みかん小説
本棚

"「介護が悪い」と責めた家族の3日後" 第23話

「あなたを自分のい通りにコントロールしたくて、この類を用したわけでもありません。」

私はテーブルのにある婚届を静かに見つめた。

「私が欲しかったのは、族でした。」

その言が、荒れたリビングに静かに響いた。

「私が39度のして、それでも夜に起きてお義母さんの背をさすっていた……」

私は過の痛みをしながら、ゆっくりと言葉を続けた。

「あなたは隣の部からてきて、私にこう言いましたね。『の朝飯、ちゃんと作れるのか』と。」

俊夫は息を呑み、顔を背けた。

「私が欲しかったのは、あの『俺が代わるから寝ていろ』と言ってくれるパートナーでした。自分の母親の命を緒に背負ってくれる族だったんです。」

私の目から、涙は滴もこぼれなかった。

もうこの男のために流す涙は、完全に枯れ果てていたからだ。

「キャッシュカードを預ける。ゴルフをやめる。」

私はさく息を吐いた。

「そんなものは、夫婦としての最限の信頼があって初めてを持つものです。あなたはお義母さんのおを盗み、私を騙し、最にはお義母さんの命を質にして私を脅した。」

私はややかに言い放った。

「その事実のでは、どんな謝罪も無です。」

俊夫のから完全に力が抜けた。

彼は子から崩れ落ちるようにして、に両膝をついた。

広告

ドラマのようにきな声で泣き叫ぶことも、座をすることもない。

ただ全てを失った絶望のさに耐えきれず、そのに座り込んだのだ。

彼の肩は刻みに震え、うわ言のように「俺がバカだった」と繰り返すだけだった。

弁護士が静かにた。

「佐藤さん、奥様のお気持ちは今お聞きになった通りです。これ以、話しいの余はありません。」

弁護士はテーブルの婚届を、俊夫の目のに滑らせた。

「ここにサインと捺印をお願いします。もし拒否されるなら、には庭裁判所へ調を申してます。」

弁護士の言葉は、徹な事実として俊夫に突き刺さった。

「調になれば、あなたがお義母様の座から正に引きしていた履歴も、全て裁判所の記録に残ります。」

弁護士はさらに言葉をねた。

「もちろん、職の方々やご親族のに入るのもの問題でしょう。」

俊夫はビクンと体をねさせた。

体を何よりも気にする彼にとって、その社会は何としても避けなければならないものだった。

彼は震えるを伸ばし、テーブルのにあったボールペンを握った。

しかし指先に力が入らず、ペンがから滑り落ちた。

カタカタと音をてて転がるペンを、弓が無言で拾いげ、兄のに握らせた。

きなよ、お兄ちゃん。

広告

弓の声はたく、そしてしだけしげだった。

「お兄ちゃんが今までついてきた嘘の、これが最のツケよ。自分のでちゃんと払いなさい。」

俊夫は妹の顔を見げたが、弓はすぐに目を逸らした。

誰も彼を助けてくれない。

誰も彼に同してくれない。

俊夫はついに観し、震える婚届の署名欄に自分の名き始めた。

るペンの音が、静かなリビングに響く。

彼のいた文字はひどく歪んでいて、かつての自信に満ちた跡の面はなかった。

き終えた、彼はポケットから印鑑を取りし、朱肉をつけてに押し当てた。

その瞬、私と俊夫の33にわたる夫婦活は、法に終わりを迎える準備がったのだ。

弁護士が類を確認し、丁寧にファイルに納めた。

「確かに受け取りました。今の財産分与や、ご実宅ローンの清算については、引き続き私を窓としてめさせていただきます。」

俊夫は何も答えず、ただ点を見つめたまま抜け殻のようになっていた。

さん、しお荷物をまとめられますか?」

岸さんが気を遣うように声をかけてくれた。

「はい、すぐ終わります。」

私は自分の寝に向かった。

クローゼットをけると、私のはほんのししかなかった。

11、自分のためにを買う余裕などなかったからだ。

私はさなスーツケースに、最限の着替えと切な写真だけを詰め込んだ。

結婚したばかりの頃のアルバムや、夫とのの品は全てそのまま残した。

広告

おすすめ作品

リンクを共有

以下のリンクをコピーして友達と共有してください: