"午前四時十三分" 第12話
兄。
自分のために消された。
でも。
本当は。
自分と同じように。
誰かの選択によってを変えられた。
翌。
美咲は指定された所へ向かった。
古い喫茶。
駅からしれた、通りのない所。
ドアをける。
窓際の席に、の男性が座っていた。
髪が混じった髪。
し疲れた顔。
でも。
目だけは。
写真のの青と同じだった。
男性は美咲を見ると、ゆっくりちがった。
そして。
最初に言った言葉は。
「……妹なんだね」
だった。
美咲は何も言えなかった。
17。
母が毎朝確認していたもの。
それは。
自分のだけではなかった。
自分がらないところで消えてしまった、
もうつのだった。
「……妹なんだね」
その言葉を聞いた瞬。
美咲は、何かを期待していた自分に気づいた。
もっと劇な言葉を。
「ずっと会いたかった」
「探していた」
「あなたのせいじゃない」
そんな言葉を。
けれど、目のの男性――野直は、ただ静かにそう言っただけだった。
「座って」
直が向かいの子を指した。
美咲は黙って座る。
何を話せばいいのか分からなかった。
兄。
そのを、今初めてった。
でも。
目のにいるは、美咲にとっては初対面のだった。
「母さんは……」
直がをく。
「元気だった?」
その質問に、美咲はし驚いた。
母を失ったの言葉ではなかった。
みでも。
りでもない。
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ただ、昔っていたを気にする声だった。
「くなった」
「……そうか」
直は目を伏せた。
しばらく何も言わなかった。
「あなたは」
美咲は聞いた。
「母のことをんでないの?」
直はし笑った。
しい笑いだった。
「む資格があるほど、俺は母さんのをらない」
「どういう?」
直はコーヒーカップに触れた。
めている。
でもまない。
「俺が消えたんじゃない」
「消されたんだとっている?」
直は首を横に振った。
「違う」
その答えが、美咲にはだった。
「俺は、自分でれた」
美咲は黙った。
直はゆっくり話し始めた。
直が病気になったのは、美咲がまれる数だった。
幼い頃から治療が必だった。
父と母は必だった。
でも、ある。
医師から言われた。
完全に元の活に戻れる能性はい。
い治療になる。
族の活も変わる。
その頃。
父は仕事を失いかけていた。
母は疲れ切っていた。
「俺は子供だったけど、分かっていた」
直は言った。
「の空気が、俺をに壊れていくじがした」
「だから」
「俺がいなくなれば、みんな普通に戻れるとった」
美咲は胸が苦しくなった。
「でも、それは違った」
直は続けた。
「母さんは、俺を失ったもずっと自分を責めていた」
「だから美咲を産んだ」
「今度こそ、この子だけは絶対に違えないってったんだとう」
美咲は線を落とした。
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やっと分かった。
母が恐れていたもの。
それはではなかった。
「また、誰かのを自分の判断で変えてしまうこと」
だった。
しかし。
そこで終わりではなかった。
「でも」
美咲は言った。
「母は私のを変えた」
直は黙って聞いていた。
「写真になりたかった」
「でも、諦めた」
「母が反対したから」
「私はずっと、母のせいだとっていた」
直はし目を細めた。
「本当は?」
美咲は答えられなかった。
本当は。
自分も怖かったのだ。
失敗すること。
才能がないと認めること。
何者にもなれないこと。
母のせいにしていた。
そうすれば、自分が選ばなかった責任を負わなくて済んだから。
その。
直がさく言った。
「母さん、最まで写真を撮っていたんだね」
美咲は顔をげた。
「っているの?」
直はうなずいた。
「しだけ」
「母さんから聞いた」
「何を?」
直は窓のを見る。
「美咲が、自分を嫌いにならないように見ているって」
美咲の胸が詰まる。
「でも」
直は続けた。
「母さんは最まで違えていた」
その言葉に、美咲は驚いた。
兄が。
母を否定した。
「母さんは、美咲を守りたかった」
「でも」
「守る方法をつしからなかった」
「危険を全部、自分ので消すこと」
美咲は黙った。
それは、まさに母だった。
危ないものをざける。
失敗するに止める。
傷つくに決める。
だった。
でも。
自由ではなかった。
「じゃあ」
美咲は聞いた。
「母は最に何を望んでいたの?」
直はしばらく考えた。
「たぶん」
「写真をやめること」
美咲は眉を寄せた。