"寝室の異臭を隠した夫の本当の目的" 第5話
あまりにも稚拙で、私を完全になめきった嘘だった。
呂の方から健の苛った声が響いた。
「どうした?突っってないで、く着替えをせよ」
私は声を張りげた。
「はい。今きます」
私はレシートをそっと自分のエプロンのポケットに隠し、洗面所へと向かった。
脱カゴに放り込まれた健のシャツからは、玄関でじたのと同じ甘いの匂いがはっきりと漂っていた。
以の私なら、浮気をしているのではないかと泣き崩れていたかもしれない。
しかしベッドので母子健康帳と呪いのような写真を見たの私には、ただ静かなりだけがの底にり積もっていくのをじていた。
翌朝、健は休の接待ゴルフだと言って朝くからでかけていった。
のに再び静寂が戻った頃、固定話のベルがけたたましく鳴り響いた。
ディスプレイに表示されたのは義母の浩子からの着信だった。
私は受話器を取った。
「はい。です」
義母は話越しにい声をした。
「あ、由美さん。健はもうかけたの?」
話の義母の声は、昨に来たのややかなトーンとは打って変わり、ひどく弾んでいた。
まるで何か嬉しい隠し事をしていて、それが顔にてしまっている子供のようだ。
私は静かに答えた。
「はい。今朝くゴルフに向かいました」
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義母は嬉しそうに言った。
「あの子もこれからますます事な責任が増えるんだから、せいぜい頑張ってもらわないとね。あなたもしっかり栄養のあるものを作って、あの子を支えるのよ。まあ、あなたにできるのはそれくらいしかないんだから」
義母の言葉の端々に、いつもとは違う種類のトーンがあった。
事な責任が増える。
その言葉がするものを私はすでにっている。
私はあえて何もらないふりをして尋ねた。
「お義母さん、責任が増えるとはどういうことでしょうか?会社でまた昇でもするのですか?」
話の向こうで義母がふふっと優越に浸るように笑うのが聞こえた。
義母は自げに言った。
「あなたには分からないでしょうね。男っていうのはね、50を過ぎてからが本当のの始まりなのよ。特に、しい命という希望があれば、男はいくらでも若返るものなの」
その瞬、私の臓がたく凍りついた。
義母はっているのだ。
健が伊藤まゆみという別の女性と関係を持ち、彼女が妊娠していること。
それどころか義母のこのびから察するに、彼女はその関係を容認し、むしろ歓迎している。
私は結婚してからずっと子宝に恵まれなかった。
妊治療をしたいと頼んだも、健は「面倒くさい、がかかる」と取りってくれなかった。
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義母からはの嫁として落第だと何にもわたって責められ続けてきた。
私が義父の介護でをにして働いていたも、義母ののにあったのは、跡継ぎも産めない役たずの嫁という蔑みだけだったのだ。
私は震えそうになる声を必に抑え込み、平坦な声で答えた。
「そうですね。しい希望があればは変われるのかもしれませんね」
義母はたく言った。
「そういうことよ。だからあなたも自分のをよく弁えて、せいぜい今のうちに健の役につことね。じゃあ私はこれからおかけだから」
方に話を切られ、ツーツーという無質な音がリビングに響いた。
受話器を置いた私のは、くなるほどく握りしめられていた。
底れぬ悪。
義母は私をタダ働きの政婦や介護員として使い倒し、用済みになれば若い女としい孫を迎え入れて私を捨てるつもりなのだ。
健と義母は2結託して私をこのから追いそうとしている。
私はちがり、健の斎へと向かった。
「俺の仕事部には絶対に入るな」と命じられていたその部に、私はためらうことなくを踏み入れた。
壁際に置かれたな製のデスク。
その引きしはいつも鍵がかけられている。
しかし私はっていた。
健が用いようでいて、実は詰めが甘い性格であることを。
私はデスクのに潜り込み、板の裏側をで探った。