"48歳の誕生日、母親をやめました" 第20話
あなたたちは私のことをだとっていなかった。便利な械と同じだったのよ」
久美子はたく言い放った。
「械が壊れたから直してまた使いたいと言っているだけ。私はもう2度とあのには戻らない」
その言葉に彦は完全に絶望した。
どんなにおを積んでも、どんなに座をして泣いて謝っても。
失われた15の信用は2度と戻らないのだ。
彦は涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ゆっくりとをいた。
「俺は本当に馬鹿だった。自分が偉いといがって、おを見していた。でも全てを失ってやっと分かったんだ」
彦は震える声で最の言葉を絞りした。
「初めて気づいた」
話の向こうで、久美子が静かに聞いているのが分かった。
いい沈黙が流れた。
彦は涙をこぼしながら、からの真実をにした。
「君は母親じゃなかった」
彦は声を振り絞った。
「このそのものだった」
久美子がいなければ、はただのたい箱だった。
温かいご飯も綺麗なも族の笑顔も、全ては久美子というが作りしていた命だったのだ。
「俺たちはその命に寄してきていただけだった」
彦の言葉を聞いて、久美子は静かに目を閉じた。
古いアパートのたい壁に寄りかかりながら、さく息を吐いた。
15、誰にも分かってもらえなかった自分の価値。
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それを夫がようやくにしてくれた。
しかし久美子のにびはなかった。
もうそんな言葉ではが温まらないほどえ切っていたのだ。
久美子は静かにそう答えた。
「嬉しいわ。やっと気づいてくれて」
彦の顔に、ほんのしだけ希望のが差した。
彦がすがるように尋ねた。
「じゃあ帰ってきてくれるのか」
次の瞬、久美子はたく、そしてはっきりと言い放った。
「私はじゃないわ」
彦の希望は瞬で打ち砕かれた。
その言が、彦のにくく突き刺さった。
「私はただのよ」
久美子は続けた。
「自分の好きなものをべて自分の好きな所にく。ただの1のなの。あなたたちの便利なに戻るつもりはもう絶対にないわ」
久美子は最に告げた。
「さようなら」
ツーツーツー。
無質な話の切れる音が暗い部に鳴り響いた。
彦は受話器をに当てたまま、完全に絶望して固まった。
通話は終した。
もう2度と久美子と繋がることはないだろう。
完全に終わったのだ。
彦は受話器をに叩きつけ、獣のような声で泣き叫んだ。
「ああ」
健太も美結も声を枯らして泣き続けた。
誰も久美子を責めることはできなかった。
自分たちが久美子というのを殺したのだ。
その罰として永にこのたい暗のできていくしかない。
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のは完全な絶望に包まれていた。
そしては無常にも流れていく。
数週のが過ぎた。
この彦たちの活は、まさに獄そのものだった。
彦は会社で窓際の部署に異させられた。
な会議を無断欠席したペナルティはかった。
料は幅にがり、世のは完全に絶たれた。
健太は部活をやめ、毎アルバイトをして費を稼ぐようになった。
美結も放課はまっすぐに帰り、慣れないつきで事をしている。
忍は退院、い介護施設に入所することになった。
誰ももう文句を言う者はいない。
全員が自分たちの罪のさを噛み締めながら、必にきていた。
そんなある、彦の元に通の封筒が届いた。
には久美子からの婚届が入っていた。
そして、1度だけ話しいのを持ちたいというが添えられていた。
彦はもう逃げることはできなかった。
指定された曜の午。
彦は健太と美結を連れ、施設から忍を連れて指定されたカフェへ向かった。
の奥の席に、1の女性が座っていた。
その姿を見た瞬、族全員が息を呑んでち尽くした。
それは彼らがっている疲れた母親ではなかった。
髪は綺麗に切り揃えられ、く化粧をしている。
151度も着たことがなかったるいのを着ていた。
その表には昔のような暗いは全くない。
ききとした1の美しい女性がそこにっていた。
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