"20万円を惜しんだ子供たちと6300万円の絶縁" 第8話
内見の予約も次々と入り、私のには毎のようにが訪れた。
投資会社、建設会社、個の買い。
様々なが、の隅々まで見て回った。
内見に来たたちは、皆を揃えて言った。
「このでこの価格なら、違いなくお得です」
ある投資は庭を見ながら言った。
「再発でさらに価値ががりますよ」
2週には、正式な買いが決まった。
建設会社が6300万円で即決してくれたのだ。
を購入して、しいマンションを建てる予定だという。
産会社の担当者から話があり、報告を受けた。
「良いなので、すぐに決めました。来週には契約をめたいのですが、よろしいですか?」
私は受話器を握りしめ、静かに答えた。
「はい、結構です」
1ヶには、全ての契約の運びとなった。
契約の、私はをるに、のを1部ずつ見て回った。
居に入り、窓際のカーテンに触れる。
夫と2で選んだカーテンだ。
まだ褪せずに、窓を飾っている。
子供たちがり回ったリビングのを見ろした。
にはさな傷跡が残っている。
あの傷は、息子がおもちゃので遊んでいたにできたものだ。
私はダイニングキッチンへ移し、テーブルを撫でた。
族で囲んだダイニングテーブル。
ここでどれだけの事を共にしただろうか。
どれだけの会話を交わしただろうか。
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誕のお祝い、お正の事、何気ない常の夕。
全てがここにあった。
2階へがり、寝のドアをけた。
寝には、夫とのいが詰まっている。
隣の子供部のドアをける。
今は物置きになっているが、かつては子供たちの笑い声で満ちていた。
私は部の央にち、目を閉じた。
全てにいがあった。
楽しかったいも、苦しかったいも、全てこのに刻まれている。
私はゆっくりと目をけ、自分に言い聞かせた。
でも、いだけではきていけない。
過にしがみついていても、未来はけない。
しいを始めるには、古いを終わらせなければならないのだ。
私は振り返ることなく、玄関をた。
産会社の事務所で、契約にサインをする、私のは全く震えなかった。
40守ってきたを、自分ので放す。
それは終わりであり、同に始まりでもあった。
続きを終え、事務所をようとした、産会社の社が声をかけてきた。
「田さん、本当によろしかったのですか?」
彼はし気遣うような表で言った。
「いの詰まったおだったでしょうに」
私はち止まり、社の方を向いて静かに微笑んだ。
「ええ、丈夫です。もう決めましたから」
私は々とをげた。
悔はない。
これが、私の選んだだ。
売却の続きが完すると同に、私は携帯話のショップへ向かった。
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カウンターに座り、員に件を伝える。
「話番号を変更したいのですが」
使っていた番号だったが、躊躇はしなかった。
員の案内で、メールアドレスもしいものに変えた。
に戻り、スマートフォンの画面を操作して、SNSのアカウントも完全に削除した。
子供たちには、しい連絡先を教えなかった。
教える必がないと判断したのだ。
もう彼らと繋がっている必はない。
そうった。
これは逃避ではない。
確な境界線を引く為なのだと、自分に言い聞かせた。
もう連絡も、期待も、役割も引き受けない。
親であることをやめる決断。
そういうい表示だった。
数、私はのATMに向かった。
通帳を械に入れ、記帳をう。
ジージーという械音の、通帳がてきた。
いて確認すると、そこに振り込まれた6300万円という数字が印字されていた。
私はその数字を見つめたが、議と実が湧かなかった。
数字がきすぎて、現実がなかったのかもしれない。
ただ、これで自由になれるとからった。
誰にも頼らず、誰にも頼られず、誰にも束縛されず。
自分のをきる自由。
それをに入れたのだ。
6万円ので、もやしとキャベツだけの活をしていた私が、今は6000万円を超える資産を持っている。
とは、本当に分からないものだ。
私はカフェに入り、ノートを広げてしい活の設計を始めた。