"48歳の誕生日、母親をやめました" 第5話
「ああ、連絡もつかない。どこにったか全くわからないんだ」
健太は舌打ちをした。
「ふざけんなよ。試用のユニフォーム、自分で洗えよ」
彦は疲れ切った声で答えた。
「洗濯くらい回せるだろ」
健太は鳴った。
「洗い方なんてるかよ。縮んだらどうすんだよ」
そこへ美結も、スマートフォンを見ながら帰ってきた。
美結は靴を脱ぐなり文句を言い始める。
「ちょっと、の臭くない。ゴミ捨ててないでしょう」
美結はリビングに入ってきた。
「お腹空いた。今の夜ご飯は何」
彦はイライラしてきな声をした。
「おらしは状況を考えろ。母親がいないんだぞ」
美結はたく言い返した。
「お父さんがらせたからでしょう。どうにかしてよ」
美結の言葉に、彦は言い返すことができなかった。
結局夕は、宅配ピザを頼むことになった。
5000円以の費に、彦は財布を見つめてため息をついた。
届いたピザを族4で無言のままべる。
いつもなら久美子が作った温かいおかずを囲むだ。
誰もにはさないが、ピザのはしも美しくなかった。
、忍が苦しそうに咳き込んだ。
忍は胸を押さえた。
「おい、薬はどこだ。胸がし苦しいんだが」
彦は慌てて台所の棚を探し回った。
薬箱のには、たくさんの種類の薬が入っていた。
彦は薬の袋をに取った。
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「親父、どれをめばいいんだ」
忍は顔をしかめた。
「わしがるか。いつも久美子がしてくれていたんだ」
い錠剤、赤いカプセル、薬。
朝、夕、寝ると細かく分かれている。
彦のが止まった。
親父が毎どんな薬をんでいるのか、15緒にんでいて全くらなかったのだ。
彦は薬箱を置いた。
「とりあえず今はむのをやめておこう」
忍はそうに顔をしかめた。
「丈夫なのか。倒れたらどうするんだ」
彦は苛ちをぶつけた。
「仕方ないだろう。違った薬をむよりはマシだ」
のはたった1で、完全に能しなくなっていた。
洗濯カゴからは汚れたが溢れ落ちている。
流し台は洗っていない器とピザの箱で積みだ。
ゴミ箱からは嫌な匂いが部に広がっている。
誰もそれを片付けようとはしない。
誰かがやるだろうと、全員がっているからだ。
彦はテーブルをく叩いた。
「あいつ、絶対許さないからな」
健太もで笑いながらスマートフォンを見ている。
「どうせおがなくなったら泣きついてくるさ」
美結もたい言葉を投げかけた。
「専業主婦なんて1じゃきていけないでしょう」
誰も久美子を配する言葉をにしない。
自分たちの便さだけに腹をてていた。
その、彦の線がテーブルの端で止まった。
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朝蔵庫から剥がして放り投げた、1冊のノート。
族運営マニュアルとかれたあのノートだ。
彦はため息をつきながら、そのノートをに取った。
どうせくだらない文句がいてあるだけだろう。
彦はゆっくりと表をめくった。
しかしそこにかれていた文字を見た瞬、彦の顔から気に血の気が引いた。
彦は震えるでノートのページをめくり続けた。
「これ、何かの冗談だろう」
健太と美結も、父親の異常な様子に気づいて覗き込んだ。
次の瞬、族全員の言葉が消えた。
彼らはまだ気づいていなかったのだ。
このノートが、自分たちの残酷さを証する証拠であることに。
彦のが微かに震えていた。
ノートの最初のページには、細かい文字がびっしりとかれていた。
族の1のスケジュール。
午4起、お弁当の準備始。
午5、洗濯を回す。
午6、朝の準備。
そこには分刻みで、久美子のきが記録されていた。
次のページをめくると、子供たちの名があった。
『健太のお弁当。肉をめにすること。ピーマンは絶対に避けること。』
『美結のお弁当。油っこいものは胃もたれするから控えること。彩りよく野菜を入れること。』
そして忍のページもあった。
『お義父さんの薬。曜の午3は必ず病院に連れていくこと。夕に血圧の薬を絶対にませること。
』
彦はそのページを見て息を呑んだ。
自分が全くらなかった族の記録が、そこにあったからだ。
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