みかん小説
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"48歳の誕生日、母親をやめました" 第22話

朝5彦は1で目を覚まし、静かに布団から抜けす。

洗面所でたいを使って顔を洗う。

鏡に映る自分の顔は、1ですっかり老け込んでいた。

ため息をつく暇もなく台所へ向かう。

たいでお米を研ぎ、炊飯器のスイッチを入れる。

15久美子が毎1でやっていたことだ。

今では彦がその役割を担っていた。

し遅れて健太が台所にりてくる。

彦が声をかけると、健太も静かに頷いた。

「おはよう」

健太は蔵庫をけ、自分の弁当の材料を取りす。

器用なつきで卵焼きを作り始めた。

形はし崩れているが誰も文句は言わない。

さらにしして、美結も起きてきた。

美結は無言で洗面所へ向かい、洗濯を回し始める。

自分のだけでなく族全員のを丁寧に洗う。

休みのは掃除をかけて部を綺麗に保っている。

誰もやってくれとは言わなくなった。

それぞれが自分にできることを、必にやっているのだ。

族全員で分けをしてようやくが回っていた。

それだけ久美子が1で背負っていた負担はきかったのだ。

彦は焦げた卵焼きを見つめながらさく呟いた。

「これ本当に変だったんだな」

健太もフライパンを洗いながらく頷いた。

「母さん、毎文句も言わずに5分作ってたんだよな。俺いつも文句ばっかり言ってて本当に最だった」

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美結も干し終わった洗濯物を見つめて涙ぐむ。

「私アイロンがし曲がってるだけでってた。あんなに綺麗にしてくれてたのに、ありがとうって1回も言わなかった」

のテーブルのにはあのノートが置かれている。

族運営マニュアルとかれたボロボロのノート。

今ではこれが族にとって1番切な宝物になっていた。

そこにかれている細かい文字を見るたびにう。

自分たちはどれだけされていたのだろうか。

何も言わずただ族の笑顔を見るために働いてくれていた。

そのにあぐらをかき、見して傷つけ続けた。

もう2度とあの温かい声を聞くことはできない。

しいご飯の匂いが台所から漂ってくることもない。

その悔と痛みを、彼らは抱えてきていく。

許されるは永に来ない。

それが久美子のを壊した彼らに与えられた、の罰だった。

方その頃、町の片隅にある静かで当たりの良いさなカフェ。

窓際の特等席に、久美子は1で座っていた。

温かい茶のりが、テーブルから優しく漂っている。

は久美子の49歳の誕だった。

テーブルの真んにはさな丸い誕ケーキが置かれている。

そこにてられているロウソクはたったの1本だ。

齢の数ではない。

この1本のロウソクは彼女のしいの1目をしていた。

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久美子は窓のの青空を見つめて静かに微笑んだ。

この1は決して楽なではなかった。

たいアパートで1で震える夜もあった。

のやり方が分からず、何度も悔し涙を流した。

それでも久美子は決して諦めなかった。

に勉を続け、目標だった医療事務の資格を見事に取得したのだ。

今ではさなクリニックで、正社員として働いている。

同僚たちにも恵まれ、毎笑いいながら仕事をしている。

自分で稼いだおで好きなを買い、好きなものをべる。

休みのきたかった所へ自由にかける。

誰の顔を伺うこともない。

誰のために自分を押し殺してする必もない。

自分ので自分のをしっかりと歩いているのだ。

それが涙がるほど嬉しかった。

カフェの優しい員が笑顔で声をかけてくれた。

「お誕おめでとうございます」

久美子はからのるい笑顔でそう答えた。

「ありがとうございます」

15誰にも祝ってもらえなかった誕

「そうだっけ」とたく笑われ、忘れられていたあの

あの夜泣きながら塗りつぶした記のページは、もう過のものだ。

今隣に族の姿はない。

うるさい文句もたい線ももう何もない。

ただ穏やかで優しいだけが、ここにはある。

久美子は目を閉じ、両を静かに組んだ。

そしてさなロウソクのに向かって、ふっと息を吹きかけた。

揺れていたさな炎が静かに消える。

それは過の苦しみとの、完全な決別だった。

久美子は目をけ、自分のために用したケーキをべた。

甘くてとても温かいがした。

隣に族はいなくても、しも寂しくはない。

まれて初めて自分自を、から祝福できたのだから。

窓から差し込む優しいが、久美子の顔をるく照らしていた。

もう2度と誰かのための便利な具にはならない。

これからは1として、自分だけの切なの主役としてきていくのだ。

は失ってから気づく。

母親がいなくなったことではない。

当たりにあったが、どれほどきかったのかを。

そして本当にしいのは、そのをくれたの好きなものさえ何ひとつらなかったと気づく瞬なのである。

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