"「介護が悪い」と責めた家族の3日後" 第10話
「さん、ご主はまだあなたがこれをっていることに気づいていませんね。」
「はい。私が何もらないと完全にしきっています。」
岸さんは力く頷いた。
「分かりました。ショートステイの期に1度専の弁護士に相談しましょう。」
岸さんは帳をいた。
「私の方で、齢者の権利擁護に詳しい先を紹介します。」
私は岸さんのい言葉にくをげた。
1きりで戦う必はないのだと、初めてえた瞬だった。
もうし。
私と岸さんは、義母がお世話になるショートステイの施設へ向かった。
施設の玄関には、すでに介護タクシーが到着していた。
タクシーの部ドアがき、子に乗った義母がりてくる。
そのろから、夫の俊夫と義妹の弓が、フラフラとした取りで姿を現した。
私はしれた所から、2の様子を観察した。
弓の姿は3とはまるで違っていた。
綺麗にセットされていた髪は乱れ、にはシワが寄っている。
目の周りは赤く腫れ、今にも倒れそうなほど疲弊していた。
そして夫の俊夫。
彼はいつもの自信に満ちた態度はどこへやら、ひどく苛っているようだった。
ネクタイは曲がり、ワイシャツの襟元は汗で黄ばんでいる。
夜に何度も起こされた眠と、仕事での疲労が顔にく刻まれていた。
広告
俊夫は施設の職員に向かって声を荒らげた。
「おい、もっとく続きできないのか?俺は午から会社に戻らなきゃならないんだ。」
自分の無能さを隠すために、を攻撃しているのだ。
職員は慣れた様子で静に対応していた。
「順番にご案内しますので、へどうぞ。」
私は岸さんと顔を見わせ、静かに彼らへづいた。
「お義母さん。」
私が声をかけると、全員の線が斉にこちらを向いた。
子に座る義母は私の顔を見てふわりと笑った。
「さん、来てくれたのね。」
義母は細い声で言った。
弓は私を見た瞬、両で顔を覆い、さく嗚咽を漏らした。
彼女は泣きながら、何度も何度もをげた。
言葉にはならないが、その姿が全てを物語っていた。
彼女は自分の無と無責任さを、完全にいったのだ。
しかし俊夫は違った。
彼は私を見ると舌打ちをして胸を張った。
「お、やっと来たか。3も休めば分だろ。」
俊夫は持っていたバッグを突きした。
「ほら、類はあっちにあるから、さっさといてこい。」
俊夫は自分が持っていた義母の荷物が入ったきなバッグを、私に押し付けようとした。
「俺はこれから会社に戻る。帰ったら夕飯の支度をしておけよ。」
俊夫は命令調で続けた。
「母さんがいなくて楽なんだから、しはの込んだものを作れ。
広告
」
彼は私が以のように「はい」と荷物を受け取るとっていた。
しかし私は歩もかなかった。
差しされたバッグを見つめ、両は体の横にろしたままだ。
俊夫が眉をひそめた。
「何やってるんだ。く受け取れよ。」
私は静かな声ではっきりと答えた。
「私はきません。今は俊夫さんが続きをしてください。」
その言葉に、俊夫の顔が赤く染まった。
「バカなことを言うな。俺は仕事があるんだぞ。」
俊夫は私を睨んだ。
「そもそも、こういうのはおの仕事だろうが。」
私は静に返した。
「私は昨、岸さんに主介護者をりると正式にお伝えしました。今ここへ来たのは、お義母さんに挨拶をするためです。」
岸さんが歩にた。
「佐藤さん、さんから伺った通り、現の主介護者はご主と弓さんという登録になっています。」
岸さんは毅然とした態度で告げた。
「本の契約と続きは、ご主にお願いします。」
専から静に告げられ、俊夫は言葉を失った。
周囲の職員たちも、ややかな目で俊夫を見ている。
俊夫は逃げを塞がれ、しぶしぶ相談の席に座った。
施設の相談員が類を広げて質問を始める。
「佐藤さん、ご本の今朝の体温は何度でしたか?」
「え、測ってないぞ。」
「では、最の排便はいつですか?形状はどうでしたか?」
「そ、そんなこと俺がるか!弓、おってるか?」
俊夫は慌てて弓を振り返った。
弓は目を伏せ、消え入りそうな声で答えた。
「昨からてないとう……」
広告
おすすめ作品
-
完結第10話
「冷たい嫁」と書かれた分担表
