みかん小説
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"350円の定食が繋いだ、壊れた絆" 第7話

「そうですか?」 「うん。やっと『きてる顔』になったね」 リノは何も言わなかったが、その目元がわずかに潤んでいるのが見えた。

夜、かりを落とし、シャッターを半分ろす。の夜が隙から入り込んでくる。 「ショウタさん……私ね、このが嫌じゃなくなってきた」 「それならよかったです」 「ショウタさんって、本当に変なだよね」 「どこがですか」 「だって、どんなに失敗してもらないし、絶対に見捨てないし」 「それが普通ですよ」 「普通じゃないって!」 リノはまっすぐシ太の目を凝した。 「今までのたちはみんな違ったから……」 「と比べなくていいです」 「でも、『このは違う』っての底からっちゃったんだもん」 胸が締め付けられるように苦しくなった。シ太はただ、緒にをやっているだけのつもりだったのに。 「もうしだけ、いてもいいかな」 「……もちろんですよ」 その言葉が、自分のとは裏腹に自然とをついてたことに、シ太自番驚いていた。

あるの昼がり、ひっそりとしたに、スーツをビシッと着こなした男が2の部を従えてに入ってきた。無駄のない洗練されたのこなし。目で普通の客ではないことが分かった。 「こんにちは。父と母が、いつも変お世話になっております」 シ太のったその男は、々とげた。

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そして、その線の先――厨から顔をしたリノのきがピタリと凍りついた。 「……お父さん」 その言で、全てのピースが音をてて噛みった。この男こそがリノの父親だった。50代半に見えるが、背筋がピンと伸び、そのち姿には切の隙がない。表いが、その目の奥には隠しきれない悔のが滲んでいた。 「品メーカーで代表を務めております……者です」 品メーカーの代表。瞬にして脳内の点と点が線で結ばれた。ということは、あの散歩着姿だった啓介さんとふみさんは―― 「父は元会、母はその妻です。あなたのことについては、全て両親から聞いております」 シ太は言葉を失っていた。あの穏やかな老夫婦が、企業の元トップ夫妻だったなんて像もつかなかった。 「目当てのなんて、私の周りには腐るほどいました。両親もそういう輩を何にかけてきたことか。しかし、あなた方は違った。何も聞きしもせず、見返りも求めず、ただ温かい飯を差し入れてくれた」 男の声は淡々としていたが、かすかに震えていた。 「それが娘にとって、どれほどの救いだったか。くあてのないを抱えていた両親は、あなたのその誠実さにを打たれたのです。だからこそ、娘をあなたに託した」 リノの肩がさく震えるのが見えた。

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「……正直に申しげます。私は、父親失格のです」 の空気がく澱んだ。 「会社経営を最優先にし、妻を病気でくしてからも、娘がどんないで孤独にきてきたのか、私はずっと目を背け続けてきました……」 過の男関係で傷ついたでさえ、自分が盾になるべきだったのに、全てをに丸投げしてきた。男の握りしめた拳の関節が真っになっていた。その、シ太はたまらずいていた。 「今、リノさんはここで自分のでちゃんとってます。最初は接客もまともにきず、何度も泣いていました。でも、自分の過から逃げずに向きってきたんです」 男の目が揺れた。 「俺が何か特別なことをしたわけじゃありません。リノさん自が、自分の力でんでいるんです」 い、い沈黙がを支配した。 「ショウタさん……本当に、ありがとうございます」 男はく、げた。

「ショウタさん……」 それはリノのさな声だった。 「見捨てないでいてくれたから、私、変わることができたの」 シ太はリノの方を振り返り、優しく頷いた。 「ゆっくりでいいんです」 その瞬、シ太とリノのしていた見えない境界線が、音をてて消えったような気がした。

そこからの展は、まるで急流のように現実を帯びてんでいった。 「実は、あなたのと正式に業務提携をさせていただきたいのです」

「え……?」 「あなたの作るあの定メニューを、弊社の品ラインの技術を使って全国展したいと考えています」

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