"知らない家族が守った家" 第6話
「いいよ」
「おじさんがやる?」
「ああ。これからは俺がやる」
正はしたように笑った。
その笑顔を見た瞬、忠雄は自分でも考えるにをいていた。
「待ってください」
玄関へ向かっていた美津が振り返った。
「はい?」
忠雄はし言葉に詰まった。
「その部、今から入れるんですか」
「はい」
「寒いでしょう」
美津は戸惑ったように笑った。
「仕方ありません」
「子どもで畳半でしょう」
「めるだけありがたいです」
忠雄は黙った。
澄子も浩も、何も言わず彼を見ている。
分かっている。
とも、自分が何を言おうとしているのか気づいている。
「まで」
忠雄は言った。
美津が瞬きをした。
「……え?」
「階をうちが使います」
忠雄は気に続けた。
「あなたたちは階にいてください」
美津の目がきくなった。
「でも」
「ずっとじゃありません」
忠雄は慌てて言い添えた。
「までです。そのに、もうしましな部を探してください。あんない畳半へ、真に子ども連れてく必はない」
美津は何も言えなかった。
「でも、杉浦さん」
「勘違いしないでください」
忠雄は線をそらした。
「賃はいりませんが、費と薪代は分けてもらいます。台所を使うも決める。何でも緒にするつもりはありません」
浩が横でさく笑った。
忠雄は息子を睨んだ。
「何だ」
「別に」
「笑うな」
「何も言ってないよ」
広告
忠雄は咳払いをした。
それから美津を見た。
「うちだって7、のに置いてもらいましたから」
その言をにした途端、ずっと否定していたものをようやく認めた気がした。
美津の目に涙が滲んだ。
「ありがとうございます」
「泣くほどの話じゃありません」
「でも」
「までです」
忠雄はもう度を押した。
その、の荷物は玄関からもう度階へ戻された。
千恵と恵子が歓声をげ、正は照れくさそうに浩の顔を見た。
そして杉浦の仏壇には、翌朝も変わらず本の線がった。
つ根ので暮らし始めたからといって、つの族が急に仲良くなったわけではなかった。
むしろ最初の2週は、毎のようにさな衝突が起きた。
最の問題は台所だった。
澄子は朝6から噌汁を作りたい。美津は内職を夜遅くまでしているため、朝はし遅い。
ところが正が学へ通い始めると、美津も起きしなければならず、狭い台所でが鉢わせする。
「その鍋、今使います?」
「あとしで終わります」
「それなら先にを汲んできます」
最初は互いに慮していた。
しかし暮らしが続くと慮だけでは済まない。
ある朝、澄子が取っておいた噌を美津が違えて使ってしまった。
「これはうちの分だったんです」
「すみません、同じ壺だったから」
広告
「ちゃんと印をつけたでしょう」
「昨は見えなくて」
そのの夕飯まではほとんどをきかなかった。
忠雄と美津も、薪代や米の分け方で揉めた。
「うちは5分く使っているわけじゃありません」
「でも子どもが昼もにいるでしょう」
「恵子です」
「それでも鉢は使う」
「だったらきちんと計算しましょう」
美津がと鉛を持ちし、本当に使用数を数え始めたには、忠雄の方が面倒になった。
子どもたちも喧嘩した。
正は浩の本を勝に読み、浩から「触るな」と鳴られた。
千恵と恵子は姉妹のように遊ぶ方で、赤い折り枚を巡って泣くほど争った。
ある晩、美津が作った里芋の煮物を千恵が「おばちゃんの方がお母さんよりおいしい」と言い、澄子がそのずっと嫌だったこともある。
「子どもの言うことだろ」
忠雄が笑うと、澄子は睨んだ。
「あなたは黙ってて」
「俺が作ったわけじゃない」
「だから余計に黙ってて」
忠雄は本当に黙った。
それでも、議なことに活はしずつ馴染んでいった。
米がりないはつの鍋で雑炊を作った。
薪を買いにくは忠雄と正が緒に荷を引き、美津の内職が納期ににわない夜には澄子も針を持った。
「そこ、縫い目が曲がってますよ」
「あなたよりく縫い物してるんですけど」
「でも今は私の仕事ですから」
は文句を言いいながら、夜まで同じ卓袱台で布を縫った。
正と千恵は同じ学へ通うようになった。