義母の介護を一人で背負うことを断った佐和子に、夫は冷たく言い放った。 「介護をしないなら、遺産は弟夫婦に譲る」 これまで買い物も通院も掃除も、黙って引き受けてきたのは佐和子だった。それなのに、義母の家で現金が消え始めると、疑いの目は真っ先に彼女へ向けられる。 さらに見つかったのは、義母が書いたはずの《佐和子さんがしたこと》というノート。そこには、覚えのない失敗や盗みの記録が並んでいた。 本当に義母の思い込みなのか。 それとも、誰かが佐和子を“悪い嫁”に仕立てようとしているのか。 介護、遺産、家の売却、消えた薬――。 家族のために我慢し続けてきた妻が、ようやく自分の人生を取り戻すまでの物語。兄弟姉妹|嫁姑|相続|介護1.4萬字5 15 -
完結第22話
48歳の誕生日、母親をやめました
48歳の誕生日。 15年間、朝4時から家族5人を支えてきた久美子に、誰ひとり「おめでとう」と言わなかった。 「私、もう母親やめます」 その夜、久美子は1冊の「家族運営マニュアル」を残して姿を消す。 最初は笑っていた夫・和彦たちだったが、わずか数日で家事、介護、家計、子供の問題まで崩壊。 そしてノートの最後にあった“真っ白なページ”。 そこには、家族が15年間知らなかった久美子の本当の気持ちが隠されていた――。嫁姑3.3萬字5 15 -
完結第13話
閉じ込められた臨月の妻
妊娠38週、予定日まであと12日の加奈。夫が海外出張へ出た2日後、突然訪ねてきた義両親は「様子を見に来た」と言いながら、家事や学歴を責め続けた。そして義母に促され、家庭用サウナの中を確認しようと入った瞬間、背後で扉が閉まる。外側には南京錠。スマートフォンまで奪われた。「私たちから息子を奪った罰よ」。そう言い残し、義両親は5泊7日の温泉旅行へ出発した。水もなく、いつ陣痛が始まってもおかしくない密室。しかし加奈には、義両親が知らないことがあった。このサウナは、かつて一級建築士だった加奈自身が安全設計に関わった機種だった――。嫁姑|親子関係|修羅場2.0萬字5 525 -
完結第12話
ゆで卵ひとつで嫁をやめた朝
夜勤明けの朝9時、16時間働いて帰宅した千明の前に置かれたのは、冷たいゆで卵が1つだけだった。 食卓には夫と義母のための朝食が並んでいる。炊きたてのご飯、味噌汁、焼き魚、小鉢。けれど、千明の分だけはなかった。 「食べられるだけ感謝しろ」 義母のその一言で、千明の中で8年間張りつめていたものが静かに切れる。 同居する義母の生活費、光熱費、食費、固定資産税まで支え続けてきたのは誰だったのか。夫は本当に何も知らなかったのか。そして、毎月の明細に隠れていた“もう一つの家族”とは――。 家を出て3日後、義母からの着信は100件に達した。 たった1つのゆで卵から始まった決別が、8年間隠されてきた家族の金と嘘を暴いていく。嫁姑|絶縁1.9萬字5 1221 -
完結第25話
「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した
義母への腎臓提供手術を目前にした由美。 だが病院で、夫・浩司が若い女を「妻」と紹介し、義母まで彼女を「本当の娘」と可愛がっていた事実を知る。 さらに聞こえてきたのは―― 「手術が終わったら、あいつの土地を売ればいい」 25年間尽くした夫と義母の目的は、由美の腎臓と亡き父が残した土地だった。 由美は何も知らない妻を演じながら、不倫写真、土地売却の証拠、そして夫の録音を集めていく。 そして手術直前。 「私は、臓器提供の同意を撤回します」 医師と親族の前で明かされる、家族の本当の顔。 しかし最後に愛人が暴露した一言が、夫と義母の関係まで完全に崩壊させる――。嫁姑3.8萬字5 1019 -
完結第26話
父子関係否定の白い封筒
