"帰る家は、ちゃんとあった" 第10話
自分で婚を選び、自分で帰る所を決め、自分のを歩き始めている。
夜になり、兄が帰った。
私は1でリビングに座った。
窓からのが差し込んでいる。
静かな部で、ふと順の言葉をいした。
「親なし女に帰るがあるならな」
あの、順も義母も笑っていた。
私には逃げる所がない。
だから何を言っても、何をさせても、最には従うしかない。
2はそうっていたのだろう。
でも違った。
私には帰るがあった。
何より、帰るがなかったとしても、あの所に残り続けなければならない理由などなかった。
あの夜、婚をにした瞬から、私はしずつ自分のを取り戻していた。
つらかった々を忘れたわけではない。
義母から投げつけられた言葉も、順から仕事を馬鹿にされたことも、簡単には消えないだろう。
それでも、もうその記憶に支配されることはない。
今の私は好きなに本を読み、自分のために料理を作り、仕事に誇りを持ち、やってみたかったことへ挑戦できる。
誰かの嫌を取るためではない。
誰かに認めてもらうためでもない。
自分が自分らしくきるためにを使える。
それは、以の私には像できなかったほどきな自由だった。
を取り戻すのに、遅すぎるということはない。
35歳。
私のはまだ続いている。
失ったものを数えるより、これから作れるものを切にしたい。
私は窓をしけた。
夜のがカーテンを揺らした。
幼い頃から何度も帰ってきたこので、私はようやく誰かの妻でも、誰かの嫁でもない自分自へ戻れた気がした。
そしてこれからは、誰かに決められた役割ではなく、自分で選んだを歩いていく。
そういながら、私は静かにの予定をいた。