"午前四時十三分" 第10話
「どういうですか」
美咲は言った。
「父が何を隠していたんですか」
「それは、私のから話すことではありません」
「でも、母はもういません」
「だからこそです」
相沢の声は静かだった。
「由紀さんは、最まで迷っていました」
「何を?」
「あなたに真実を渡すべきか」
美咲は黙った。
まただった。
母はいつもそうだった。
事なことほど、自分で決めて、自分には何も言わない。
「相沢さん」
美咲はゆっくり言った。
「私はもう子供じゃありません」
「母が何を守ろうとしていたのかりたい」
「でも」
度息を吸う。
「母が正しかったのか、違っていたのかは、自分で判断します」
話の向こうで、さなため息が聞こえた。
「……由紀さんが聞いたら、きっとしたといます」
「なぜですか」
「あなたが、やっと自分で決めようとしているからです」
その言葉に、美咲はし腹がった。
まるで母の願い通りに、自分が変化しているように聞こえたからだ。
「教えてください」
「201771」
「父は何を話したんですか」
しばらくして。
相沢は言った。
「お父さんには、もう、族がいました」
美咲の表が固まった。
瞬。
が理解を拒否した。
「……何を言っているんですか」
「隠し子、というではありません」
相沢は続けた。
「あなたがまれる」
「由紀さんと結婚するの話です」
美咲は子に座った。
父。
母。
自分。
そのだけだとっていた族。
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そこに、らない過があった。
「そのは誰ですか」
「あなたのお兄さんです」
が止まったようにじた。
兄。
その言葉が現実のものとしてに入ってこない。
「……私に兄がいるんですか」
「いました」
相沢は過形で言った。
その言で、美咲はさらにになった。
「いました?」
「はい」
「今は?」
相沢はしを置いた。
「くなっています」
美咲は目を閉じた。
らなかった。
自分には兄がいた。
そして。
その兄はもういない。
「いつ?」
「あなたがまれるしです」
「事故ですか」
「いいえ」
相沢の声がくなる。
「病気です」
美咲は何も言わなかった。
それなら。
なぜ母は隠したのか。
なぜ17、写真を撮る理由になるのか。
「先」
「はい」
「それと413分は、どう関係するんですか」
相沢は答えた。
「あなたがまれただからです」
「それだけですか?」
「いいえ」
し。
「あなたのお兄さんがくなったでもあります」
美咲は息を止めた。
413分。
まれた。
そして。
失った。
同じ刻。
同じ族ので。
始まりと終わりがなった。
その夜。
美咲は父に話した。
今度は逃げられないとった。
数回の呼びし。
父がた。
「……美咲か」
「お父さん」
声が震えそうになる。
「私に兄がいたって、本当?」
話の向こうが静かになる。
い沈黙。
そして。
「誰から聞いた」
「質問に答えて」
父は何も言わなかった。
その沈黙で、美咲は確信した。
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本当なのだ。
「なんで隠したの」
自分でも驚くほどたい声がた。
「なんで、私だけらなかったの」
父はさく言った。
「おを守るためだ」
その瞬。
美咲の胸にりが湧いた。
また。
またその言葉。
守る。
「お父さんも?」
「何がだ」
「私のためって言うの?」
父は黙った。
「お母さんもそうだった」
美咲の声が震える。
「全部、私のため」
「でも、誰も私に何も聞かなかった」
「私がどううか」
「私がりたいか」
「私が選びたいか」
父は何も返さなかった。
しばらくして。
さな声が聞こえた。
「……その通りだ」
美咲は驚いた。
父は否定しなかった。
「俺たちは、おを守るつもりだった」
「でも」
「おから選ぶ権利を奪った」
美咲は黙った。
父の声は続いた。
「だから由紀は、毎朝写真を撮っていた」
「違う」
美咲は言った。
「母は私を見ていたんじゃない」
「私が選べるでいるか確認していた」
父はし驚いたようだった。
「そこまでったのか」
その言葉で。
美咲は気づいた。
父もっていた。
413分のを。
「お父さん」
「何だ」
「母が最に撮った写真」
「そこに、あなたはいなかった」
「でも」
美咲は続けた。
「201771の写真には、のに誰かがいた」
話の向こう。
父の呼吸が止まった。
「そのは誰?」
い沈黙。
そして。
父が言った。
「……おの兄の母親だ」
美咲は言葉を失った。
「まだきている」
父は続けた。
「そして、2017に突然現れた」
「由紀は、そのからある話を聞いた」
「その話を聞いたから」
「写真を再び撮り始めた」
美咲はスマートフォンを見る。
800枚の写真。