"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第11話
私はしお洗いへと告げ、夫の静かに追った。
廊の角を曲がった先の、気のない階段の踊り。
そこに窓のを見ながら話をに当てる夫のろ姿があった。
私は音を殺してづき、スマートフォンの録音アプリを起した。
「ああ、美穂か。うん。今あいつが病に来たところだ」
夫の声は、私に向けるものとは全く違う、甘く優しいものだった。
「丈夫だって。あいつは何も疑ってない。ただの馬鹿な女だよ」
私は録音ボタンを押したまま、たいコンクリートの壁に背を預けた。
「術が終わったらすぐに実の権利探させる。あいつがベッドで寝込んでいるにな」
美穂の甘ったるい声が話のスピーカーから微かに漏れ聞こえる。
『くあのを売って、私たちのおにしましょうね。お義母さんも待ってるわ』
「ああ、分かってる。母さんも美穂と緒にむのを楽しみにしているからな」
夫は嬉しそうに笑いながら恐ろしい計画をにした。
「ドナーなんてただの部品だ。使い終わったらさっさと切れを渡して捨てるさ」
その言葉を録音した瞬、私ので何かが完全にえ切った。
りもしみももうない。
ただこの男を徹底に破滅させるという、静かで確かな決だけがあった。
私は録音を止し、データを全なフォルダに保した。
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これで探偵の報告だけでなく、私のスマートフォンにも決定な証拠が残った。
私は夫が話を切るに、音をてずに病へと戻った。
窓際の丸子に座り、静かに待っていると数分に夫が戻ってきた。
「仕事のトラブルでね、でもなんとか片付いたよ」
夫は私に向かって爽やかな、そしてひどく嘘くさい笑顔を向けた。
「それは良かったですね。お疲れ様でした」
私が微笑み返すと、夫は満そうに頷いた。
彼らは、私が全てをっていることなどにもっていない。
午1半、病のドアがき、2の護師さんが入ってきた。
「佐藤さん、そろそろ術に向かう準備をしましょうか?」
護師さんのるい声に、義母の顔がパァッとるくなった。
「よろしくお願いします。本当に待ちしかったわ」
義母は私を見ることなく護師さんにそう言った。
いよいよ自分の体が健康になるが来たとっているのだろう。
「由美さんも別で術着に着替えていただきますね」
もう1の護師さんが私に淡いピンクの術着を渡した。
私はその術着を受け取り、く頷いた。
「はい、分かりました」
私は切な類が入った黒いバッグをしっかりと抱え、別へと向かった。
夫が背越しに声をかけてきた。
「由美、頑張ってくれよ。終わったら美しいものをべにこうな」
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その言葉の裏にある残酷な響きを、私はもう度と信じることはない。
私は別のカーテンを閉め、渡された術着をパイプ子のに置いた。
そしてバッグのから茶封筒を取りし、静かに息を吐いた。
このの夫と義母はまだらなかった。
私がこの術着に着替えることなく、私のまま彼らのに現れること。
そして親族と医師が揃う術ので、全ての嘘が暴かれること。
パイプ子のに置かれた淡いピンクの術着。
私はそれを静かに見ろしていた。
着替えるための個はひんやりとした空気に包まれており、い消毒液の匂いがを突く。
本来なら私は今頃、震えるでこの術着に袖を通していたはずだ。
する族のために自分の命の部を削るという、きな恐怖と戦いながら。
この半、採血で両腕は青黒い痣だらけになった。
のない豆腐と茹で野菜だけの事に耐え、めまいと戦いながらきてきた。
その全ては、このピンクの術着を着て義母の命を救うためのものだった。
しかし、今の私に恐怖やためらいは切ない。
パイプ子にあるその布は私にとって、族の絆ではなく、ただの囚のように見えた。
私は術着を丁寧に畳み、パイプ子の背もたれにかけ直した。
そして自分が着てきた黒いワンピースのシワを、で静かに伸ばした。
バッグのから茶封筒を取りす。
には弁護士と作成した臓器提供の撤回。
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