"68歳の誕生日、残高は0円だった" 第11話
総はさやかに、仕事の話をいくつか投げかけた。
「会社はどうだ? 部職はまだ先か? 京はみやすいか?」
質問の形をしているが、本当は会話を望んでいるのではない。
普通の、支配な族のを作りそうとしているようだった。
さやかは「まあまあです。まだ先です。慣れました」とく答えた。
千代子は噌汁をみながら、の言葉の隙を聞いていた。
総は特に何も怪しんでいる様子はなかった。
事が終わり、総がゴルフの準備のためにすると、のの空気がし変わった。
さやかがため息をついた。
「相変わらずだね」
さやかが言ったが、それは批判でも驚きでもなく、ただの観察のような声だった。
千代子は「うん」とだけ答えた。
曜と曜は、特別なことは何も起きなかった。
さやかはほとんど実にいて、千代子の介護の様子を伝ったり、の様子を見たりしていた。
総はと斎を繰り返し、さやかとはほぼ話さなかった。
が同じ所にいるはなく、それぞれが別の部で別のことをしているような週末だった。
そして、曜の朝が来た。
総が斎に入ったのを確認してから、千代子とさやかはをた。
滝川法律事務所は、駅から歩いて分ほどのビルの階にあった。
受付に弁護士の名を告げると、すぐに奥の応接に通された。
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部はさかったが、然としていた。
窓からの通りが見えた。
滝川浩介が入ってきたのは、約束のちょうどだった。
歳と聞いていたが、見た目はもうしに見えた。
背がく、体格が良く、きに無駄がなかった。
スーツはシンプルで、装飾品は何もつけていない。
握ののがかった。
「千代子さんですね」
滝川は言い、さやかにも「娘さんですか」と確認してから向かいの子に座った。
「お話は話でざっくり聞きました。改めて詳しく聞かせてください」
千代子はゆっくりと話した。
最初はの座がゼロだったことから始めた。
滝川は途で何も言わずに聞いていた。
メモは取っていたが、顔は千代子の方を向いていた。
千代子が委任状の話をすると、滝川は度だけ聞いた。
「委任状の付は確認しましたか?」
「していない」
千代子は答えた。
「続けてください」
滝川は言った。
区役所の話に差し掛かると、さやかが補した。
「母は度精神障害者として、申告されていたと区役所の職員から聞きました」
さやかは弁護士の目を見た。
「母には障害者帳もなく、精神科の受診歴もありません」
さやかは淡々と言った。
滝川はその言葉を聞いてから、元のメモに何かをいた。
い文字列だったが、き終えてからペンを置き、を交互に見た。
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「確認させてください」
滝川は言った。
「ご主はの元支ですね」
「はい」
千代子は答えた。
「業務の実務識があることは、今回のに直接関係しています」
滝川は言った。
「委任状の偽造、為能力喪失の虚偽、そして座資の移」
滝川は指を折った。
「これらは単独では難しい続きです。の内部順をっていれば、どこに余があるかも分かる」
さやかはテーブルに両を置いた。
「これは、刑事事件になりますか?」
滝川はすぐには答えなかった。
「刑事と民事の両方の能性があります」
彼は言った。
「虚偽の確定申告は国税局の管轄。委任状の偽造は私文偽造。座の正移は横領または詐欺に当たり得る」
滝川は真剣な顔をした。
「ただし、証には証拠が必です。今の段階では、まず証拠を集めることが先です」
「証拠とは何が必ですか?」
さやかが聞いた。
滝川はリストを読みげるように言った。
「過分の確定申告のコピー、座の移記録、委任状の現物またはコピー」
滝川は続けた。
「そして、区役所でお母さんに説した職員の発言を記録したもの。できれば文で確認できるもの」
それから滝川はしを置いて付け加えた。
「ご自宅に、ご主の類があるなら今すぐ撮してください」
滝川は注を促した。
「ただし、持ちす必はない。
撮して元の所に戻す」
「斎に類の束があった」
千代子は言った。
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