みかん小説
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"68歳の誕生日、残高は0円だった" 第2話

カウンターに座っていた若い女性の員は、千代子の報を確認した。

員はしの、パソコンのキーボードを打ち続けた。

その沈黙のが、千代子にはとてもじられた。

員は、ちょうど娘のさやかと同じくらいの齢だろうか。

鏡をかけた真面目そうな女性員は、画面から目をさないままいた。

「こちらのご座ですが、3ヶにお客様ご自による委任状に基づきまして」

員はゆっくりとした丁寧な調で言葉を続けた。

「関連座へ、全額移続きが完しております」

千代子は目を見いた。

委任状という言葉も、関連座という言葉も、千代子には関係のないことのように聞こえた。

千代子は反論しようといた。

しかし、喉の奥が締め付けられるように緊張して、言葉にならなかった。

員は、千代子の様子を気にしつつも丁寧な調で続けた。

「詳細につきましては、担当部署へのお問いわせが必になりますが」

員は申し訳なさを滲ませつつ、事実だけを告げた。

続き自体は適正に完しております」

千代子は力なく会釈をし、信用庫をにした。

ると、がひどくたかった。

千代子は、来たを戻り始めた。

歩きながら何かを考えようとしたが、にモヤがかかったようだった。

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何も理できず、ただだけがいていた。

千代子は、欲しかったマッサージパッドのことを考えた。

買いにくつもりだった。

それがもう、の話のようにじられた。

、毎しずつ積みててきた

スーパーの制に着替えて、朝のたい倉庫で段ボールをけた。

えるで棚に商品を並べ続けただった。

指先がかじかんでも、が痛くなっても、それでも働き続けた。

その理由が、画面のでゼロになっていた。

千代子がに帰り着いたのは、昼過ぎだった。

玄関の鍵をけるが、微かに震えていた。

むと、リビングからカチャカチャというさな音が聞こえてきた。

千代子はを止め、ドア越しにその音にを傾けた。

属が布に当たるような、規則な音だった。

千代子がそっとドアをけると、総の姿があった。

彼は革張りの子に々と座り、テレビを見ながらゴルフクラブを磨いていた。

属のヘッドが内の蛍灯を受けて、ぬらぬらとっている。

は、千代子が入ってきても全く線をげなかった。

千代子は歩、また歩と夫にづいた。

胸の奥で、何かが音をてて崩れているような気がした。

りともしみとも違う、もっと底の方から来る覚だった。

彼女は総の斜めち、絞りすようない声で言った。

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「あなた、私の座のお、どこへやったの?」

はすぐには答えなかった。

彼はクラブのヘッドを布でゆっくりと円を描くように拭き続けた。

しの、彼は無言のまま作業を続けていた。

テレビではゴルフのトーナメント継が流れていた。

実況のるい声が、静かな部に響いていた。

はやがて、きく息を吐いた。

彼はそこで初めて、千代子の方に目を向けた。

その目は穏やかでも、ってもいない。

ただ面倒なものを見るような、乾いたたい目だった。

「何を騒いでいる」

い声で言った。

「全部説してあるはずだ」

千代子はた。

「説なんてされていない」

千代子は震える声で続けた。

でもらった説は、委任状に基づいて移したと言うだけだった」

千代子は両を固く握りしめた。

「私は、そんな委任状をいていない」

は磨いていたクラブを膝のに置いた。

彼は千代子を正面から見据えた。

「こちらから融の話をしてやっても、理解できないのはいつもおだろう」

は吐き捨てるように言った。

声は穏やかだが、その穏やかさは親切から来るものではない。

を完全に見しているの、特の落ち着きだった。

「お座に眠らせておいても、ROIがゼロどころかマイナスだ」

は自信に満ちた表で続けた。

「私が運用効率のいファンドに統した」

彼は子の背もたれに寄りかかった。

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