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"存在しない孫" 第7話

答えだけを求めてしまったら、切な何かを見落とす気がした。

のこと」

母は窓のを見た。

「あなたがまだまれる

私は黙って聞いた。

「私は護師になるために働いていた」

ってるよ」

「違うの」

母は首を振った。

「あなたがっているのは、私が護師だったことだけ」

その言葉で、私は気づいた。

母のには、私がらないがある。

当たりのことなのに。

私は今まで考えたことがなかった。

母にも、私がまれるがあった。

、私は研修の話をもらったの」

?」

「うん」

母はし笑った。

「今考えると、すごくさなきっかけだったのかもしれない」

「でも当の私には、きな世界への入だった」

護技術を学ぶための研修。

その、希望すればの医療施設で働くもあった。

きたかった?」

私は聞いた。

母はすぐには答えなかった。

きたかった」

その言葉は、ったより迷いがなかった。

私はし驚いた。

母がそんなふうに、自分の願いをにするところを見たことがなかったから。

「でも」

母は続けた。

けなかった」

理由は、祖母だった。

、祖母は体調を崩していた。

きな病気ではなかった。

でも、父をくしたばかりで、活することが難しくなっていた。

「周りは言ったの」

母は淡々と話した。

「半くらいなら丈夫じゃないかって」

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「施設を探してもいいって」

「でも」

母は湯みにを添えた。

「私はできなかった」

「おばあちゃんを置いていくことが」

私は何も言わなかった。

母の選択を責めることはできなかった。

たぶん、当の母にとっては、それが番自然だったのだろう。

「その、おばあちゃんは何て言ったの?」

私が聞くと、母はし黙った。

きなさいって言った」

「え?」

「何度も言った」

母は笑った。

でも、その笑顔は寂しかった。

「自分のきなさいって」

私は眉を寄せた。

「じゃあ……」

「うん」

母は頷いた。

「それでも私は残った」

静かな言葉だった。

でも、その言のさは分かった。

誰かに制されたわけではない。

誰かに奪われたわけでもない。

母は、自分で選んだ。

「それからしばらくして」

母は続けた。

「おばあちゃんは変わった」

「変わった?」

「私に何度も聞くようになった」

母は祖母の調を真似するように言った。

「もし、あのっていたら、どんなだったんだろうねって」

私は黙った。

「最初は気にしていなかった」

母は言った。

「でも何も何も言われると」

「……」

「だんだん、自分が違った選択をしたような気持ちになるがあった」

その言葉に胸が詰まった。

祖母は悔していた。

娘を縛ったことを。

でも。

その悔を繰り返し伝えることで、逆に母を過につなぎ止めていたのかもしれない。

「拓という名は」

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母が言った。

「その頃にてきた」

「祖母が?」

「うん」

「おばあちゃんはね」

母はし笑った。

「本当は、私にもうを選び直してほしかったんだとう」

「でも」

私は言った。

って、選び直せないよね」

母は頷いた。

「そう」

「だから、おばあちゃんは別の方法を選んだ」

私は箱を見る。

「拓を作った」

「そうね」

母は静かに答えた。

しない孫を」

その言葉は、議だった。

しいはずなのに。

どこか温かさもあった。

祖母は違っていた。

でも、悪があったわけではない。

娘に幸せになってほしかった。

ただ。

幸せになってほしいという願いが、いつのにか、

「本当はこうだったはず」

という形に変わってしまった。

「お母さん」

私は聞いた。

「おばあちゃんをんでる?」

母はしばらく考えた。

「分からない」

また、その答えだった。

でも今回は、し違った。

「好きだった」

「……」

「おばあちゃんのこと」

母は言った。

好きだった」

「でも」

を置く。

々、苦しかった」

私は目を伏せた。

そのつは同できる。

している。

でも苦しい。

謝している。

でも傷ついた。

関係は、どちらか方ではない。

その

母ががった。

けよう」

「最の箱」

私は頷いた。

祖母の部へ向かう。

机の

並べられていた箱。

つ。

歳。

母は箱のに座った。

し震えている。

「怖い?」

私は聞いた。

母はし笑った。

「怖いというより」

「うん」

「会うような気がする」

「誰に?」

母は箱を見る。

「昔の私に」

静かに蓋をける。

に入っていたものは。

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