"3ヶ月開けなかった白い封筒と流産した妻" 第3話
初めて妊娠に気づいた、桜はすぐには啓介に伝えなかった。
彼が会社の買収問題で徹夜続きだったからだ。
仕事が段落したら、このさな箱を渡して驚かせたかった。
だが、仕事が終わるに、お腹の子は先にいなくなってしまった。
桜は箱をけなかった。
そのまま引きしを閉め、そのにそっとのひらを置いた。
胸のどこかが、今更になって崩れていくような気がした。
だが、声をして泣くことはなかった。
彼女は静かに呟く。
「ごめんね」
それが誰に向けた言葉なのか、彼女自にも分からなかった。
赤ちゃんにか、自分にか。
それとも、あまりにもくしすぎた男にか。
しばらくして、桜はリビングのテーブルのに結婚指輪を置いた。
指輪の隣には、署名を終えた婚届のコピーを添える。
原本はすでに弁護士に送ってある。
彼女は静かにちがり、最に部全体を見渡した。
この6、彼女が毎自分がきていることを証してきた空だった。
その瞬、玄関の照が自で点灯した。
毎晩遅くに帰ってくる啓介が、つまづかないようにと桜が設定しただった。
彼女は瞬だけそれを見つめる。
そして、スマートフォンを取りし、自宅の管理アカウントをログアウトした。
夜9過ぎ、啓介は会で1コーヒーをんでいた。
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桜が置いてった封筒は、依然としてデスクの隅に置かれたままだ。
彼はわざとけなかった。
先に読んだ方が負け。
そんな気がしたからだ。
桜はいつもそうだった。
腹をてても晩も持たず、啓介がごめんと言謝れば許してくれた。
結局は彼女の方が先に夕の支度をした。
結婚記を忘れたも。
彼女の誕に張にったも。
姑がで桜を蔑ろにしたも。
いつもそうだった。
だから今回も、が解決してくれると信じていた。
その、ノックと共にリナが入ってきた。
彼女はし俯き加減でをいた。
「会、先ほどは申し訳ありませんでした」
彼女の目元は赤くなっていた。
啓介は疲れた顔で類を閉じた。
「君のせいじゃない」
リナがそうな線を向ける。
「奥様が本気で婚をおっしゃるなんて……」
啓介はし黙っていたが、やがてふっと笑った。
「婚なんてできっこないさ。あいつは」
リナがおずおずと尋ねる。
「本当にそうわれますか?」
啓介はく答えた。
「ああ」
言葉は断定だったが、その理由を彼は説できなかった。
しているからではない。
桜が自分かられられるはずがないと、そう信じ込んでいただけだった。
彼はジャケットをに取りながら言った。
「数、実にでもいるんだろう。こっちから連絡はするな」
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彼はドアに向かって歩きす。
「今回は、自分がどれだけだったかいらせてやる」
リナは黙って頷いた。
しかし、啓介が背を向けた瞬、彼女の線はデスクののい封筒に注がれていた。
封筒のからわずかに覗く類の隅を見て、彼女の瞳が瞬揺れた。
数、彼女は会に入るより先に、啓介のスケジュールにはない桜の来訪をすでにっていたからだ。
自宅に到着した啓介は、玄関のドアをけた途端に異変をじた。
全てがいつも通りのはずだった。
照はつき、空気清浄は静かに作している。
キッチンには朝、桜がけたいがそのまま飾られている。
なのに、音がなかった。
啓介は靴を脱ぎながら、何気なく呼びかけた。
「桜」
返事はない。
彼はもう度呼んだ。
「桜」
いつもなら寝か斎かどこかから、お帰りなさいというい声が聞こえるはずだった。
啓介はキッチンへ歩いていく。
蔵庫のドアには、来週彼が受けるべき健康診断の程が貼られていた。
だが、卓のには何も用されていない。
奇妙なことに、それが1番最初にじただった。
彼はスマートフォンを取りし、桜に話をかけた。
呼びし音すら鳴らない。
お客様のおかけになった話番号は現使われておりませんというアナウンスが繰り返されるだけだ。
啓介は眉をひそめてもう1度かけた。
同じアナウンスが流れる。
その、テーブルので何かがっているのに気づいた。