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"「住所は教えない」と言った息子へ" 第12話

という美名のもとに耐え忍びすぎてきたのかもしれない。 しかし、ただ耐えるだけのは、に美徳であるどころか、自分自としての尊厳をじわじわと削り落としていく、恐ろしい刃にもなり得るのだ。

私たちは皆、自分自のたった度きりのの唯の「管理者」であり、自らが築きげてきた資産の管理者であり、神から与えられたかけがえのないの管理者であるはずだ。 そして、管理者が何よりも真っ先に守らなければならないのは、目先のに流されることではなく、厳格なる「原則」である。

に流されることなく、自らの誇りと尊厳という原則に従って、毅然と境界線を引くこと。これこそが、様々な経験をね、齢をねてきたからこそ発揮されるべき、真の「成熟の力」なのではないだろうか。

私は今、何の迷いもなく、胸を張って断言することができる。

誰かの理尽な求や侮辱に対し、耐え続ける必など何つない。 としての敬を欠いた侮辱に見うような援助など、この世界のどこを探してもしないのだ。 相があなたをの独したとして尊しようとしないのであれば、あなたもまた、な自己犠牲や援助という形で、相な過ちを支え続けてはならないのである。

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ここで、くの方がに迷いやを抱かれるかもしれない。 「相を見捨てることになってしまうのではないか」 「酷なだとわれるのではないか」と。

しかし、もしも本当に相の自を願うのであれば、相の甘えや過ちに対して都の良い報酬を与えないことこそが、真のというものではないだろうか。 境界線を引くという為は、相を傷つけるための拒絶ではない。自分と相の双方が、の自したとして正しくきるための、尊い約束なのである。

季節は穏やかに巡り、私のタワーマンションのリビングに飾る切りも、鮮やかに移り変わっていった。 には憐なの桜とチューリップ、には命力に満ちたい緑のドウダンツツジ、には凛とした、そしてには清らかなのような椿。 私はそれぞれの季節の巡りにわせて、部に焚くアロマのりや流すクラシック音楽を細やかにえ、に広がる豊かな余を慈しむように楽しんでいた。

ある穏やかな週末の夕暮れ、タワーマンションの最階ラウンジで、のためのさなバイオリンのミニコンサートがかれた。 ガラス越しに広がる茜の夕空を背景に、バイオリニストが奏でる澄み切った愁を帯びた音を聞きながら、私は静かに目を閉じた。

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音楽の響きは、そのの空を豊かに満たし、やがて演奏の終わりとともに静寂のへと消えていく。けれど、音が消えるということは、決してすべてが失われて無になることではない。その美しい余韻は、々のの奥くに確かに温かな記憶として残り続け、次の歩を踏みすための静かな勇気を与えてくれるのだ。

私がこれまで息子族のために捧げてきた、あのの献々も、きっとそれと同じなのだとじた。 あの苦難と献の歳は、決して無駄に消えったわけではない。形を変え、私の魂の奥底でく成熟し、今こうして自分自しいを誇りく歩んでいくための、揺るぎない力いエネルギーとなって昇華されているのだ。

コンサートを終え、部に戻った私は、夜の帳がりた最階の窓辺にち、に広がる無限のを眺めながら、穏やかな微笑みを浮かべた。

これが、私のに入れた真の「勝利の余韻」であった。

そこには、げさな者からの采も、派な祝宴の騒ぎも切必ない。ただ静かに、しかしどこまでも確かに、私自の胸の奥くで、澄み切った勝利の鐘が鳴り響いている。

(美津子、あなた本当によく頑張って、乗り越えてきましたね)

の傷だらけだった自分自に、そしてこれから輝かしい未来を歩んでいく自分自に向かって、私はで静かに語りかけた。

どうか、今をきるあなたも、何よりもまず自分自の尊厳と切にしてほしい。 理尽な求や、性を否定するようなな悪会ったは、恐れることなく、堂々と凛とした境界線を引いてほしい。

あなたのたった度きりの尊いを、どのようにきるかを選ぶ権利を持っているのは、の誰でもない、あなた自なのだから。

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