"3ヶ月開けなかった白い封筒と流産した妻" 第16話
をくれ」
桜はしばらく彼を見つめた。
その瞳のに憎しみもも見えなかった。
「調査が終わったで。そのになってもどうしても話さなければならないことがあるのなら、聞きます」
彼女は背を向けた。
啓介はそのにち尽くし、ざかっていくろ姿を見つめるしかなかった。
通の先で直が桜のカバンを受け取ろうとを差しした。
だが、桜は笑って首を横に振った。
2のの自然な親密さが啓介の胸をえぐった。
だがそれ以に苦しかったのは、嫉妬する資格さえ自分にはないという事実だった。
調査が始まると、桜は名グループの過をく徹底に掘りげていった。
彼女はリナの報漏洩事件に作成された監査資料から、古いM&Aの記録、関連会社のリストラに関する文まで全てを再検討した。
その過程で、10に倒産した請け企業の記録が目にとまった。
リナの父親が経営していた会社だった。
当、名グループは契約を打ち切りサプライチェーンを再編しており、法には何の問題もなかった。
しかし資料を詳細に見ていくと、桜は奇妙な点に気づいた。
請け企業の経営が悪化し始めたも、名グループは数ヶにわたってさらに単価を引きげる圧力をかけていた。
内部では、その会社が持ちこたえられない能性をすでに予測していたのだ。
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啓介が経営を完全に掌握するのことだった。
だが若き戦略担当者だった彼は、そのリストラ案を承認した1だった。
桜は啓介を会議に呼びした。
資料を彼のに滑らせながら言う。
「これ、覚えてますか?」
啓介は数ページめくった、表を固くした。
「リナの親父の会社……」
桜が頷く。
「はい」
啓介が言葉を紡ぐ。
「だからと言って、リナがしたことが正当化されるわけじゃない」
「そういう話をしに来たんじゃありません」
桜は静に言った。
「原因があったからと言って、犯罪が消えるわけじゃない。でも、会社がどんなをどうやって敵に回してしまったのかをっておかなければ、同じことが繰り返されます」
啓介は資料に目を落とした。
過の自分は、これを成功したコストカットだと教わった。
数字の裏で誰が倒れようとではなかった。
彼はく言った。
「あのは、正しいことをしているとっていた」
桜は静かに答えた。
「っています。あなたはいつも、結果が正しければ過程も正しいと信じていましたから」
啓介はその言葉に何も返せなかった。
それは会社の話であり、同に彼らの結婚活の話でもあったからだ。
数、桜は予の決断をした。
役員会の部は、名グループのブランド価値がこれ以がるに、核の関連会社まで分割して売却すべきだと主張した。
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そうすればアトラスパートナーズは期できな利益を得ることができる。
会議が終わった、直が尋ねた。
「売却する方が、投資会社としてはずっと楽ですよ」
桜は窓のを見つめた。
「分かっています」
「それでも再させるんですか?再できるなら」
直が微笑んだ。
「啓介のためですか?」
桜は即座に首を横に振った。
「違います」
彼女は元の社員名簿と取引先のリストに目をやった。
「この会社が潰れたら、会1だけが潰れるわけじゃない。リナさんのお父さんの会社が潰れた、名グループはそれをただの数字としてしか見なかった。私は同じことはしたくないんです」
直はしばらく彼女を見つめていた。
「あなたがそういう選択をするとっていました」
桜が笑った。
「それ褒め言葉ですか?警告にいですね」
「あなたは々を救うことに本気になりすぎて、ご自の取り分を忘れてしまうから」
その言葉に桜は瞬表を止め、それからゆっくりと微笑んだ。
以の彼女なら、誰かを救うために自分を先に犠牲にしただろう。
だが今は違った。
「だから今回は、契約に私の報酬から先に盛り込んでもらったじゃないですか」
直が吹きした。
桜も釣られて笑う。
くでその景を見ていた啓介はを止めた。
桜があんなに屈託なく笑う顔、自分は最にいつ見たのかいせなかった。