"48歳の誕生日、母親をやめました" 第3話
そこには誰もいなかった。
ただ綺麗に洗われた弁当箱が、5つ並んでいるだけ。
は全て空っぽだった。
そして蔵庫には、1冊のノートが貼られている。
彦は笑いながらさく呟いた。
「そのうち帰ってくるだろう」
本気でそうっていた。
これが獄のような々の始まりだとは、らずに。
朝6半なら、のは忙しい音で溢れているだ。
しかし今の台所は、気なほど静まり返っていた。
彦はあくびをしながら階段をり、台所を覗き込んだ。
いつもなら湯気をてている炊飯器は、たいままだ。
まな板ので包丁がく気よい音も、聞こえない。
議にいながら、彦は蔵庫のにった。
そこに1冊のノートがマグネットで貼られている。
表には、族運営マニュアルとかれていた。
彦はで笑った。
「何がマニュアルだ。げさな奴だな」
ノートをくこともなく、テーブルに放り投げた。
どうせちょっとした腹いせだろう。
昨の誕を忘れられていたから、拗ねているだけだ。
2階からドタバタときな音をてて健太がりてきた。
健太は嫌そうに台所を見回した。
「おい母さんどこった?腹減ってんだけど。俺の弁当は」
彦は綺麗に並んだ5つの空の弁当箱を指差した。
彦はあくびをしながら答えた。
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「あいつしたらしいぞ。昨の夜からいない」
健太は瞬驚いた顔をしたが、すぐにヘラヘラと笑いした。
健太は蔵庫をけながら言った。
「マジで。昨のことでったんだろ。どうせ夕方には泣きながら帰ってくるさ」
彦の言葉に、健太も違いないときく頷いた。
健太は彦にを差しした。
「とりあえずコンビニで買うわ。くれよ」
彦は財布から1000円札を抜きし、健太に渡した。
健太はそれを受け取ると、挨拶もせずにをてった。
そのすぐ、洗面所から美結の甲い声が響いた。
美結は音をててりながら台所に入ってくる。
「お母さん、私のブラウス、アイロンかかってないんだけど」
しかしそこに母親の姿がないことに気づいて、きを止めた。
美結は周りを見回した。
「お母さんは」
彦が事を説する。
美結は計を見て声を荒げた。
「私、もうをないと遅刻するのに」
美結は底呆れたようにため息をついた。
美結は髪をいじりながら言った。
「ええ、何それ。子供じゃないんだからさ」
彦は面倒そうにを振った。
「いいから適当な着てけよ」
美結は眉をひそめた。
「信じられない。シワのでけっていうの」
文句を言いながらも、美結は彦にを差しした。
「お弁当ないんでしょう。お昼代ちょうだいよ」
美結も彦から1000円札を受け取り、に玄関へ向かった。
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残されたのは、彦と義父の忍だけだった。
忍が杖をつきながら、ゆっくりと居にやってきた。
忍はソファに座り、杖をに突いた。
「朝ご飯はまだか。腹が減った」
彦は台所の戸棚を次々とけていった。
「親父、今は久美子がいないんだ。適当に済ませよう」
しかし、どこに何があるのか全くわからない。
パンを探すが見つからない。
お茶を入れようとしたが、茶葉の所さえらない。
忍がソファに座りながら、イライラした声で急かす。
「おい、お茶くらいすぐせないのか」
彦は戸棚を漁りながら答えた。
「ちょっと待ってくれよ。今探してるんだから」
15、彦は台所にったことがなかった。
事は座っていれば、勝にてくるものだとっていたからだ。
蔵庫をけると、野菜や肉はたくさん入っていた。
しかし彦には、それらをどう調理すればいいのか全くわからない。
結局彦は、棚の奥にあったインスタントラーメンを取りした。
鍋を探しお湯を沸かすだけで、10分もかかってしまった。
忍はラーメンを見て、満そうに顔をしかめた。
「朝からこんなものをべさせる気か」
彦はラーメンを急いでかき込んだ。
「文句言わないでくれ。俺だって忙しいんだ」
彦は壁の計を見た。
すでにいつもをるを、幅に過ぎている。
ワイシャツにはアイロンがかかっておらず、シワだらけだ。
仕方なくそのまま着て、彦はをびした。
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