"夫の娘は、私にだけ謝った" 第4話
「12から」
隆司はく黙った。
そして。
「言えなかった」
と答えた。
「何で?」
「その頃、は学。里奈は受験。母さんも入院してた」
「私もいたよ」
隆司が顔をげる。
「私もその族のにいた」
「だからだよ」
「どういう?」
隆司は。
苦しそうに言った。
「真由美に言ったら、全部壊れるとった」
真由美は。
しばらく夫を見ていた。
「あなた、私がどうするか聞いてないよね」
「何?」
「ったら婚するとった?」
隆司は黙った。
「綾さんに会うなって言うとった?」
返事はない。
「また勝に決めたんだ」
真由美は。
初めて。
夫が12に抱えていた苦しさより。
自分が選択肢を与えられなかったことに。
いりをじた。
「今回も同じ」
「何が」
「綾さんがだから、婚してそばへく」
「……」
「本、頼んでないよ」
隆司の顔が変わった。
「綾がそう言った?」
「うん」
「でも、本は違う」
真由美は。
その言葉で。
はっきり分かった。
隆司は。
娘の本まで。
自分で決めている。
と里奈へ12のことを話したのは、その週末だった。
は父へ鳴るかとった。
ところが。
にも。
先にったのは里奈だった。
「お父さん、最」
隆司が顔をげた。
「何がだ」
「私、だったんだよね。12」
「そうだ」
「だから何?」
「何が言いたい」
「私が受験だったから言えなかった?」
里奈は。
父の説を聞いて。
むしろ腹をてていた。
「そんな理由で、族全員から12も隠したの?」
広告
隆司は言い返した。
「おが子どもだったからだ」
「17歳だよ」
「同じだ」
「じゃあいつならなの?」
隆司が黙る。
は。
にも。
父をかばった。
「でもさ」
全員が兄を見る。
「父さんも、きつかったとはう」
「お兄ちゃん?」
「自分の父親に騙されて、らないうちに子ども捨てたことになってたんだぞ」
は続けた。
「それ分かった、普通に判断できるか?」
真由美は。
息子の言葉も分かった。
隆司は。
全部を計算して隠したわけではない。
怖かったのだろう。
自分の父を信じていたが。
崩れた。
自分には。
らない娘がいた。
その娘は。
父に捨てられたとってきてきた。
「でも」
里奈は兄を見る。
「苦しかったら何してもいいの?」
「そう言ってない」
「お母さんには何も選ばせなかったんだよ」
「それは父さんが悪い」
は即座に言った。
「でも、だからって全部悪みたいにするのも違うだろ」
兄妹のが。
以とは逆になっていた。
最初。
父に理解を示したのは里奈。
母を守ろうとしたのは。
今は。
里奈が父を責め。
が父の事を考えている。
真由美は。
その変化を見ながら。
これでいいのだとった。
度決めたに。
最まで居続ける必はない。
事をれば。
考えが変わる。
その夜。
里奈から真由美へ話が来た。
「お母さん」
「何?」
「綾さんに会ってみたい」
真由美は驚いた。
「どうして?」
広告
「私のお姉ちゃんなんでしょう」
姉。
その言葉を。
真由美は初めて聞いた。
「お父さん抜きで会いたい」
「何話すの?」
「分かんない」
里奈は笑った。
「でも、父さんが勝に族になろうとしてるなら、私は自分で会って決めたい」
翌週。
里奈と綾は会った。
真由美も同席した。
最初は。
驚くほど会話が続かなかった。
好きなべ物。
仕事。
んでいる所。
まるでお見いだった。
ところが。
里奈が、
「私、父さんに似てるって言われるの嫌なんです」
と言うと。
綾が笑った。
「私も最それ言われて嫌です」
で笑った。
そこから。
しずつ話せるようになった。
帰り際。
里奈は。
綾へ聞いた。
「お姉ちゃんって呼んでもいい?」
綾は固まった。
真由美も。
息を止めた。
しばらくして。
綾は。
困ったように笑った。
「まだちょっと恥ずかしい」
「じゃあ綾さん」
「うん」
「そのうちで」
「そのうちね」
族になったわけではない。
でも。
扉がついた。
方。
隆司は。
その話を聞いて。
ばなかった。
「俺抜きで会ったのか」
真由美は驚いた。
「駄目なの?」
「そういうじゃない」
「じゃあ何?」
隆司は。
答えられなかった。
真由美は気づいた。
夫は。
自分が族をつなぐになりたかったのだ。
36遅れて現れ。
父親として。
全員をつにする。
そんな役を。
像していた。
ところが。
綾と里奈は。
父親がいなくても。
自分たちで関係を作り始めた。
それが。
隆司には。
寂しいのかもしれなかった。
婚の話は、度止まった。
真由美から止めたわけではない。
隆司自が。
広告
おすすめ作品
-
完結第30話
寝室の異臭を隠した夫の本当の目的
夫婦の寝室から漂う、異様な悪臭。 リフォーム業者が床下収納を開けると、そこには妻・由美の写真、知らない生命保険証書、そして別の女の母子手帳が隠されていた。 さらに夫・健一の書斎から見つかったのは―― 「重度の妄想癖。自傷他害の恐れあり」 由美を精神病患者に仕立て、睡眠薬で眠らせて病院へ送り込む計画書だった。 25年間尽くした夫と義母は、なぜ彼女の財産だけでなく人生まで奪おうとしたのか。 何も知らない妻を演じながら、由美は静かに反撃の証拠を集め始める――。夫婦|真実|真相4.5萬字5 0 -
完結第11話
席次表から消された母
