みかん小説
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"じいちゃんの遺言" 第7話

根の部が崩落している。 「おい! 誰かいるか!」 叫びながら駆け寄る。の入りは、根から落ちたで完全に埋もれていた。

俺はスコップを放り投げ、素で必を掻きし、歪んでかなくなったドアを蹴破った。 バキッ! という音と共にドアがれ、にライトを向ける。 すると、が吹き込む部の隅で、1の女性がうずくまるようにして倒れていた。

「おい! しっかりしろ!」 駆け寄って抱き起こす。女性の体は氷のようにたく、顔面は蒼だったが、首筋にを当てると、微かに脈はあった。 「う……ぅう……」 「よかった、きてる!」 俺は堵の息を吐き、持ってきた毛布で彼女をぐるぐる巻きにくるんだ。そして、そのまま背負いげる。 「うっ……! つぞ!」

の女性とはいえ、を背負って歩くのは像以労働だ。 背で、識の混濁した彼女が、うわ言のように子供の名を呼んだ。 「つむぎ……りつ……逃げて……」 「しろ! あいつらは元気だ! 俺ので、飯もった!」 の音に負けないように元で叫ぶと、彼女はふっと力を抜き、完全に俺の背を預けた。

帰りは、記憶がない。 むごとに太ももの筋肉が鳴をげたが、ただひたすら、無かした。で待つ、あの2つのさな命のために。

「ちばちゃん!! ママ!!」 にたどり着き、引き戸をけると、してきた2が泣きながら、俺の背の母親に抱きついた。

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俺は彼女をストーブのくに寝かせ、温めた濡れタオルで顔を拭き、しずつ湯をに含ませた。 しばらくすると、彼女の顔にわずかに赤みが戻り、ゆっくりと目がいた。 「ここは……」 「ママ! よかった! ママ!」 「……紬、律……無事だったのね……!」 親子3がきつく抱きい、声をげて涙を流す。その景を見て、俺はまた目くなった。

「気がついたか。よかったな」 俺がれた所から声をかけると、彼女はハッとして俺を見た。 「あなたが……助けてくださったんですか?」 「子供たちが呼びに来たんだ。俺は運んだだけだ」 照れ隠しでぶっきらぼうに答えると、彼女は涙を流しながら、座ったまま何度もげた。 「ありがとうございます……。本当に、ありがとうございます」 「いいってことよ。それより、これえ」

まずは温かい湯で体をから温めさせた。母親の顔にしずつ気が戻ったのを見計らって、俺は消化にいいようにめたカレーを、スープ代わりに差しした。 「カレー……?」 彼女は驚いたように目を見いたが、スプーンでべると、その表変した。 「え……これ……」 彼女のが、カタカタと震え始めた。そして、信じられないものを見るような目で、俺の顔をまじまじと見つめた。 「この……まさか、千葉さんの……?」 「は? なんで俺の名っているんだ?」 俺は眉をひそめた。

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名乗った覚えはない。

「私、さい頃、このくにんでいて……。よく、千葉のおじいちゃんに、このカレーをべさせてもらっていたんです」 「じいちゃんをってんのか?」 「はい。両親がくなってぼっちだった私を、おじいちゃんがいつも気にかけて、励ましてくれて……」 彼女の目から、再び粒の涙が溢れした。 「この、隠しのりんごと蜂蜜のです。懐かしい……あのだ……」

俺は言葉を失った。 じいちゃん。頑固で、変わり者で、うるさかった祖父。 このに来た、じいちゃんはもう数くなっていたが、遺品を理していたに1冊の古いレシピノートを見つけた。 そこには、『誰かを笑顔にする料理』とかれた、このカレーのレシピが記されていた。

(そうか。じいちゃんも、こうやって誰かを救っていたのか)

見えない糸で繋がっていた縁。 じいちゃんが昔、孤独な女に蒔いた優しさの種が、を経て、孫である俺の元へ、こうして命を繋ぐ形で帰ってきたのだ。

「そうか。じいちゃんのいか……」 俺は、静かに井を見げた。 煤けた太い梁の向こうで、じいちゃんが『よくやった。だから言っただろう』と、ニヤリと笑っている気がした。

その夜遅く。 双子が遊び疲れて、ストーブのそばに敷いた布団でスヤスヤと眠った。俺は台所で、3分の皿の洗い物をしていた。

たいが、照ったよかった。

「あの……」 背から声がして振り返ると、女性——美咲が、壁にをついてっていた。

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