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"「母に腎臓をくれ」と泣いた夫――手術直前、私は提供を取り消した" 第7話

の私なら、このさな優しさに涙を流してんでいたはずだ。

しかし今の私には、そのケーキが何の資で買われたものか痛いほど分かっていた。

「ありがとう。でも私、今は事制限があるからケーキはべられないのよ」

私が静かにそう言うと、夫は「あ、そうだったな」と軽く笑った。

「ごめんごめん。仕事が忙しくてつい忘れちゃってさ。じゃあ俺がべるよ」

夫の言葉には、片の悪びれもなかった。

彼は私が自分の母親を助けるために命を削っていることすら、本ではどうでもいいのだ。

「由美は偉いよな。母さんのためにそこまでしてくれて」

夫は姜焼きとローストビーフを美しそうに平らげながらビールをみ干した。

私は向かいの席で、のしない茹でキャベツをゆっくりと噛んでいた。

「でもさ、くその気ない事から解放されたいだろう?」

夫は嫌よく笑いながら、ふとそんなことを言った。

術が終われば母さんも元気になるし、由美も好きなものがえる」

夫は優しい夫の顔を作っていた。

しかし、その次の言葉が私の胸を鋭く刺した。

「だから絶対に邪とか引くなよ。母さんの予定が狂うと困るからさ。今の君は母さんのための事なカプセルみたいなもんだからな」

カプセル。

その言に夫の本音が全て詰まっていた。

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私というはどうでもいいのだ。

ただ義母に移植するための健康な臓器を全に運ぶ、ただの入れ物でしかない。

私はキャベツを掴んでいた箸を、静かにテーブルに置いた。

しいというはすでに通り過ぎていた。

自分の25がこんな男のためにあったのかという、たい絶望だけが残った。

私は鳴らなかった。

ただ湯呑みを持つ指先にギュッと力を込め、静かに息を吐きした。

「ええ、気をつけるわ。お義母さんのためにね」

私が無表でそう返すと、夫は満そうにがり呂へ向かった。

所からシャワーの音が聞こえ始めた、私はソファに向かった。

夫が脱ぎ捨てたスーツの着をハンガーにかけるためだ。

その、胸ポケットから1枚のレシートが半分見えているのに気づいた。

私はそのレシートを指先で静かに引き抜いた。

印字されていたのは、隣町にある級なフレンチレストランの名だった。

付は昨の夜、額は3万円を超えていた。

『記特別コース 2名様』

その文字を見た瞬、私の元がスッとたくなった。

、夫は急な接待で遅くなるから夕飯はいらないと言っていた。

私が空腹を抱え、めまいと戦いながらのない野菜をみ込んでいたその

夫はの美穂と2で、記のコース料理を楽しんでいたのだ。

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座から引きされたおは、こうしてあの女のために使われていた。

私はそのレシートをスマートフォンで撮し、元のポケットに寸分の狂いもなく戻した。

泣き叫ぶ気力すら今の私にはない。

ただこのたい事実を1つ1つ集めること。

それが私に残された、唯の静かな反撃だった。

の午、私は義母の着替えを持って病院の病を訪れた。

義母はベッドので起きがり、テレビのワイドショーを見て笑っていた。

私が「こんにちは」と声をかけると、義母はあからさまに面倒くさそうな顔をした。

「ああ、由美さん。着替えならそこの棚に置いておいてちょうだい」

義母は私と目をわせようともしない。

「お義母さん、体調はいかがですか?検査で疲れていませんか?」

私が尋ねると、義母はわざとらしくきなため息をついた。

「病院のご飯がまずくて、本当に嫌になっちゃうわ。退院したら浩司に美しいお寿司でも連れてってもらう約束なのよ。美穂さんも緒にね」

義母は『美穂』という名を、わざと私に聞こえるようににした。

私がその名に気づいていないとっているからこその、悪な優越なのだろう。

「あなたもせいぜい自分の体を事にすることね。せっかくの腎臓が使い物にならなくなったら私たちが困るんだから」

義母にとっても、私はやはり部品だった。

私の命が削られることへの謝など微もない。

ただの都の良いドナーとしてしか私を見ていないのだ。

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