"午前四時十三分" 第13話
「やめる?」
「母さんは、17ずっと確認していた」
「美咲が、自分のを選べるかどうか」
「でも本当は」
直は言った。
「最に確認するべきだったのは、自分自だったんだとう」
その言葉が、美咲のに残った。
帰宅した夜。
美咲は母のスマートフォンをいた。
写真フォルダ。
842枚。
枚ずつ見る。
幼い自分。
笑う自分。
泣いた自分。
迷う自分。
最の数枚。
20244。
母がくなる。
48。
母。
49。
母。
410。
母。
411。
母。
そして。
412。
最の写真。
母は自分を撮っていなかった。
でも。
画面の端に、さな文字があった。
母がで入力したメモ。
『もう丈夫』
美咲はけなかった。
17。
母は毎朝413分に確認していた。
そして最の。
初めて。
確認する必がなくなった。
その理由を、美咲はまだ完全には分からなかった。
でも。
つだけ分かった。
母は最まで。
美咲のを決めたかったわけではない。
本当は。
いつか自分のかられていくを待っていた。
問題は。
そのが来るまでに。
母自がにわなかったことだった。
美咲はスマートフォンを閉じた。
計を見る。
午412分。
分。
413分。
17。
母が起きていた。
美咲は初めてった。
このに。
母は何をじていたのだろう。
そして。
自分はこれから何を選ぶのだろう。
母のスマートフォンを閉じてから、が過ぎた。
美咲はまだ、写真を消せずにいた。
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842枚。
数字だけを見ると、いようでいて、実際には17の記録としてはなすぎる。
毎ではない。
母は途で何度も迷っていた。
撮ることをやめた。
再び撮り始めた。
その枚枚に、母のが残っている気がした。
倉庫から持ち帰った箱のには、もうつだけ残されていたものがあった。
古いデジタルカメラ。
母が昔使っていたもの。
そのには、スマートフォンとは別の写真が入っていた。
美咲は源を入れた。
表示された最の写真。
付。
2024411。
午413分。
そこには、母の部が写っていた。
でも。
以の写真とは違った。
ベッドでもない。
机でもない。
窓でもない。
壁だった。
何もない壁。
ただ、そこにさなが貼られている。
美咲は画像を拡した。
にかれていた文字。
『もう、確認しなくていい』
胸が詰まった。
母は。
最のまで写真を撮っていた。
でも最に記録したのは、美咲ではなかった。
母自の決だった。
美咲は、そのの午、父に連絡した。
兄のこと。
母のこと。
もう度話す必があるとった。
父は以よりさく見えた。
齢のせいだけではない。
い、言えなかったものを抱えていたの顔だった。
「お父さん」
美咲は言った。
「母さんの写真、どうするべきだとう?」
父はし驚いた。
「写真?」
「17の写真」
父は黙った。
「版の話が来ている」
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相沢からだった。
母が残した写真を見たがいた。
の母親が、毎同じに撮った記録。
それは族写真であり、の女性の記録でもある。
「せば、くのに届くとう」
美咲は言った。
「でも」
言葉が止まる。
写真のには、自分のらないがある。
母だけがっていた。
母だけが抱えていた恐怖。
それを勝に公していいのか。
父はしばらくして言った。
「おの母さんなら」
美咲は顔をげた。
「昔なら、全部すなと言ったとう」
「……」
「誰かに見られることを怖がったからな」
父は窓のを見る。
「でも最の母さんなら」
「おに決めさせたとう」
その言葉を聞いた。
美咲はしだけ笑った。
皮肉だった。
母が番苦だったこと。
それを最に、自分へ渡した。
選ぶこと。
週。
美咲は母の写真を理した。
全部公することはしなかった。
全部捨てることもしなかった。
842枚のうち。
公したのは、部だけだった。
母が撮った自分の寝顔。
幼い頃の写真。
病院での記録。
それらは公しなかった。
代わりに。
母が迷っていた写真。
母が違えた写真。
母が何も答えを持っていなかった写真。
そういうものを選んだ。
タイトルを付けた。
『午413分』
説文には、い文章だけをいた。
「これは、完璧な母親の記録ではありません」
「誰かをすることと、誰かを自由にすることので迷った、の女性の記録です」
それ以はかなかった。
母を美化したくなかった。
母を責め続けることもしたくなかった。
その両方が、本当ではなかったから。
数ヶ。
美咲は久しぶりに実へ戻った。
母の部はもう片付いていた。
けれど。
古い計だけは残していた。
夜。
なぜか目が覚めた。
計を見る。
412分。
瞬。
体が覚えていた。
次の分を待っている。
413分。
昔なら。
このに母は起きていた。
写真を撮っていた。
自分を確認していた。
でも。
今は誰も起きない。
美咲はベッドからた。
窓をける。
はまだ暗い。
でもくの空がしだけるくなっていた。
彼女はスマートフォンを取りした。
カメラをく。
瞬。
何を撮ればいいのか分からなかった。
17。
母が見ていたもの。
自分。
自分の未来。
自分が違えないこと。
でも。
美咲は違うものを選んだ。
窓の。
夜から朝へ変わる空。
シャッターを押す。
午413分。
その写真には。
誰も写っていなかった。
それでも。
美咲は初めてった。
これは誰かを確認するための写真ではない。
自分が今、ここにいると選んだ写真だ。
彼女は母のスマートフォンに残された最の写真をいした。
『もう、確認しなくていい』
あの言葉のを。
今ならし分かる気がした。
確認するがいなくなったからではない。
確認されなくても、自分でめるが来たからだ。
美咲は空を見げた。
そして。
もう度だけ計を見る。
午413分。
そのはもう。
失うことを恐れるではなかった。
(完)