みかん小説
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"午前四時十三分" 第11話

17

母は何を確認していたのか。

今なら分かる。

それは、自分だけではない。

母はずっと。

族のに残された、

誰にも言えない選択の続きを見ていた。

「お父さん」

美咲は聞いた。

「そのは、母に何を言ったの?」

父は答えた。

「……」

「おの兄は」

んでいない」

美咲のから、スマートフォンが落ちた。

「おの兄は、んでいない」

父の言葉を聞いた瞬

美咲ので、何かが崩れた。

が分からなかった。

理解できないというより。

理解したくなかった。

「……何を言ってるの」

やっとた声は、自分でも驚くほどさかった。

「病気でくなったって」

「そうだ」

「さっき、お父さんが言ったよね」

父は黙った。

くなったって」

「美咲」

「違うの?」

話の向こうで、父が苦しそうに息を吐く。

「俺たちは、そうするしかなかった」

その言葉を聞いた瞬

美咲のりが気に戻ってきた。

まただ。

また「仕方なかった」。

また「守るため」。

「誰が決めたの?」

父は答えない。

「誰が、私に言わないって決めたの?」

「……」

「母さん?」

沈黙。

「父さん?」

沈黙。

「それとも」

美咲は声を震わせた。

「私にはる資格がないって、で決めたの?」

父は何も言えなかった。

その沈黙が、答えだった。

美咲は話を切った。

しばらくに座ったままけなかった。

兄。

自分には兄がいた。

でも、その族のから消されていた。

写真にも。

アルバムにも。

会話にも。

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まるで最初からしなかったように。

その

美咲はあることに気づいた。

母の写真。

800枚。

17

母は自分を撮っていた。

そうっていた。

でも。

もし母が本当に忘れたかったのなら。

なぜ毎記録したのか。

消したかった記憶なら。

残す必などなかった。

美咲は、もう度写真フォルダをいた。

201771

413分。

の横に物。

する。

今度は、その物の装を見る。

黒いコート。

し猫背。

に古いバッグ。

その姿。

どこかで見たことがある。

美咲は、母のアルバムを探した。

父と母の若い頃。

結婚式。

婚旅

そして。

枚の写真でが止まった。

写真の裏。

母の字。

『1988 直

若い男性。

母と父の隣にっている。

美咲は息を止めた。

この顔。

し違う。

齢も違う。

でも。

目元が似ていた。

「……お兄ちゃん」

初めてにした。

しないとわされていたの呼び方。

その瞬

スマートフォンが鳴った。

相沢直子からだった。

「もしもし」

「美咲さん」

「兄のこと、ったんですね」

美咲は驚かなかった。

「全部っていたんですか」

「はい」

「母も?」

「はい」

「父も?」

「はい」

美咲は目を閉じた。

「じゃあ、なぜ誰も言わなかったんですか」

相沢はすぐには答えなかった。

「それは、あなたのお母さんが悔していたことです」

悔?」

「はい」

「由紀さんは、最初は本当に隠すつもりでした」

美咲は黙って聞いた。

「でも、17写真を撮るで、しずつ考えが変わりました」

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「何に?」

「あなたは、らないことによって守られているのではない」

らないことによって、自分で選ぶ会を失っている」

美咲の胸が痛んだ。

母が最まで向きっていたもの。

それは兄のではなかった。

「じゃあ、母はなぜ最まで言わなかったの」

相沢の声がくなる。

「怖かったからです」

「何が?」

「あなたが、自分を責めることが」

美咲は眉を寄せた。

「なぜ私が?」

「あなたのお兄さんがいなくなった理由」

相沢は静かに言った。

「あなたのと関係しているからです」

美咲の呼吸が止まった。

また。

また自分のらない過

また、自分のにある何か。

「……私がまれたから?」

「違います」

相沢はすぐ否定した。

「そこを違えないでください」

「あなたがまれたことは、誰の罪でもありません」

「でも」

「あなたのお母さんは、そうえない期がありました」

美咲は目を閉じた。

母の記。

『この子には、私が選んだを歩ませてはいけない』

あの言葉。

今ならし分かる。

母は美咲を責めていたのではない。

自分自を責めていた。

「相沢さん」

「はい」

「兄は今、どこにいるんですか」

話の向こう。

い沈黙。

そして。

「会いますか」

美咲の臓がきく鳴った。

きているなら」

「会うべきだといます」

相沢は言った。

「でも、つだけ覚えておいてください」

「あなたが会うのは」

「失われた族ではありません」

「17、あなたのらない所できてきたです」

その言葉は、美咲のに残った。

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