"卒業3か月前に消えた娘" 第11話
裁判は残された証拠によって判断された。
しかし、蓮子のの最のだけは、どの記録にも残らなかった。
それは皮肉だった。
記録することを何より切にしていた女性なのに、自分自の最だけが記録されていない。
すみ子はそのも同じで暮らした。
蓮子の部は、きく変えていない。
2つの本棚。
机。
鉛。
何度か片づけようとった。
ドアをけ、段ボール箱まで持ってきたこともある。
それでも本棚のへつと、が止まった。
「片づけなきゃいけないんだけどね」
子どもたちにそう言いながら、結局またドアを閉める。
あるの。
すみ子は久しぶりに蓮子の机へ座った。
引きしをける。
未使用の鉛。
古い学の資料。
冊の文庫本。
ページをめくると、さなが挟まっていた。
そこには蓮子の字で、卒論をくの覚えきが残っていた。
《聞いたことを勝にきれいな話にしない》
《分からないことは、分からないままく》
《記録されなかったを忘れない》
すみ子はをい見つめた。
それから元のページへ戻した。
ではの音が聞こえていた。
蓮子が取材していた郊にも、今ではが通り、しいやが並んでいる。
かつて畑だった所。
古い集落があった所。
補償をめぐって々がを閉ざした所。
そして、6に事が止まった所。
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ほとんどのにとって、そこは今ではただのだった。
毎何台ものが通り過ぎる。
そこにどんな記憶が埋まっていたのかをらないの方がい。
世界は真実がらかになったからといって、止まってはくれない。
朝になればは仕事へき、信号が変わり、をがる。
だからこそ、き残すが必なのだと、結教授はに記した。
1995。
録音とノートを持ち、富の郊を歩いていた24歳の学がいた。
を失ったの話を聞き、古い類をめくり、数字の違いへ気づいた。
最初は卒業論文のためだった。
けれど途から、それはの学だけでは抱えきれない事実になった。
それでも蓮子は完全には諦めなかった。
部を自分で持った。
もう部を、信じたへ託した。
封筒の表にいた言葉は、たったつだった。
《けてください》
約束した3ではなく、6かかった。
それでも封筒はいた。
そのに残っていたさな文字が、消えかけていた事実をもう度のへ引き戻した。
蓮子が学代に語った、
《消えるにき止めておきたい》
という言葉。
彼女が最まで記録しようとしていたのは、の記憶だけではなかったのかもしれない。
自分がったことを、誰かの都で消させないこと。
それが結果として、彼女自が残した最の記録になった。
机ののを文庫本へ戻したあと、すみ子は窓をけた。
のたいが部へ入ってきた。
カーテンがし揺れ、本棚のに積もっていたい埃がのでった。
すみ子はしばらく窓辺にっていた。
そして誰もいない部へ、さく言った。
「ちゃんと届いたよ、蓮子」
返事はなかった。
けれど机の引きしには、彼女が残した文字がある。
図館から届いた封筒も、警察の記録も、教授の文章も残っている。
消えてしまうにき止めたい。
そう願った学の声は、6のを越えて確かに誰かのへ渡った。
完