"退職祝いは「孫の勤務表」" 第4話
「僕たちには、なぜ賃がいから同居すると言った」
「失業したって言ったら、お父さんが直を責めるでしょう」
「今、責めているのは失業したことじゃない。隠したまま僕へ育児を割り振り、類に署名したことだ」
麻は、自分もかまでらなかったと言った。与座の残が増えず、問い詰めて初めて分かった。そのには賃の更料と活費がりず、久美子へ相談した。
久美子は娘夫婦へ、へ戻ればよい、父さんは退職するから結菜を見られる、と答えた。僕へはマンション事のかだけと説した。
「どうして僕へ言わなかった」
「あなたは、計画のないが嫌いでしょう」
久美子は目を伏せた。
「直さんをに入れないと言うとった。麻が婚することになるかもしれない。だから先に緒に暮らせば、あなたもが移るとったの」
僕は族が僕を怖がっていた事実と、その恐れを利用して僕を既成事実へ押し込んだ事実を、同に受け止めた。
「僕はそんなに話せないだったか」
「会社から帰ると、正しい方法をすぐ決めた。宅ローンも、麻の学も、私の母の介護も。相談しても、最はあなたの計画になった」
久美子の言葉にはい当たることがあった。
麻が卒業に美容学へきたいと言った、僕は学を勧めた。
広告
美容師は職率がく、将来が定だと資料まで見せた。麻は学へみ、現は保険会社で働いている。
それを違いだったと言い切ることはできない。麻は仕事に誇りも持っている。しかし、自分で迷い、自分で決めるを、僕が分に与えなかったのは事実だった。
「だから今回は、僕に何も決めさせず、決まったで従わせたのか」
久美子は否定しなかった。
直は翌の午に戻った。ネクタイをし、髭も剃っていなかった。
「失業を隠したことは謝ります。でも、族を守るためでした」
「保育園の類へ僕の名をいたのも?」
「麻が仕事を失えば、計が終わります。僕が就職するまで、お義父さんがし協力してくれれば済む話です」
「あなたは、就職活をしている。毎ではなくても、結菜を迎えられるはあるはずだ」
直の顔がこわばった。
「無職の父親が迎えにけば、園で何を言われるといますか」
僕はその言葉で、彼が守ろうとしているものを理解した。族の活だけではない。働いている夫、計を支える父親という姿だった。
「僕を無職とくことは平気で、自分が無職だとられるのは嫌なのか」
直は答えなかった。
僕はかの試期を予定どおり終え、そのの同居はに戻すと伝えた。それまでの週は、当初決めた役割だけ守る。
広告
保育園の類は事実へ訂正し、直も同居族として就労状況を申告する。
麻は泣きながら、追いされたらむ所がないと言った。
「今ていけとは言っていない。週で、居と活の計画を作ろう。僕も報は探す。でも、僕のへ無期限にむことを唯の答えにはしない」
直は席をち、階へがった。
その夜、僕は予約していたきの宿をつキャンセルした。旅自体を諦めたのではない。族の話を理するため、発をか延ばした。
以の僕なら、自分の予定を全部消し、娘夫婦がち直るまで支えただろう。そしてから、誰も謝しないとったに違いない。
今回は、かだけと自分で決めた。
直は翌週から、結菜を週回迎えにくようになった。園には求職であることを伝え、必な変更届も提した。保育は自治体との確認でしくなったが、麻の就労と直の求職活が認められ、すぐ退園になることはなかった。
恐れていたほど、園の職員は直を責めなかった。担任は「お父さんのお迎え、結菜ちゃんもんでいます」と言った。それでも直は、ほかの保護者へ会うと顔を伏せた。
僕は鉄資料館の面談へき、週回のボランティアを始めた。古い信号設備や保線具を説する仕事で、最初の来館者は学の学習だった。
退職したが働いていないことと、何もしていないことは違う。