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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第14話

のわがままで予定を狂わせるつもりか」

夫は私を悪者にすることで、この引に乗り切ろうとしている。

自分のい通りにかない妻を、ただのヒステリーとして処理しようとする。

それが彼が25使ってきた常套段だった。

しかし今の私は違う。

私は夫の張る顔を見つめ、静かに問いかけた。

「わがまま。それはあなたの方ではないですか?」

「な、何を言っているんだ。俺は母さんを助けるために……」

「私に黙って、私の実を売る準備をめていたこともですか?」

その言葉が私のからた瞬、夫の顔から完全に表が消え失せた。

息を吸い込む音だけが聞こえ、彼はのように固まった。

義母も「ヒッ」とく声を漏らし、慌ててで覆った。

妹の恵子だけが、事み込めずにキョロキョロと辺りを見回している。

私はバッグのファスナーをゆっくりとけながら、1週来事をしていた。

あの夜、夫が寝静まった、私は彼がいつも持ち歩いている仕事用の鞄をそっとけた。

そこには探偵の報告にあった通り、産業者の名刺と査定が入っていた。

しかし私がそのに見つけたものは、それだけではなかったのだ。

鞄の奥底、クリアファイルのに挟まれていた1枚の緑

それは夫の署名と捺印がすでに済んでいる、婚届けだった。

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夫の欄だけが綺麗に埋められ、私の欄は空のまま残されていた。

それを見た、私ので全ての点と点が繋がったのだ。

彼らは私の腎臓を義母に移植し、私が術の痛みでベッドからけないに実を勝に売却する。

そして用済みとなった私にわずかな切れとこの婚届けを突きつける。

それが彼らが描いていた完璧なシナリオの最終段階だった。

「由美、おどこでその話を……」

夫の声はもはや鳴り声ではなく、かすれた鳴のようになっていた。

「あなたの鞄のにあったあの緑、とても綺麗な字でかれていましたね」

私が静かにそう言うと、夫の膝がガクンと崩れそうになった。

婚届けまで用して、私から全てを奪う準備をしていたあなたが、どの族の命を語るのですか?」

私の言葉に周囲の空気がさらに凍りついた。

担当医師と倫理委員会のスタッフが険しい顔で顔を見わせた。

移植においてドナーとレシピエントの関係性が破綻していること。

そして財産目などの純なが絡んでいることは、絶対にあってはならないことだ。

「浩司さん、これはどういうことですか?奥様のを売却?婚届け?」

倫理委員会のスタッフが鋭い声で夫を問い詰めた。

「ち、違います!誤解です!妻は最術のストレスで覚を見ているんです!」

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夫は必に両を振り回し、顔を真っ赤にして弁解を始めた。

婚届けなんていていませんし、の売却なんてただの物語です!」

その苦し紛れの嘘を聞いて、子の義母も慌てて同調した。

「そうよ、先!信じないでください!この嫁は昔からがおかしいんです!」

義母は私を指差し、切り声をげた。

の好を踏みにじってこんな事なに嘘をつくなんて。く着替えて私のために術台にがりなさい!」

自分の命が危うくなった途端、義母は本性をわにした。

私を配する言葉は切なく、ただ『部品をせ』と命令しているのだ。

私は義母の醜い顔をややかに見ろした。

「お義母さん、あなたは先ほど庭でこう言っていましたね」

私の声は義母の切り声よりもはるかに静かで、そしてく響いた。

「『あの気の利かないたい女の腎臓をもらうなんて本当は嫌だった』と」

その言葉を聞いた瞬、義母の顔からサッと血の気が引いた。

彼女は自分のを両で塞ぎ、信じられないものを見る目で私を見つめた。

「な、なんであなたがそれを……」

「私がずっと病しく待っているとでもいましたか?」

私は夫と義母を交互に見据えながら、ゆっくりと言葉を紡いだ。

私がなぜここまで黙っていたのか。

彼らの嘘に気づいた点で、なぜすぐに問い詰めなかったのか。

それは、し責めたくらいでは彼らが絶対に非を認めないと分かっていたからだ。

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