"退職祝いは「孫の勤務表」" 第2話
翌朝、玄関がく音で目が覚めた。麻が鍵を使い、結菜を連れて入ってきた。
「今だけお願い。保育園が休みなのを忘れてた」
僕はパジャマのまま計を見た。久美子は美容院の予約があり、直は得先との打ちわせ、麻も末の会議を休めないという。
「昨、は何もしないと言った」
「だからって、結菜をにできないでしょう」
麻は娘のリュックをへ置いた。結菜は状況が分からず、「おじいちゃん、今どこく?」と笑っている。
子どもので押し問答を続けることはできなかった。僕はそのだけ預かると伝え、麻に帰宅を確認した。
「には戻る。絶対」
実際に麻が戻ったのは午半だった。直も来ず、話には《もうしかかります》というメッセージしか返ってこない。僕は結菜へ昼と夕を作り、公園へ連れてき、呂に入れた。
結菜と過ごすこと自体は嫌ではなかった。公園で落ち葉を拾い、僕のカメラで鳩を撮ると、彼女は何度も画面を見たがった。寝るには、の図鑑を冊読み終えるまでさなかった。
だが、楽しかったことと、約束を破られてを使われたことは別だった。
麻が迎えに来た、僕は遅れた理由を尋ねた。彼女は会議が引き、帰りに直と活用品を買ったと答えた。
「買い物は今でなくてもよかっただろう」
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「引っ越しの準備があるの。お父さんも楽しかったでしょう」
「楽しかったから、約束を破っていいことにはならない」
麻の顔が固くなった。
久美子が美容院から戻り、また僕を細かいと言った。族ならの予定変更は受け入れるべきで、結菜もんでいるのに空気を悪くする必はないという。
僕はへ、同居と育児協力について、今週末にで話すよう求めた。それまでは斎の荷物をかさず、鍵も緊急以使わないことを確認した。
「ここは私の実だよ」
麻が言った。
「今は僕と母さんがむだ。おが帰ってきてはいけないと言っているんじゃない。んでいるへ連絡して入るのは普通のことだ」
娘は納得しないまま帰った。
週末の話しいで、直はノートパソコンをき、同居によって双方にどれだけ利益があるか説した。娘夫婦は賃と保育延料を節約できる。僕たちは活費として万円を受け取り、老に孫と過ごせる。将来、介護が必になったは自分たちが支えるという。
「まだ歳だ。介護を条件に、今の活を渡すつもりはない」
「条件というより、お互いさまです」
直は微笑んだ。
「それに、このもいずれ麻さんが受け継ぐわけですから。今から緒に使う方が理でしょう」
僕は驚いて久美子を見た。
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の名義は僕と久美子が分のずつ持っている。相続について、娘夫婦と話したことはない。
「誰が、麻へこのを渡すと決めた」
「娘なんだから、普通はそうでしょう」
久美子が答えた。
普通という言葉で、まだきているのが、次の持ち主のものになっていた。
僕は同居をかの試に限定する案をした。活費、事、育児、部の使い方を面にし、かに継続するか全員で決める。孫の送迎は週回、事に依頼されただけ。斎は残し、麻たちは元の子ども部と物置を使う。
直は満そうだった。
「族なのに契約みたいですね」
「族だから、誰かがして曖昧にするのをやめたい」
結局、その案で始めることになった。
話しいの翌、僕は玄関の鍵を交換した。古い鍵は以使い、防犯も交換期だった。麻へは、同居始にしい鍵を本渡すと伝えた。
その夜、久美子がった。
「娘を棒扱いするの?」
「昨決めたことを守るためだ」
「あなた、退職してから変になった。会社で偉そうに指示していた癖が、でもてる」
僕は言い返しかけて止まった。
会社では保全計画を作り、部の担当を決め、遅れを確認していた。族へ勤務表を渡されたことに腹をてた僕も、昔は久美子と麻の予定を、自分の仕事にわせてかしていたかもしれない。
それでも、反省することと、今の同を差しすことは別だった。