"3日だけ帰るはずだった妻" 第3話
「たった3、実に帰っただけだろうが!」
「3だけだと考えていたのは、あなたたちです」
言葉のを測るように、浩司が黙り込んだ。達也が話を奪ったらしく、次に聞こえた声はさらに苛っていた。
「母さん、張ってないでく戻してよ。ゲームの途で切れて、データがんだんだけど」
「自分で払っている契約なら、私には戻せないわ」
「そんな言い方ないだろ。母親のくせに」
その言葉に、以のような痛みはじなかった。母親であることを理由に、事も洗濯も学費も当然のように差しさせる。その方で、私には帰ってこなくていいと言った。彼ので母親とは、を向ける相ではなく、必なものを無料で用する係だったのだ。
「昨、あなたが言ったでしょう。そのまま帰ってこなくていいって」
達也の息が止まった。
その、話の向こうで玄関のチャイムが鳴った。浩司が「リフォーム会社だ」と呟き、スマートフォンをテーブルに置いたらしい。音がざかったあとも、通話は切れていなかった。
私はスピーカーに切り替え、テーブルのへ置いた。
「おはようございます。都リフォームの鈴です。本は着確認に伺いました」
「この暑さでしてましてね。まあ、へどうぞ」
浩司は急にのよい声を作った。しかし、鈴という担当者は玄関からかなかった。
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「そのに、所者様の本確認をお願いできますか」
「所者? 俺がこのの主ですよ」
「ご主であることと、所者であることは別です。と建物の登記事項を再確認したところ、どちらも佐藤恵子様の単独名義でした」
しばらく、誰も言葉を発しなかった。
最初に反応したのは裕子だった。
「浩司さん、この、あなたが建てたって言ったわよね?」
「いや、夫婦なんだから同じようなものだ。名義なんて形だけで――」
「形だけではありません」
鈴は事務な調のまま遮った。
「所者様から事を承諾しないという通が届いています。代理弁護士の確認も取れているため、本の作業は始できません」
裕子が何かをへ落とした。い音からすると、キッチン設備の分いカタログだろう。
やがて浩司がスマートフォンをつかみ、押し殺した声で尋ねた。
「恵子……お、どこまでってるんだ」
第4話 このの持ち主
「なくとも、あなたが私のを勝に改装しようとしていたことはっています」
私が答えると、浩司はすぐに声を荒らげた。
「勝じゃない。族がみやすくするためだ。おだって、きれいになれば困らないだろう」
「その族のに、私は入っているの?」
返事はなかった。代わりに、裕子の乾いた笑い声が聞こえた。
「奥さんには帰ってくる所があるから、このは浩司さんのものになるって言ったじゃない。
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だから私、あれだけ額なプランまで選んだのよ」
浩司が慌てて通話を切った。最に聞こえたのは、「それはあとで説する」という、ひどくさな声だった。
静かになったスマートフォンを伏せると、け放した窓からを含んだが入り、テーブルの類を揺らした。私は番に置いてあった登記事項証を押さえた。
も建物も、所者欄に記載されているのは私の名だけだ。結婚した、浩司には宅ローンを組めるだけの貯がなかった。父がを譲り、退職から建築費をし、母もの積を加えてくれた。贈与契約と振込記録はすべて残っている。
「話、あのだったの?」
振り返ると、勝から叔母の紀子が入ってきた。畑で採れたトマトを袋いっぱいに抱えている。私は頷き、えた麦茶をもう1つのグラスへ注いだ。
「やっと始まったのね」
紀子はそれ以尋ねず、向かいの子に腰をろした。半、私がこのへ荷物を運び、弁護士と会い、根や回りを直してきたことをっている数ないだった。
すべてが始まったのは、半の母の葬儀だった。
浩司は「急な張が入った」と言い、達也は「せない約束がある」と言って、どちらも参列しなかった。私は親族にをげ続け、葬を終えて夜遅く帰宅した。
玄関をけると、リビングから笑い声が聞こえた。