みかん小説
本棚

"夜逃げ社長に捨てられた4人" 第10話

板を作る技術は、違いなくあので覚えた。

ただし。

耐えることまで。

仕事の技術だと。

い込む必はなかった。

では今も、を削る音が響いている。

凛がデザインを確認し、奈が事務所から納期をらせ、真希がしい客を連れてくる。

そしては、枚の板へを置く。

あの夜。

を畳もうとしたにも。

触れた触だった。

も仕事もなくなった夜、には自分のしか残っていないとっていた。

本当は違った。

隣には3いた。

だから4は、もうつことができた。

なら潰れていたかもしれない4が、つのへ集まった。

その結果できたのは。

ただのではなかった。

自分たちが番欲しかった。

「働いた分の料が、約束したに支払われる」

「困ったに、誰かだけを切ってき残ろうとしない」

そんな当たりのことを、当たりに守ろうとする会社だった。

は完成した板を持ちげた。

「よし、取り付けにくぞ」

の奥から返事がなった。

ると、夕方の商に灯りがつき始めていた。

そこには「結」が作った板が何枚も並び、それぞれ違うの入で、を迎えるように静かにっていた。

「結」が社員11の会社になってから、最初のを迎えた頃だった。午の作業を終えたが事務所へ戻ると、奈が通の封筒をにしたまま、珍しく難しい顔をしていた。

広告

の名を確認したは、着を脱ぐを止めた。

そこには、もう見ていなかった名かれていた。

黒田剛。

「本からです」

奈はそう言って封筒を机に置いた。真希と凛も仕事のを止めて集まってきたが、誰もすぐにけようとはしなかった。以なら、その名を見るだけでりや恐怖が胸に湧いたかもしれない。しかし今の4にとって黒田は、もう活をするではなくなっていた。

が封を切ると、には数枚の便箋と振込細の写しが入っていた。関係関を通した続きがみ、黒田が旧会社で未払いにしていた賃部について、分割で支払うことでしたという通だった。全額ではなく、の残業代まで含めれば到底取り戻せない額だったが、それでも3には諦めかけていただった。

には黒田本い文章も添えられていた。

自分は会社を守るために仕方なくしい会社を作った。社員に料を払えなかったのも資繰りのせいであり、最初から逃げるつもりだったわけではない。の駅の件についても、取引先へ事実を説しただけで営業妨害をする図はなかった。

まで、自分だけが悪いわけではないという内容だった。

真希は読み終えると、呆れたように息を吐いた。

広告

「3経っても、そこなんですね」

の真希なら、すぐに話をかけて黒田へ言い返していたかもしれない。しかし今は便箋を机へ戻しただけだった。言い訳をつずつ否定しても、黒田自が考え方を変えない限りはないと分かっていた。

奈は振込予定表を確認しながら、静かに言った。

「戻ってきた分は、4で分けましょう。もともと私たちのお料ですから」

もそれでいいとった。

ところが凛だけはし迷った様子で、便箋を見つめていた。

「私、あののおが戻ったら、ずっと欲しかったパソコンを買おうとってたんです」

凛は入社直、黒田に「にそんな材はいらない」と言われ、古いパソコンを使わされていた。夜逃げがなく、自分用の材を買えないままの古いノートパソコンを借りて仕事を始めた。

「買えばいいだろ」

が言うと、凛はし笑った。

「今は会社にちゃんとしたのがありますから。それより、別のことに使いたいです」

凛が提案したのは、若い社員の資格取得や研修費に使うためのさな積制度だった。板業界には、塗装、気、デザインなど覚えることがいが、若ほど料に余裕がなく、自費で講習へくことを諦めるもいる。自分たちが黒田のにいた、「覚えたいなら自分で払え」

と言われ続けた経験があるからこそ、同じことをしたくないのだという。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: