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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第24話

をかければかけるほど、彼女の命は確実に削られていくのだ。

「そ、そんな!先見捨てないでください!私はどうなるんですか?」

義母は子からを伸ばし、医師のにすがろうとした。

しかし医師は静かにがり、義母のを避けた。

「自らの欲が招いた結果です。ごで話しってください」

医師はそれだけを言い残し、倫理委員会のスタッフと共に会議にした。

に取り残されたのは、私と夫と義母の3だけになった。

夫はに座り込んだまま、完全に言葉を失っていた。

彼の目は虚ろに宙を彷徨い、は半きのままだ。

彼にはもう、言い訳をする気力すら残っていない。

に裏切られ、利用されていたことをった。

母に本性をられ、く憎まれることになった。

妹には見捨てられ、親族からの信用も完全に失った。

そして私からは莫な慰謝料を請求され、実に入れるも完全に断たれた。

仕事でも、この倫騒と借問題がれ渡ればただでは済まないだろう。

彼が私から奪おうとしていた以のものを、彼自が全て失うことになったのだ。

それはまさに、完全なる崩壊だった。

私は黒いバッグを抱え直し、静かに夫の横を通り過ぎた。

に座り込む夫の肩が、微かに震えているのが見えた。

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「由美……」

夫がかすれた虫の息のような声で私の名を呼んだ。

「頼む……俺を独りぼっちにしないでくれ……」

私はを止めず、振り返りもしなかった。

「もう度と私のに現れないでください」

私が残した言葉はただその言だけだった。

罵倒する価値も鳴る価値も彼らにはもうない。

私にとって彼らはもう族でもでもなく、ただの過に過ぎないのだ。

私はドアのノブを回し、静かに会議た。

で義母の泣き叫ぶ声と夫の絶望に満ちたうめき声が再びきくなった。

しかし私がドアをゆっくりと閉めると、その声は分い扉に遮られさな音へと変わった。

た私のには、まっすぐに伸びる静かなが続いていた。

元にある黒いバッグのみが、今はとても頼もしくじられる。

残すは、この病院からへ踏みすことだけだ。

い会議の扉が閉まると、廊は嘘のように静かだった。

私はゆっくりとに向かって歩きした。

には、父が残してくれた切な類の入った黒いバッグ。

そのみが今はとてもよくじられた。

から追いかけてくる音はもうない。

夫の鳴り声も、義母の泣き叫ぶ声も、分い扉の向こう側に消えた。

25私を縛りつけていた目に見えない鎖は、完全に断ち切られたのだ。

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病院の正面玄関を抜けると、柔らかい差しが私を包み込んだ。

庭を吹き抜けるがとても温かくじられる。

私はち止まり、きくゆっくりと呼吸をした。

い消毒液の匂いが排しされ、代わりにりが満ちていく。

私は自分の腕をそっと撫でた。

ここ数ヶ、採血のために青黒い痣が絶えなかった両腕。

そして、メスを入れられるはずだった私のお腹。

全てが無傷のまま、私の元に残っている。

自分の体を守り抜いたという実が、静かな堵となって胸に広がっていった。

もう、誰かのための部品になる必はないのだ。

私は顔をげ、青く澄んだ空を見つめた。

涙はなかった。

代わりに、自然と穏やかな笑みがこぼれていた。

私の取りは、病院に来たよりもずっと軽くなっていた。

それから1ヶが流れた。

季節はから鮮やかな緑の初へと移り変わっていた。

その、私は度もあのたちと顔をわせていない。

全ての続きは弁護士の先を通してわれた。

私は今、最終な報告を聞くために先の事務所を訪れていた。

「佐藤さん、これで法続きは全て完です」

は夫の署名と捺印がされた正式な婚届けの控えを私に渡してくれた。

その緑には、かつて夫が私を捨てるために用したとは違う、震えた字で名かれていた。

「彼は今、駅からい築40の古いアパートで1で暮らしているそうです」

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