"消印は失踪の3日後" 第12話
資料館をると、信吾が入のそばにっていた。招待状は送られていたが、来るかどうか拓はらなかった。
父は以より痩せていた。
「へ入らないの?」
「俺が入っていい所か、迷っていた」
「それを私に決めさせないでくれ」
拓が答えると、信吾はし驚いた顔をした。
「入りたいなら入ればいい。入りたくないなら帰ればいい。でも、母さんや私のためだと言って、自分の選択をに預けないでほしい」
信吾はい考えたあと、資料館のへ入った。
緑の郵便袋のでち止まり、説文を最初から最まで読んだ。言い訳ももにしなかった。
そのの晦、拓は実を訪れた。
父との関係が元に戻ったわけではない。に度ほど事をし、母についてしずつ話すようになっただけだった。
信吾は真紀が好きだった煮物を作っていた。が濃すぎるところは、昔と変わっていなかった。
事のあと、拓は鞄から1枚の賀状を取りした。
宛名には《沢信吾様》といた。差の欄には、自分の名を記した。
本文はだけだった。
《今は、嘘をつかずにきてください》
信吾は葉を読み、しばらく黙っていた。
「分かった」
それだけ答えると、葉を居の引きしへしまおうとした。
拓は首を振った。
「隠さないで、見えるところに置けばいい」
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信吾は葉を取りし、棚のにてかけた。
翌朝、のり始めた町を郵便バイクがっていた。赤い体は々ので止まり、束ねられた賀状を軒ずつ届けていった。
25、母が届けられなかった郵便物は、もう戻ってこない。
母からの最のも、本のきているには息子へ届かなかった。いくら調査しても、失われたを配達し直すことはできない。
それでも拓は、23枚の賀状を2つに分けて保した。
最初の8枚は、母がきていた証拠だった。
残りの15枚は、父が真実を先送りした証拠だった。
同じ文章がかれていても、そのまで同じにするつもりはなかった。母の迷いと父の嘘を、どちらも「族をった」という言葉で包めば、また真実が見えなくなる。
拓は母がいた最初の賀状を、机のに置いた。
《今も、元気でいてください》
その文は、母が息子へ送ることのできた、精いっぱいの言葉だった。
許しを求める言葉でも、帰れない理由を正当化する言葉でもない。ただ、くから無事を願っていたという事実だけが残っていた。
窓のを、もう1台の郵便バイクが通り過ぎた。
エンジンの音がのへざかっていく。
25に途で止まった配達は、母の帰りを待ち続けたことで終わったのではなかった。
隠されていたを読み、父の嘘を分け、母のさまで受け止めたとき、初めて終わったのだ。
届くのが遅すぎた真実は、失われたを返してはくれない。
それでも、その真実を受け取るかどうかを、今度は誰も拓の代わりに決めなかった。
25目の。
沢真紀が残した最のは、ようやく本当の受取に届いた。