名のに隠してしまったことも」
桜はく答えなかった。
やがて彼女がをいた。
「その言葉を3にもし聞いていたら、分私は帰ってきたでしょうね」
啓介の差しが揺れた。
桜は淡々と付け加えた。
「そして、その方がもっとしいこと。あの頃の私は、その程度の謝罪さえあれば、また自分のを諦めてしまっていたでしょうから」
啓介はしばらく何も言えなかった。
桜は彼を憎んでそう言っているのではなかった。
だからこそ、余計に残酷に響いた。
啓介はやがてい声で尋ねた。
「今は?」
桜が彼を見た。
「今は、あなたの謝罪を受け入れます」
啓介の瞳に、ごくい希望のが宿った。
しかし桜はすぐに次の言葉を継いだ。
「許すこともできるとう。いつかは完全に」
啓介は息をすることさえ慎になった。
「じゃあ……」
「でも、戻ることはありません」
その言が、会の全ての音を消しった。
啓介のが膝ので固まる。
桜は彼に分なを与えてから言った。
「昔は、許すということはまたさなければいけないことだとっていました」
彼女は目を伏せる。
「したからには最まで責任を取るべきだとも。でも違ったんですね」
桜は静かに言葉を紡ぐ。
「誰かを憎まずにることもできる。
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許しながら、2度と同じ関係には戻らないという選択もできるんです」
啓介が苦しそうに尋ねた。
「俺を、していないのか」
桜はすぐには答えなかった。
窓のでは、太陽がゆっくりとビル群のに沈んでいく。
「啓介というを見ると、まだ痛む記憶があります」
彼女は顔をげた。
「良い記憶も。初めて会ったのこと。結婚に緒にバスに乗ったのこと」
桜の表がしだけらいだ。
「あなたが初めて会社を任されて、怖いくせに平気なふりをしていた顔も覚えていますよ」
彼女の声が、ほんのしだけ柔らかくなった。
「でもそれは、戻りたいというじゃない。したと、これからすべきは同じではないから」
啓介は唇を噛みしめた。
3の彼なら、その言葉を認めなかっただろう。
自分が変わったのだから、桜もまたチャンスをくれるべきだとそう考えたはずだ。
だが、今の彼には分かっていた。
自分の成が、桜に何かを求する理由にはならないのだと。
その夜、2は連れって会社のビルをた。
記者たちはすでに引きげており、ロビーには退勤する社員が数残っているだけだった。
ガラスのドアので、啓介はふと桜を呼び止めた。
「桜」
彼女が振り返る。
啓介は数歩づいてからち止まった。
「直さんとは、付きってるのか」
予の質問に、桜はし目を見いてから笑った。
「それが最に聞きたいことですか?」