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"9年間消えた娘と「お姫様の部屋」" 第10話

ポケットから携帯話を取りすが、110番にダイヤルする指が何度も滑りそうになる。

呼吸をして、ようやくつのボタンを正確に押し込んだ。

発信音が鳴り、すぐに指令の警察官に話が繋がった。

エリコはパニックになりそうなを抑え、気にまくしてた。

「緑町のです! 男に襲われました!」

彼女はで、しかし必に状況を伝える。

「男がに押し入って……から何かを……テープを量に盗んでいきました!」

指令の警察官が、静な声で犯の特徴を尋ねてくる。

「名は松尾です! 元夫の友です!」

指令の警察官は彼女を落ち着かせるように、ゆっくりと質問を返してきた。

エリコはその質問にに答えながらも、線はずっとの暗い穴からせなかった。

「現、パトカーが現に向かっています」

警察官の力い声が響く。

「到着するまで、そのまま話を切らずに全な所でお待ちください」

エリコは話をに当てたまま、待っているの沈黙に耐えきれなくなった。

彼女は穴のくに座り込み、松尾が落としていったのカセットを拾いげずにはいられなかった。

で、ラベルの文字をつ目で追っていく。

『お姫様の部 ボリューム23』

『お姫様の部 ボリューム89』

『お姫様の部 ボリューム156』

数字を見るたびに、エリコの胃が激しくねじ切れるように痛んだ。

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体、どれだけの数があるというのか。

隠しスペースの奥を覗き込むと、同じなタイトルがかれた箱が何列も奥へと並んでいる。

そこに収められたテープやディスクの総数は、ゆうに数百本にもるようだった。

やがて、くからパトカーのけたたましいサイレンの音がづいてきた。

エリコががって窓のを見ると、の私にパトカーが台、急ブレーキで止まった。

赤と青の烈なランプのが、夜の静かなの壁を激しく照らししている。

「奥さん、丈夫ですか!」

玄関から音が響き、制警官が階へと駆けがってきた。

そのすぐろから、スーツを着た私の刑事がゆっくりと姿を現した。

50代半ばほどのその男は、鋭い観察を持ちながらも、どこか温かみのある目をしていた。

彼は警察帳を提示し、森田警部補だと名乗った。

エリコは彼らに向かって、今夜起こったことを全て包み隠さず話した。

自分が忘れ物を取りに来て、斎で松尾を見つけたこと。

彼に突然襲われ、もみいになったこと。

そして、タンスが倒れてが抜け、この巨な隠しスペースが見つかったこと。

森田警部補はエリコの言葉に注を傾け、帳に細かくメモを取っていった。

彼はペンを止め、確認するように尋ねた。

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「犯は、松尾という男ですね?」

エリコはく頷いた。

「はい。元夫の、代からの親友です」

そこまで言って、エリコはハッと息をんだ。

「修平……元夫にも話しなければ。このの持ち主である彼も、この状況をるべきです」

森田は鋭い目を向け、静かに頷いた。

「ええ、々も直ちに彼と話がしたい」

エリコは携帯話を操作し、再び修平の番号にダイヤルした。

数回のいコールの、ようやく修平がた。

彼の声は、先ほどよりもさらに苛ちに満ちていた。

「エリコ、なぜ何度も話してくるんだ?」

エリコはりで声を震わせながら問い詰めた。

「修平、今どこにいるの? さっき松尾と緒にいるって言ったわよね?」

修平はしも悪びれる様子もなく答えた。

「ああ、そうだ。今、被害者族の会にいる」

エリコはたいりを込めて叫んだ。

「嘘よ!」

彼女の胸の奥底が、絶望でく沈み込んでいく。

「松尾はさっきまでここにいたわ。そして、私を襲ったの!」

話の向こうで、修平が言葉を失う気配がした。

「今、警察が来ているわ」

修平からの返事はない。自然なほどい沈黙が落ちた。

エリコは森田警部補の方へ線を向けた。

「警察が、あなたと直接話したいって」

エリコは携帯話を森田へと渡した。

森田は話を受け取り、厳しい声で語りかけた。

さん、森田警部補です。

至急、ご自宅に戻っていただきたい。事件が——」

彼が言い終わるに、ツーツーという無質な子音が部に響いた。

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