"1億8400万円の夜逃げ" 第2話
なくとも、警察も族も、9そう信じていた。
でを受け取った2、健は姿を消した。部からパスポートと部の類がなくなり、座にあった当選もほとんどかされていたうえ、成田空港からフィリピン・マニラへ向かう便に本名義で搭乗した記録まで残っていた。
8000万円の借を抱えた男が、突然1億8400万円をに入れ、その直にへ消えた。
警察が「夜逃げ」と考えたのも、無理のない状況だった。
そして9の20253。麻布の再発事で、健が暮らしていた古いアパートが取り壊された。
のへショベルカーの爪が入った瞬、9閉じられていた事件が、再びき始めた。
20253の朝、麻布の再発区域にはの音が響いていた。数に建てられたアパートやさな舗が次々と姿を消し、しい商業施設と層宅へまれ変わる計画がんでいた。健がかつて暮らしていた4階建てのアパートも、そのついに解体されることになった。
民はすでに全員ち退いていた。根と壁が崩され、午になって部分の撤が始まると、ショベルカーの運転はの部だけコンクリートのが違うことに気づいた。補修跡だとい、そのまま爪を差し込んだところ、通常よりはるかに分い層が割れ、そのから黒い布のようなものが見えた。
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作業員たちは度械を止め、スコップで周囲を掘った。やがて現れたのは、いをかけて押し潰された型の旅用スーツケースだった。ファスナー部分は劣化し、が触れたことで側面が割れていた。
隙から、いものが見えた。
最初に覗き込んだ作業員は、それが何なのか理解するまで数秒かかった。に汚れ、形も崩れていたが、の指の骨に見えたからだった。現責任者はすぐに作業を止し、警察へ通報した。
麻布署の刑事、佐藤慎が現へ到着したのは約40分だった。41歳の佐藤はく犯捜査に携わってきたが、宅のからコンクリートで封じられた旅鞄がてくるという現は初めてだった。鑑識員が慎にを剥がすのを見ながら、佐藤はさを測るよう指示した。
20センチ以あった。
通常の補修事としては自然だった。しかもの周辺には、古い建物本来の施とは異なる部分があり、誰かがからわざわざ穴を掘り、何かを入れたにコンクリートを流した能性がかった。偶然できた空に物が入り込んだとは考えにくかった。
旅鞄のから見つかった骨は、成男性のものと推定された。はいで劣化しており、財布や携帯話、分証のような物は見当たらなかった。
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期について鑑識は慎だったが、なくとも数以が経過している能性があると佐藤へ伝えた。
そのとき、の鑑識員がのからさな物を拾いげた。黒いフレームの鏡だった。分いレンズの片方には亀裂が入っていたが、当てやつるの部分は比較原形を残していた。
佐藤は証拠袋に入れられていく鏡を黙って見つめた。元確認につながる能性がある方、誰かが図に残した物なのか、本の持ち物なのかはまだ分からなかった。そこでまず、この建物に過どのようながんでいたのかを調べることにした。
古い賃貸記録を洗うと、の真にあたる部には2016までの若い男が暮らしていたことが分かった。氏名は健、当28歳。その名を警察のデータベースへ入力した瞬、9の方届が表示された。
《20167 所》《額の債務あり》《フィリピンへの国記録あり》《自発失踪の能性がい》
佐藤は画面を見ながら眉を寄せた。が消えた直、建物のに誰かが埋められたとすれば、まず考えるべきなのは、健自が事件に巻き込まれた能性だった。犯が彼を殺害してへ隠し、パスポートを使うなどして逃を偽装したのではないかという筋きも成する。
「DNAを急いでください。方者データベースとも照して」
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