"午前四時十三分" 第2話
布団。
壁。
窓。
違いない。
母の部だ。
そこに、私が眠っている。
その瞬、初めてった。
母は私を見守っていたのではない。
何かを確認していたのではないか。
17。
毎朝413分。
母は体、私の何を見ていたのか。
美咲は、その写真を何度も見返した。
見れば見るほど、理解できなくなる。
写真のにいるのは、自分だった。
なくとも、顔は自分に違いない。
髪のさ。
寝方の癖。
をし曲げて眠る姿勢。
幼い頃から変わらない癖まで写っている。
けれど、問題はそこではなかった。
撮所だ。
そこは母の。
以に、美咲が学学をにていった実の、自分の部だった。
「……どういうこと」
もう度、写真の付を見る。
2024412。
その頃、美咲は京の神楽坂にあるさなマンションで暮らしていた。
版社の繁忙期。
毎晩遅くまで原稿を確認し、朝は7に起きる活だった。
実に泊まった記憶などない。
母のに帰ったのは、半以の正が最だった。
それなのに。
母のスマートフォンには、そのの午413分に撮られた自分の姿が残っている。
美咲は写真の報をいた。
撮所。
そこには予の表示がていた。
位置報。
設定されていません。
「……消してる?」
母は械に詳しいではなかった。
スマートフォンの設定も、いつも美咲に聞いていた。
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そんな母が、わざわざ位置報を消して写真を残していた。
それが妙に引っかかった。
偶然ではない気がした。
翌朝、美咲は所のコンビニでコーヒーを買い、実へ戻った。
母のは宅の奥にある古い軒だった。
築。
父がまだきていた頃に建てた。
父がくなってから、母はでここにみ続けていた。
玄関をける。
いつもの匂いがした。
洗剤。
古いの。
母が好きだった檀のり。
「お母さん……」
無識に名を呼んでしまう。
返事はない。
当然だ。
分かっている。
それでも、体はまだ母がいるの習慣を覚えていた。
美咲は階へがった。
昔の自分の部。
ドアをける。
そこには、何も変わっていない空が残っていた。
机。
本棚。
古いカーテン。
代のポスター。
まるでだけが止まっているようだった。
「……ここで撮ったの?」
部のを見回す。
しかし、違があった。
写真と現の部がし違う。
写真では、ベッドが窓側に寄っている。
今は壁側。
机の位置も違う。
美咲は首を傾げた。
母が撮った写真は、2024のもの。
でも、この部は何もの配置だった。
押し入れをける。
古い布団。
段ボール。
アルバム。
その奥から、冊のノートがてきた。
茶い表。
記帳のようだった。
美咲は瞬ためらった。
母の記を読むことに抵抗があった。
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でも、あの写真を見たでは、もう以のように慮する気持ちにはなれなかった。
ページをく。
最初の付。
2007412。
美咲がまれた。
『午413分』
そこから始まっていた。
文字は母の字だった。
几帳面で、さな文字。
『今、美咲がまれた』
『このを忘れない』
そこまでは普通だった。
美咲はしした。
やはり誕を記録していたのだ。
そうった。
しかし、その次の文でが止まった。
『この子には、私が選んだを歩ませてはいけない』
美咲は眉を寄せた。
何のことだろう。
ページをめくる。
しかし、次の数ページは破り取られていた。
乱暴にではない。
丁寧に切り取られている。
まるで、誰かに読まれることを最初から定していたように。
その夜。
美咲は眠れなかった。
母の写真。
母の記。
そして、あの文。
『私が選んだを歩ませてはいけない』
母は何をっていたのか。
なぜ17、毎朝同じに自分を撮ったのか。
午4。
美咲は目を覚ました。
計を見る。
412分。
なぜか胸がざわついた。
分。
413分。
スマートフォンを見る。
当然、何も起こらない。
静かな部。
古いの音。
蔵庫のさな作音。
そのだった。
階の廊から、さな音がした。
カシャ。
美咲の背筋が凍る。
聞き違いではない。
写真を撮る音。
ゆっくり振り返る。
誰もいない。
暗い廊。
しかし、には枚のが落ちていた。
さっきまでなかったもの。
美咲はづいた。
には、母の字でだけかれていた。
『413分になったら、必ず写真を確認してください』