ある日。 3歳の娘・唯の写真を見た義母が、冷たく言った。 「直樹には、全然似ていないわね」 やがて疑いは、美咲の“浮気”へ向かっていく。 そして義母は、唯にこう囁いた。 「大きくなるためのおまじないよ」 綿棒で口の中をこすり、息子・直樹の歯ブラシまで使って、勝手にDNA鑑定を依頼していたのだ。 数日後の日曜日。 夕食の席に白い封筒が置かれる。 結果は―― 「父子関係否定」 勝ち誇る義母。 しかし直樹は紙を見ても、美咲を責めなかった。 「結果は合ってるよ。俺は最初から知ってる」 なぜ夫は、娘と血が繋がっていないことを知っていたのか。 そして義母が暴いてしまった、息子が最も隠したかった秘密とは――。嫁姑3.9萬字5 2032 -
完結第6話
帰宅した夜、夫の嘘を知った
里帰り出産を終え、生後2ヶ月の息子を抱いてようやく自宅へ戻った美咲。夫・直人との3人暮らしが始まると思っていたその夜、隣人が突然玄関を叩いた。「毎晩毎晩、夜中までいい加減にしてください」。さらに「ご主人には前にも2回注意しました」と告げられ、美咲は耳を疑う。この2ヶ月、美咲は一度も家に帰っていない。では、隣人が何度も見かけた“妻らしき女性”は誰だったのか。問い詰められた直人は「会社の後輩が1度泊まっただけ」と説明するが、翌朝、隣人の証言によってその嘘も崩れ始める。出産のため家を離れていた2ヶ月間、自分の家庭で何が起きていたのか――美咲は静かに真実を確かめ始める。嫁姑|夫婦|不倫8.8千字5 1485 -
完結第11話
追い出された私が離婚届を渡した日、夫の人生は崩れ始めた
新築の我が家に突然押しかけてきた義両親一家。 七人もの親族に家を占領され、家事も生活費もすべて押し付けられる日々。さらに夫・進は「養ってやっている」と私を見下し、ついには「お前は赤の他人だ」と言い放った。 限界を迎えた私は、静かに離婚届を差し出す。 しかし、彼らはまだ知らなかった―― 私が本当に失うものなど何もないことを。 そして、夫が隠していた重大な秘密と、一族を待ち受ける衝撃の結末を……。 これは、踏みにじられた妻が、自分の人生を取り戻すまでの逆転劇。兄弟姉妹|嫁姑1.7萬字5 390 -
完結第13話
優しい彼の家族計画
父の死後、支えになってくれた男性・健司と出会う。 彼は優しく、私の悲しみを理解してくれる人だと思っていた。 しかしある日、健司は泣きながら頼んできた。 「姉が夫の暴力から逃げてきた。少しだけ家に置いてほしい」 私は母と相談し、幼い娘を連れた彼の姉を受け入れる。 だが、それは始まりにすぎなかった。 姉は家事も生活費も負担せず、冷蔵庫を勝手に使い、家のことを調べ始める。 そして健司は突然言った。 「姉も家族になる。結婚したら、この家で一緒に暮らそう」 違和感を覚えた私は、姉の過去を調べ始める。 そこで知ったのは―― 彼女はDV被害者ではなかった。 以前にも同じ方法で他人の家に入り込み、生活を支配していたのだ。 さらに健司も、姉を助けるためではなく、最初から私の家を利用する目的で近づいていた。 信じていた優しさは、すべて計算だった。 家を奪われかけた私は、母とともに証拠を集め、法的手段へ進む。 「人を助けたい」という善意につけ込んだ家族の嘘。 失ったものを取り戻すため、私は本当の敵と向き合うことになる――。嫁姑2.0萬字5 863 -
完結第12話
DNA鑑定が暴いた元夫の大きな間違い
出産直後、山野リサは義母から「生まれた娘は本当に息子の子なのか」と身に覚えのない不貞を疑われ、さらに夫・ただしからも信頼を裏切る言葉を浴びせられる。DNA鑑定で親子関係が証明されても、二人は過ちを認めず、リサと幼い娘カナを家から追い出してしまう。 絶望の中、実家へ戻ったリサは両親の支えを受け、母として娘を守る決意を固める。努力を重ねてキャリアを築き、カナと共に幸せな人生を歩んでいた。 8年後、華やかな企業パーティーで再会したのは、落ちぶれた元夫と元義母だった。一方、成長したカナは優秀な少女へと成長し、リサには新たな人生を共に歩む大切な存在がいた。 かつて母娘を捨てた二人は後悔し、許しを求める。しかし、リサは過去に向き合い、毅然と決別する。 愛する娘を守り抜いた一人の母が、傷を乗り越え、本当の家族と幸せを手に入れる再生の物語。嫁姑|真相1.8萬字5 359