"帰る家は、ちゃんとあった" 第6話
兄自は仕事の都で別のに暮らしているため、実には誰もんでいなかった。
順は、両親も祖父母もくなっているとっていた。
だから勝に、「霞には帰る実がない」とい込んでいたのだ。
私は度も、実がしないとは言っていない。
久しぶりに玄関をける。
懐かしいの匂いがした。
廊。
柱。
さな傷。
幼い頃、兄と遊んだ部。
両親と卓を囲んだ記憶。
私は荷物を置き、しばらく何もせずにっていた。
「ただいま」
誰もいないに、そう言った。
数、私は静かに過ごした。
仕事をし、簡単な事を作り、眠る。
義母の突然の訪問もない。
順の嫌みもない。
それだけでがしずつ軽くなっていった。
そんなある、スマートフォンが鳴った。
順だった。
最初は無した。
切れた直、また鳴った。
さらにもう度。
あまりにもしつこいため、私は仕方なくた。
「もしもし」
「お、今どこにいるんだよ!」
が痛くなるほどきな声だった。
「うるさい。普通に話して」
「何で話無するんだ! く帰ってこい!」
「だから実に帰るって言ったでしょう」
「実って何だよ!」
順の声にはりより混乱が混じっていた。
「お、両親はんでるだろ。祖父母だってもういないって言ってたじゃないか」
「ええ」
「じゃあ、どこの実だよ」
私は淡々と答えた。
「両親はくなった。
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祖父母もくなった。でもは残ってる。それを兄が管理してるの」
話の向こうが静かになった。
しばらくして、順がい声で言った。
「度、話をしたい」
「話で分でしょう」
「所教えろ」
「嫌よ」
「頼むよ」
急に々しい声になった。
「今の状況が俺には全然理解できないんだ。1回だけ会って話そう」
私は断ろうとした。
しかし、まだ婚届をいてもらっていないことをいした。
郵送でも続きはできる。
それでも目ので記入してもらえれば確実だった。
私は迷った末、実の所を伝えた。
翌、順は実へやって来た。
玄関をけた瞬、私はし驚いた。
たった数しか経っていないのに、順はひどく疲れて見えた。
髪は乱れ、顔も悪い。
目のには濃い疲れが浮かんでいた。
義母との同居活が像以に変なのだろう。
「お……」
順は私を見るより先に、の奥へ線を向けた。
「本当にここがおの実なのか?」
「そうよ」
「こんな、あるなんて聞いてないぞ」
「聞かれたこともないもの」
順は庭や廊を確かめるように見た。
私は玄関先で腕を組んだ。
「祖父母がくなってからは兄が管理してくれてるの。あなたとお母さんが勝に『私には帰る所がない』とい込んでいただけ」
順はをきかけ、閉じた。
そして突然、苛った顔になった。
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「お、ずっと俺に隠してたのか?」
「何を?」
「実があることだよ!」
「隠してないわよ」
「俺はな、実も頼る先もないおを支えてやってたんだぞ!」
その言葉を聞いた瞬、胸の奥がすっとえた。
「支えてた?」
私は聞き返した。
順は勢いづいた。
「そうだろ。族もいないおと結婚して、俺が活を支えてきたんだ。それなのに、こんながあることまで黙って……」
「違う」
私は遮った。
「あなたは私を支えてたんじゃない」
「何だと?」
「私には親も族もいないとって、見してただけでしょう」
順の顔が止まった。
私は今まで言えなかったことを、気に言葉にした。
「私の仕事だってずっと馬鹿にしてた。誰でもできる、お遊びみたいな仕事だって何度も言ったよね」
「それは……」
「お母さんが私をいびっても助けてくれなかった。介護まで押しつけて、自分は何もしなかった」
「俺は仕事が……」
「その仕事を理由にすれば、何でも私にやらせていいとってたの?」
順は何も言えなくなった。
やがていため息をつき、調を柔らげた。
「もういいだろ。戻ってこいよ」
私はわず眉を寄せた。
「何で?」
「母さんの介護もあるし……俺1じゃどうにもならないんだよ」
結局そこなのか。
順は続けた。
「事だってずっとおにやってもらってただろ。俺じゃくできないんだ。霞が必なんだよ」
「必?」
私は笑ってしまった。
している。
やり直したい。
傷つけて悪かった。
そんな言葉は1つもない。
必なのは、義母を介護し、順の活をえるだった。