"旅行代を全額68万円出したのに現地で「年寄りはすぐ疲れて足手まとい」と別行動された" 第7話
5400万円の覧表
い絨毯のに落ちたため、スマートフォンは壊れなかった。それでも美咲はすぐには拾わず、目のの直をらないのように見つめていた。
「3000万円って、どういうこと?」
「母さんが、結婚祝いとしてしてくれたんだ」
「あなたは自分の貯だと言ったでしょう。の会社で運用して増やしたおだって」
直は答えを探すようにをいたが、言葉はなかった。
私は封筒から2枚の資料を取りした。1枚目は、8の定額送を度ごとにまとめた覧。25万円が96回で2400万円。2枚目は、マンション購入に私の座から産会社へ振り込んだ3000万円の控えだった。
マンションを買うとき、直は「美咲に負い目を持たせたくないから、母さんがしたことは伏せてほしい」と頼んだ。私は夫婦で話しうべきだと言ったが、入居に自分から説するという言葉を信じた。あれから3、彼は説するどころか、3000万円を自分の運用益へ置き換えていた。
「わせて5400万円です。今回の旅代68万円は含めていません」
美咲は類を両で持ち、同じ数字を何度も目で追った。窓を打っていたはくなり、のから面が見え始めている。部がるくなるほど、直のついた嘘だけがはっきり浮かびがった。
「私、仕事を辞めなくてもよかったんじゃない」
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美咲が絞りすように言った。
「毎25万円の当があるから、のことに専してほしいって、あなたが言ったのよ。役員になればもっと増えるから、ローンも配ないって」
美咲が私へ向けた態度を許す気はなかった。だが、夫の嘘のに活を組みてさせられていた点では、彼女もまた直に利用されていた。
「援助は返せと言いません。貸付ではなく、私が息子を支えるためにしたおです。ただし、過にしたからといって、これからもし続ける義務はありません」
「では、私たちはどうすればいいんですか」
美咲は初めて、命令ではなく質問する調で言った。
「収入にわせてまいと活を見直し、必なら2で働く。それだけです。私も隆も、最初のホテルをいたころは、昼も夜も交代でフロントにちました」
古いバッグには、そのころ客の備品を買いにった領収を何度も入れた。直は苦労をらないのではない。私たちが見せずに済むよう支えすぎたのだ。
直は類を奪うように取り、声を荒らげた。
「そんな覧まで作って、最初から俺を責めるつもりだったのか」
「責めるためではありません。何にいくら使ったか、私自が分からなくならないためです。数字を残すのは、あなたのお父さんから教わったことです」
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夫は創業当、数百円の領収も捨てなかった。額のではなく、誰のおを何のために使ったか説できない会社は、いつかの信頼を失うと言っていた。
「父さんの話をすな。どうせ母さんの株も、いずれは俺が継ぐんだ。今援助を止めても、族の財産であることは変わらない」
「私がきている、私の財産です。会社の株式も、あなたの活費ではありません」
直はで息を吐き、線をそらした。その目が、テーブルの黒いカードに止まった。
私はふと、結婚の美咲が全国の系列ホテルへ何度もかけていたことをいした。直はいつも、管理職用の福利だと説していた。
「美咲さん。これまで系列ホテルを利用したとき、料はどうしていましたか」
「直が会社の制度で配していました。部も事も、ほとんど無料だと……」
私は内線で本を呼び戻し、オーナー族向けの利用記録を確認してもらった。
数分、端末を見た本の顔から表が消えた。
「澄子様のご同伴として登録された宿泊が、過3に11件あります」