25年間、血のつながらない息子・亮を育ててきた奈津子。 幼い頃の発熱、不登校、受験、就職、そして結婚。どんな時もそばにいて、亮からはずっと「母さん」と呼ばれてきた。 しかし結婚式を目前にしたある日、夫は奈津子に告げる。 「本当の母親へ席を譲ってくれ」 突然現れた亮の実母・真理子。奈津子は自分の25年間が否定されたような痛みを抱えるが、式の3日前、真理子から思いがけない連絡が届く。 「私は、あなたの席を奪いたいなんて一度も言っていません」 さらに明かされたのは、亮に毎年送られていたはずの手紙の存在だった。 なぜ手紙は届かなかったのか。 誰が、二人の母親と一人の息子の時間を止めていたのか。 結婚式直前、25年間隠されてきた家族の嘘が静かにほどけ始める――。絶縁|親子関係1.7萬字5 13 -
完結第13話
離婚後に生まれた息子
10年間の不妊治療の末、「子供もできなかった」と姑に責められ、夫・健一から離婚を告げられた38歳の由美。ところが離婚から2週間後、最後に受けた治療が実っていたことが判明する。由美は悩んだ末、元夫には知らせず、実家で1人の男の子を出産した。それから1か月。離婚から10か月後のある日、玄関に現れたのは健一と、彼が再婚する28歳の美香だった。「来月、結婚式をするんだ」と招待状を差し出そうとした健一。しかし、由美の腕に抱かれた赤ん坊を見た瞬間、その笑顔が消える。「その子……まさか俺の?」。10年間「子供を産めない妻」と責められ続けた由美の人生が、そこから大きく動き始める。夫婦|真相|修羅場2.0萬字5 2827 -
完結第13話
閉じ込められた臨月の妻
妊娠38週、予定日まであと12日の加奈。夫が海外出張へ出た2日後、突然訪ねてきた義両親は「様子を見に来た」と言いながら、家事や学歴を責め続けた。そして義母に促され、家庭用サウナの中を確認しようと入った瞬間、背後で扉が閉まる。外側には南京錠。スマートフォンまで奪われた。「私たちから息子を奪った罰よ」。そう言い残し、義両親は5泊7日の温泉旅行へ出発した。水もなく、いつ陣痛が始まってもおかしくない密室。しかし加奈には、義両親が知らないことがあった。このサウナは、かつて一級建築士だった加奈自身が安全設計に関わった機種だった――。嫁姑|親子関係|修羅場2.0萬字5 486 -
完結第10話
ブラックカードを止めた10分後
結婚5年目、38歳の小百合は夫・拓也から離婚を突きつけられた。拓也が選んだのは、35歳の女医・玲子。「5年間も専業主婦で楽できたんだから十分だ」「これからは自分で稼げ」と笑う夫と義家族は、小百合を“1円も稼げない女”だと思い込んでいた。離婚届に判を押したその日、拓也は玲子を連れて両親との祝いの席へ向かう。小百合は何も言い返さず、玄関が閉まってから10分後、カード会社へ1本の電話をかけた。「家族カード3枚、すべて利用停止にしてください」。その夜、高級レストランで45万8000円の会計を前に、拓也一家が初めて知ることになる。自分たちが当然のように使っていた“豊かな生活”は、いったい誰のお金で成り立っていたのか――。人生逆転|夫婦|不倫1.5萬字5 1332 -
完結第12話
「もう戻るな」と言った息子へ
嫁・沙耶の涙を信じた息子に「性格の悪い母親」と罵られ、家を追い出された68歳の良子。さらに町中へ“嫁いびり”の噂まで広められてしまう。 だが、親友が録音した証拠から、すべては家と財産を奪うための罠だったと判明。しかも良子には、亡き夫が遺した5億円の土地があった。真実を知った息子夫婦が青ざめた時、母の人生は大逆転する――。親子関係|金銭問題1.7萬字5 79 -
完結第19話
4時20分で止まった遺品
八年間、仕事を辞めて父を介護した浩司。だが遺産の大半は、何もしなかった兄夫婦へ。浩司に残されたのは、ボロ倉庫と古びた腕時計だけだった。 家まで追い出され、嘲笑される中、浩司は倉庫の壁に隠された鉄扉を発見する。時計が示す暗号で金庫を開けた瞬間、父が二十年間守り抜いた百億円超の秘密と、最後の愛が明かされる――。親子関係|金銭問題2.9萬字5 109 -
完結第13話
不在着信93件の朝
息子夫婦の豪邸ローンを、5年間毎月24万円も肩代わりしてきたみつ子と正人。だが返ってきたのは感謝ではなく、「黙って金だけ払え」という侮辱だった。 ついに二人は支援を完全停止。翌朝、スマホには93件もの着信が――。親をATM扱いした息子夫婦に、想像もしなかった代償が襲いかかる。夫婦|親子関係2.0萬字5 125 -
完結第18話
四十九日の注文票
夫の四十九日を終えた夜、59歳の円香は、息子夫婦から突然「明日の朝までに店の鍵を渡してほしい」と告げられる。 夫と32年間守ってきた惣菜店《おかず処まどか》。しかし土地と建物は、知らないうちに息子の名義へ移され、すでに再開発のため売却されようとしていた。 悲しみも癒えないまま、住む場所も店も奪われかける円香。さらに夫が管理していた店の預金も、借金返済に使われたと聞かされる。 そんな夜、夫の机の奥から見つかったのは、古い注文票だった。 《弁当120食。毎月第2土曜日。代金は受け取らないこと》 そこに書かれていたのは、円香の知らない女性の名前。 夫はなぜ、妻に黙って無料の弁当を届けていたのか。 なぜ、その女性を「店を失った時に訪ねろ」と書き残したのか。 追い出されたはずの店の裏で、夫が最後まで隠していた過去と、息子夫婦の本当の目的が少しずつ明らかになっていく――。人生逆転|親子関係2.8萬字5 203