"48歳の誕生日、母親をやめました" 第6話
普通の族なら、ここで母親の苦労に気づいて涙を流すだろう。
謝の気持ちで胸がいっぱいになるはずだ。
しかしこの族は違った。
彦は突然、できく笑った。
彦はノートを乱暴にテーブルに投げ捨てた。
「なんだこれ。自分がどれだけ変かアピールしたいだけじゃないか」
健太がノートを拾いげ、顔をしかめた。
健太は吐き捨てるように言った。
「うわ、気持ち悪い。こんなの毎いてたの。暇な専業主婦のやることってマジでわかんない」
美結も横から覗き込んで、たく言い放つ。
「いよね。こういうのだからお母さんって面倒くさいんだよ。恩がましいっていうかさ。誰も頼んでないのに」
忍も呆れたようにため息をついた。
「これくらいでげさな。昔の女はもっと働いていたぞ」
誰1として、久美子の努力を認めようとはしなかった。
むしろノートを残したことを、嫌がらせだと受け取ったのだ。
彦は自信満々にそう言い切った。
「こんなマニュアルなんてなくても、事くらい俺たちでできる」
彦は族を見渡した。
「から各自自分のことは自分でやれ。あいつが泣いて帰ってきたら、絶対に謝らせてやるからな」
族全員が彦の言葉にく頷いた。
自分たちの力だけで分にきていけると信じていたのだ。
しかしその自信は、翌の朝、無惨にも打ち砕かれることになる。
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翌朝。
彦は昨着たワイシャツの匂いを嗅いで、顔をしかめた。
「さすがにこれでは会社にけないな」
仕方なく自分で洗濯を回すことにした。
しかし洗剤の量が分からない。
彦は洗剤のボトルを力いっぱい傾けた。
「適当でいいだろう」
量の液体が、洗濯のに流れ込む。
さらに落ちしやすいも、美結の切なも全部緒に放り込んだ。
ボタンを押して、満げに台所へ向かう。
「なんだ、洗濯なんてボタンを押すだけじゃないか」
しかし1、彦は洗濯ので言葉を失うことになる。
からてきたのは、青く染まった自分のいワイシャツだった。
さらに美結のお気に入りのブラウスも、無惨なに変わっていた。
起きてきた美結がそれを見て、切り声をあげた。
「最悪。お父さん何してくれてんの」
美結は青いブラウスをに取った。
「これ限定品だったのに、どうしてくれるの」
彦はきな声で鳴り返した。
「うるさい。俺だって忙しい、おのために洗ってやったんだぞ」
朝からのに鳴り声が響き渡る。
健太が嫌そうにりてきた。
健太は蔵庫をけた。
「うるさいな。それより俺の弁当は今こそあるよな」
彦が鳴り返すと、健太はきく舌打ちをした。
「あるわけないだろう。自分でコンビニで買え」
健太はを差しした。
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「がりないんだけど。あと1000円くれよ」
彦は財布をけた。
「お昨も渡しただろうが」
健太は肩をすくめた。
「昨のは夕飯のピザ代でなくなったんだよ」
おがのように消えていく。
彦は財布のを見て愕然とした。
たった2で1万円札が何枚も消えている。
久美子がどれだけ節約し、計をやりくりしていたか。
そんなことには気づかず、ただ苛ちだけが募っていく。
彦はスマートフォンを取りした。
「全部あいつのせいだ」
久美子に話をかけた。
やはりコール音が鳴るだけで、誰もない。
彦は留守番話にりに任せて声を吹き込んだ。
「いい加減にしろ。いつまで嫌を損ねているつもりだ。おみたいな取り柄のない女、1じゃ何もできないだろう。がなくなって困るに、さっさと帰ってこい」
彦は自分が完璧に正しいと信じていた。
養ってやっているといういいがりがあった。
妻は自分に逆らえないいだとっていたのだ。
しかし彦はらなかった。
久美子がこのをるに、ある準備を完璧に済ませていたこと。
その事実が彦を完全に追い詰めることになるとは、まだ誰も気づいていなかった。
彦はたい笑いを浮かべていた。
には1枚のクレジットカードが握られている。
それは久美子に渡していた族カードだった。
彦は得げに子供たちに向かって言った。
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